優しい社長が会社を潰す
みなさん、ビジネスノベルをお読みになったことありますか?
その名の通り、ビジネスに関する小説のことです。どんな展開で物語が進むんだろう。この本はズバリ、物語としても筋が通っています!
『優しい社長が会社を潰す』(安藤広大/上野直彦・著)
すばる舎初のビジネスノベル
すばる舎ではこれまで多くのビジネス本を上梓してまいりましたが、ビジネスノベルは初の発行となります。
本書は若宮社長率いるオールウェイズ・アサイン社を舞台に会社改革をめぐる愛憎劇が繰り広げられます!
その中で登場するのが「識学」です。この「識学」を社会に広めるために設立された株式会社識学は、創業3年11ヵ月でマザーズ上場しました。識学は、すでに多くの会社が導入し「いま、もっとも人と組織を成長させる」と話題の組織マネジメントノウハウです。
しかし、この「識学」、社長が優しいだけでは実行できないということがこのノベルの中でもわかってきます。社長の路線転換に社内は一時混乱し離職者も現れますが……。
このノベル内に登場する安藤明大氏(著者さんの分身ですね)は「識学」を用いて社員や上司、ときには社長自身の心理的な反発や不安を一つずつ解消しながら、機能不全に陥っていた組織の再生を成し遂げていきます。
従業員の心情の変化、それぞれが抱える複雑な心境がとてもリアルで読み物としてもふつうに面白い……。そして、「識学」の有効性を同時に学ぶことができます。章ごとに【解説】のページがあり、立ち止まりながら要点をチェックすることができます。
新しいものに対する抵抗
このノベルでは「識学」の導入に対してこれまでのやり方を貫こうとする守旧派の存在がネックとなっています。人によっては社長が連れてきた「識学」の人物・安藤という謎の人物を信用せず、反発します。それはそうですよね! それまで可愛がられてきた部下と距離を置き、新参者を優遇しているように見えるわけです。ここら辺のドラマが面白い。
三国志で劉備が諸葛亮を連れてきて張飛と関羽が最初は疑心暗鬼だったのと同じことですよね。社員たちがどのように「識学」を受け容れていったのかにもご注目ください。
優しい社長がダメというのではなく
この本の題名にドキッとする社長さんが多いかもしれませんが、この本ではむしろそういう社長さんにエールを送っているように思います。「最終章」を読んでみてください。社員の幸せって何だろう。あるべき社長の姿とは? 本当の優しさって? ストーリーとして頭に入ることによって、単調になりがちなビジネス書とはまた違ったよさがあります。
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