~たとえ控えでも~ユベントスVSナポリ【コッパイタリア決勝】マッチレビュー後編
これは後編です。前編はコチラ!
<ユベントスの守備>
ナポリのカウンター対策として、442のブロックを形成するリトリート守備を行った。ユベントスが442で守るのは珍しいことで、DAZNの解説の細江さんも初めて見たと言っていた。
実際にナポリのカウンターはこの守備によって封じることができたが、フロントスペースの守備が、守備意識の低いロナウド、ディバラの二人だけになってしまうことも影響して、ポゼッションからチャンスを作られてしまっていた。サッリ監督よりもガットゥーゾ監督の準備力が一枚上手だったと言える。
<ユベントスの攻撃>
攻撃時にも、ナポリのカウンターへの対策が見られた。それは、基本的にSBは上げず、押し込んだ時だけ、ボールサイドのSB(片方のSB)が上がるというもの。
しかしこの攻撃は、単純に攻撃にかける人数が減り、左WG(ロナウド、コスタ)のポジショニングが悪かったこともあり、ブロックの外でボールを回すだけになることが多く、ナポリからすると対処しやすかっただろう。
それでもブロックを崩す策をサッリ監督が用意しなかったわけではない。
策とは、大外でWGorSBが相手SBをピンどめし、それによって出来たSB裏のスペース,ハーフスペースに、IHが走りこむというものだ。
この策でチャンスになりかけたシーンはあったが、チャンス自体をあまり生み出せはなかった。
{考えられる原因}
・左WGのポジショニングが悪く、相手SBをピンどめ出来た回数が少なかったこと
・ナポリのWGのプレスバック、CBのカバーによってケアされた
また、ロナウドの調子が非常に悪く、攻撃を停滞させているとも感じた。
0-0。そしてPK戦へ
お互いに、そこまで多くチャンスのを作ることが出来ないイタリアらしい試合展開の中、両チームのGKのビッグセーブによって、数少ないチャンスも得点にはつながらなかった。
普段は控えになっている両キーパーの活躍によって0-0で90分を終え、そこからキーパーが一番輝く機会と言えるPK戦になった展開は、とてもアツいなぁと感じた。
控え選手にもスポットライトがあたるのが国内杯の魅力の一つだと思う。
メレトの1セーブもあり、2-4でナポリが制した。
この優勝は、ガットゥーゾ監督にとって初のタイトルであり、ロックダウン中に亡くなられた妹さんへの最高の贈り物となった。
総括
・ガットゥーゾ監督の準備が実を結んだ優勝だった。インテル戦で浮かび上がった問題点の改善と、ユベントスへの的確な策を同時に再現していて、素晴らしい監督だと感じた。ミラン時代のガットゥーゾ監督への印象は、モチベーターとしてのイメージが強く、戦術面は微妙というものだったが、「戦術面でも優れている監督だ」と、ここ2試合を見た僕は感じた。今後のガットゥーゾ監督のキャリアには注目していきたい。
後記
今回の記事には、試合展開からピッチ外のことを予測したり、双方を踏まえた考察ができたので、個人的に良かった。
試合展開からピッチ外のことまで予測の範囲を広げられるのも、戦術分析の醍醐味だ。もっとこの楽しさを共有していけたら良いなぁと思う。
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