見出し画像

ショスタコーヴィッチとこども

キャンバスに油彩(部分)

さっさと描いてさっさと仕上がった絵でした。

締切りがあったからです。

ちょっとご縁のあるデザイナーさんからのご依頼で、ある演奏会のチラシに使う背景の絵をお願いします、と。

曲がすごい。

ショスタコーヴィッチ 交響曲第7番 ハ短調   「レニングラード」

ご存知ですか? 聴いてもすごいし、曲の持つ背景もすごいんです。長くなるので書きませんが。

この曲の背景にふさわしいのは、やはり油彩画だろうと思ったわけですね。それも、明るく楽しいわけはなく、重ーい何かを込めたようなそんなイメージ。

混沌とか欲望とか渇望とか憤怒とか哀切とか絶望とか、それから祈りとか。

そういう曲なものですから。

ところで、うちにはイーゼルを立てて描くようなアトリエがありませんから、油絵教室で描かざるを得ません。

まあ、例によって「好きに描いていい」教室ゆえ問題はないです。

時間もないし、イメージは固まってるので、ザクザク描いて半分ほど塗ったところで、アトリエに置いておきました。

そのとき、先生がご覧になって「こうした方がいいんじゃない?」と、ひょいとキャンバスを逆さまにしたのです。

そういうことはよくあります。あら、逆さまにした方がいいじゃない、そうしましょう、ということ。

それで逆さまにして置いておいたらですね、次の週に続きを書く前に、同じアトリエで、こどものための教室があったんですね。

キャンセルがあったりして、来たのは小学生の男の子ひとりだけだったんですが。

その子がアトリエの中を見まわし、たくさんの描きかけの絵をながめていて、ふとこの絵が目に入った。

すると。

「これ、逆さまじゃない?」

といったのだそうです。

先生が嬉しそうに教えてくれました。

分かるんですねえ。




見ていただいてありがとうございます。イラスト・デザイン・コミックを手がけています。よろしければポートフォリオをご覧ください。 https://salon.io/nobuko/nobuko-portforio