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#11|和室の畳を板間に!【空き家再生】
こんにちは、365 WORKSのフジイです。
福岡・田川の空き家を賃貸物件にリノベーションするシリーズ。
前回、完成した全貌を大まかに紹介しました。
セルフビルドで制作したリノベーションの工程を、
今回からは作業内容別になるべく詳しく紹介していきます。
前回の記事はこちら▼
今回は「和室の畳からフローリング(板間)」にDIYで変えていきます。
この記事では、古い畳の撤去から仕上げまで、
順序立てて詳細に説明します。
さらに、畳からフローリングへの変身を成功させるための
床材の選択についても解説します。
自宅の和室を素敵な新しい空間に変えたい方、ぜひお読みください。
和室の畳を板間(フローリング)にする理由
数年空き家として放置されていた、築34年のこの物件。
4部屋あるうちの3部屋が畳敷きの部屋でした。
畳は風通しが悪かったり、上に物を置き続けると
簡単にカビたり、変色したり、変形したりします。
それがここでは3部屋あった畳の部屋の全ての畳で起きていました。
さらに同年代の入居を想定していたので、
現代のインテリア、ライフスタイル的にもマッチしやすくするため
3部屋のうち2部屋は、「畳敷き」から「板間」にすることに決めました。
選ぶべきフローリング材の種類
畳からフローリングに変える際に考慮すべき重要ポイントとして、
床材の選択があります。
よくある床材の選択肢で大まかには、以下のものが挙げられます。
⒈複合フローリング
複合フローリングは基材となる集成材や合板の上に薄くスライスした天然木(単板)や化粧シートなどを張り合わせて作られた床材
⒉塩ビ床フロア
プラスチック(塩化ビニール)でできたメンテンナンス性や耐久性に優れている床材
⒊カーペット
カーペットを床材として部屋全体に引く工法。
⒋無垢フローリング
無垢フローリングとは天然木から切り出した一枚板の無垢材でできた床材
⒌タイル材
焼き物のため、日差しによる色あせや変色がなく、耐久性に優れ、衝撃に強い点が床材
これを踏まえて今回、選んだのは、
この中にはない「床材を自作する」という選択肢。
具体的には、「ラワン合板の床材を作る」ということです。
自分が所有する賃貸物件への投資としてはコストが一番の問題です。
一番の理想は「無垢材フローリングを使う」ことですが、
そうすれば平米単価が上がり、全体的な投資金額が増し、
投資コストの回収のために家賃にも反映させなくてはいけなくなります。
建築資材が高騰している現状で
『なるべくコストを抑えながら、魅力的な空間を追求していくこと』
これもデザインと施工をする身として、求めるべき大切な探究だとい思っています。
ラワン合板の床材とは
ラワン合板から床材とは、
簡単にいえば「合板をそのまま床にする」ということです。
イメージでいえば↓のような感じ
![](https://assets.st-note.com/img/1702433331173-sJQy8czmEK.png)
本来、下地や家具などで使われる合板ですが、
きちんと処理をすれば床使うこともできます。
一般的には既成の床材を使う方が、簡単にきれいに早く床を仕上げることができるのでそちらをオススメします。
しかし今回はコストとデザインの追求をする上で、
低コストで他にないヴィンテージな雰囲気の空間にするため、
あえて手間をかけてラワン合板の床に挑戦しました。
ラワン合板の床の作り方
①古い畳を撤去
![](https://assets.st-note.com/img/1702434596017-euxJqDreE9.jpg?width=1200)
まずはじめに古い畳を撤去します。
処分方法は「畳屋に処分を依頼」や「粗大ゴミとして処分」などさまざまな方法がありますので、近隣の業者、自治体に沿って処分をしてください。
畳を取り外したら、床の状態を確認します。
補修が必要な場合は、きちんと下地を作っておきましょう。
この物件では左に部屋のように、
『荒床』という杉材が渡された下地の床となっていました。
②畳の下地(荒床)をビスで固定
![](https://assets.st-note.com/img/1702434533685-vtk8lW34xF.jpg?width=1200)
畳が取り外されたら、下地の荒床をビスで確実に固定します。
荒床の杉材は根太に対して、乗っているだけの場合があります。
その状態では床の安定感が全くなくなります。
一定ピッチで入っている根太の場所を確認し、
45mm程度のビスで打ち付けていきます。
これによって新しいフローリングがしっかりと安定した基盤の上に敷かれるので、長期間の使用において非常に重要です。
③根太をビスで打つ
次に、床の根太をビスで打つ作業に進みます。
根太は新しい床材のベースとなり、正確なピッチで配置されることが重要です。
畳が55mmの厚みに対し、40mmの根太を使用します。
300mmピッチで配置をし、ビスで固定をします。
④根太の間をスタイロフォームで埋める
![](https://assets.st-note.com/img/1702435632110-urNTi6i1lt.jpg?width=1200)
根太が取り付けられたら、根太の間をスタイロフォームで埋めます。
スタイロフォームは断熱材としての役割を果たします。
この断熱材が、床下からの冷気・熱気を遮断し、室内の温度を安定させる助けになります。
300mmピッチで取り付けた根太の隙間を埋めるように
スタイロフォームをカットし、はめ込んでいきます。
⑤下地合板を貼る
![](https://assets.st-note.com/img/1702435644001-PGDCrQ9l5l.jpg?width=1200)
次に、下地合板を根太の上にしっかりと貼り付けて、
『捨て貼り』を行います。
下地合板は新しい床材のベースとなり、床の平らさと安定性を担保します。
3×6の構造用合板を均等に配置し、30mm程度のビスで根太に固定します。
このステップが正確に実行されることで、新しい床材が均一に敷かれます。
⑥仕上げの床材を貼る
下地合板が取り付けられたら、仕上げの床材を貼り付ける作業に進みます。
まず床材の作成するところから。
3×6のラワン合板を縦方向に千鳥貼りするので、
長手方向の中心で割いていきます。
![](https://assets.st-note.com/img/1702435772980-bRm5RXdBq8.png?width=1200)
次に床材の角の面取りをします。
面取りとは、材料の角を滑らかにする工程です。
これをしておかないと一枚一枚の継ぎ目に角が立ち、ささくれなどが起き
肌触りが悪くなってしまいます。
鉋(かんな)とヤスリで削ります。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/124464898/picture_pc_b9a5c945565d1ed02adfff6ebf942978.png?width=1200)
ここからようやく貼る作業。
木工用ボンドを櫛ベラ(クシ状になみなみになったヘラ)で一面に塗り広げます
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/124465224/picture_pc_3f9f5f663b6c9bcb86634b94a704934e.png?width=1200)
▽櫛ベラ
カットした床材を圧着し、ピンネイルで固定していきます。
先々、床材が剥がれて浮いてこないように、しっかりと体重をかけた上で、
ピンネイルを打っていきます。
そうすることでボンドが乾いた時、
きちんと圧着され貼り付けられます。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/124467110/picture_pc_88d2a06e9aac88d7fb1b1fc41943fb6b.png?width=1200)
▽ピンネイル
貼り終わった段階でこのような感じです。
まだ塗装をしていないため、色が白く合板のままの感じが強く出ています。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/124467312/picture_pc_51ca2367e5cf0965dade38f8903704fb.jpg?width=1200)
⑦塗装する
貼り終わって、しっかりボンドが渇き、床に浮きがないことを確認したら、
次は塗装です。
塗装をすることで、
色を整えるとともに、表面に防水性・防汚性を持たせて、
少しでも強い床材にしていきます。
使用した塗料は、
オイルステインにワトコの「ワトコオイル ナチュラル」と
クリアにユニオンペイントの「ウレタンフロアーF 半艶消し(16-87)」です。
コテバケを使い、一気に塗り広げていきます。
段取りは、以下の通り。
塗装工程
⒈ オイル塗装(ワトコオイル)を塗る
⒉ ウエスで余分なオイルを拭き取る
⒊ 乾燥させる
⒋ クリア塗装をする
⒌ 乾燥する
⒍ 400番程度のヤスリで毛羽立ちを落とす
⒎ 二度塗りをする
⒏ サイド毛羽立ちを落とす
⒐ 完成
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/124468171/picture_pc_4af28779baceeb7c08fa9cab7aa4c7fd.png?width=1200)
⑧完成
手間のかかる塗装を終え、完成です。
通常のフローリングにはない大判な木質床になりました。
濃すぎない茶系で、少しヴィンテージなミッドセンチュリーテイストが
和室の要素に合います。
![](https://assets.st-note.com/img/1702436200863-qBE2zqlg83.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1702436200857-Ho6I6XwVdV.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1702436200891-nR38dMMPK9.jpg?width=1200)
まとめ
これでようやく完成。
畳から板間にするのは地味に手間がかかります。
床を貼る作業自体は一瞬で、ほぼ下地を作る作業や塗装など整える作業に時間がかかります。
しかし築古の何でもない空間に木目が特徴的で色が濃いめのラワン床を貼ることで、
ヴィンテージな雰囲気を醸し出し、うまくバランスを取ってくれています。
ポイントは既存の柱や枠などの木部に床の色を寄せたことで、
新しく作った部分が浮かないようにしたこと。
すでに経年変化したようなモノを作ったことで、
手を加えなかった部分とチグハグになることを抑えました。
リノベーションはどうしても残す部分と作り替える部分が出てきます。
そこをうまく調和させ、あたかもそうであったかのようなデザインをすることも大切なことの一つです。
今回は、和室の畳を板間にする方法でしたが、
畳以外にも床の表面を変えたり、合板を貼る方法としても応用してもえると
活用の幅が広まっていいかもしれません。
ぜひ活用してみてください。
今回の福岡・田川の空き家を賃貸物件にリノベーションするシリーズでは、
田舎で持て余されていた空き家の利活用として賃貸物件に生まれ変わらせました。
その過程をInstagramでも映像で紹介してますので、
ぜひご覧ください。
日本の社会問題でもある“空き家問題”。
リノベーションの観点で“空き家問題”を解決することを目的に
空き家再生を行っています。
福岡・田川の空き家を賃貸物件にリノベーションするシリーズでは、
築古物件のDIYノウハウをメインに発信していきます。
お読みいただきありがとうございました。
よろしければ、フォローもお願いいたします。
フジイ トモキ / 365 WORKS・代表
(@365_works )
「家をつくる、日々をつくる」を コンセプトに
住宅リノベーションを デザイン・セルフビルドを行う
「365 WORKS」代表。
1990年岡山生まれ。
大阪モード学園インテリア学科卒業後、設計事務所、東京で工務店、ライフスタイルショップを経て独立。
現在は広島を拠点に住宅リノベーションのデザイン・設計・セルフビルドをしています。福岡県田川市にて空き家をリノベし戸建賃貸物件を運営中。
proshirout(プロシロウト)というグループで「立ち飲みイベント」や「ラジオ」をDIYで企画制作をしています。
主なお仕事
・住宅のリノベーション
・家具の製作
・DIYの相談、手助け
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