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65歳以上の厚生年金が毎年増額する改正と注意点

令和2年5月29日、第201回通常国会において、「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が成立し、令和2年6月5日に公布されました。
その中の1つに、在職中の年金受給の在り方の見直しがあります。
(令和4(2022)年4月施行予定)

これは、65歳以降も働いた場合の老齢厚生年金を早期に年金額に反映するために年金額を毎年改定するというものです。
企業努力による雇用の延長や多様な働き方で、年金を受給しながら引き続き働く人は多くなっています。
年金は65歳到達以降は、老齢基礎年金及び老齢厚生年金の受給が可能です。そして、老齢厚生年金の計算は厚生年金加入期間と給与・賞与額に基づいて計算されます。

現在、65歳到達以降に厚生年金に加入すると、その加入期間分は老齢厚生年金に反映されますが、年金額が再計算され増額するのは、退職時か又は70歳到達時為に、働いた分毎月毎月年金受給額が増額するわけではなく、退職か70歳を待たなければなりません。

せっかく働いて厚生年金保険料を払っても、受取るのは先になるという事です。

定時改定

これが改正によって、65歳以降在職している人については、退職又は70歳到達を待たず、毎年年金が再計算されるという事になります。65歳以降に勤務する人が毎年再計算された年金を受け取れるよう、就労意欲を高めるための改正です。

今後は年金額が変わる回数が増えることになります。これから65歳以降に引き続き働く人は、毎年年金額増額した年金を楽し見に出来ますね。

【注意ポイント】
この改正にはその他にメリットとデメリットがあります。
それは、加給金と振替加算です。

<加給金(メリット)>
厚生年金保険の加入期間が20年以上ある方が、65歳到達時点で、その方に生計を維持されている下記の配偶者または子がいるときに加算されます。
65歳未満の配偶者がいれば、390,900円/年の加算金が加算。
18歳到達年度の末日までの間の子または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子がいれば、224,900円/年が加算。
65歳時到達時点で20年未満でも、その後に被保険者期間が20年以上となった場合は加算が始まります。
今までは、65歳以降厚生年金の加入期間が再計算されるのは、退職時又は70歳到達時でしたので、配偶者が65歳に到達してしまう事がありましたが、その点が解消されます。
(配偶者が65歳に到達していたら、この時点から振替加算の加算となります)

<振替加算(デメリット)>
夫(妻)が受けている老齢厚生年金に加算されている加給年金額の対象者になっている妻(夫)が65歳になると、それまで夫(妻)に支給されていた加給年金額が打ち切られます。このとき妻(夫)が老齢基礎年金を受けられる場合には、一定の基準により妻(夫)自身の老齢基礎年金の額に加算がされます。これを振替加算といいます。
条件として、妻(夫)が老齢基礎年金の他に老齢厚生年金や退職共済年金を受けている場合は、厚生年金保険および共済組合等の加入期間を併せて240月未満であることがあります。
振替加算受給者が、毎年の改定により加入期間月数が240か月に到達したら、その時点で振替加算は消滅になるでしょう。

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