見出し画像

お話して

母親と一緒に天王寺図書館へ行ってきた。図書館カードを作ったのは、何年ぶりだろうか?久しぶりの空間に一人ワクワクした。

『十歳までに読んだ本 』という1冊を借りた。
この本は、作家さんたちが10歳までに読んだ本、絵本でも小説でもエッセイでも、ジャンル問わず紹介する本だ。

なぜこの本を手に取ったのか?
自分がその頃読んだ本の記憶がなく、そもそも本を読んでたのかどうか?その記憶すら曖昧で。
その頃私は何を考え、何を想っていたのだろう?ふとそんなことに思いがいき、何かしらのヒントを貰おうと思った。


私の母親は本好きで、彼女が好きな絵本を、夜寝る前に沢山読んでくれたらしい。(私の記憶にはない母親情報)

今回、家でこの本を読んでると息子が興味持って、自分が記憶にある面白い絵本を紹介してくれた。

キャベツくん (みるみる絵本) [ 長新太 ]

幼稚園で読んで、面白かった記憶があるみたいだ。そのころの記憶を持ってる息子、凄いな、いいな・・と羨ましく思った。

私が母親になったとき、息子の寝かしつけで読んだ絵本は?覚えてない!いや、絵本をあまり読んでない気がする。私の記憶にあるのは、毎晩息子から『お話して~!』と求められたことだった。

その場で思いついたものを即席で物語にする。簡単にいうと、私の空想物語。
覚えてる中に、鬼退治に一緒に行くのが違う動物だったり、かぐや姫が帰るところが違う場所だったり、元々の作品にアレンジを加え、かけ離れた物語や新しい物語に展開していった。


私の思い付きで自由にお話を作ることができて、それを小さな男の子がワクワクして聞いてくれた。それが楽しくて嬉しかった記憶が凄く大きい。


面白い物語が出来たときは、息子が興奮してしまい、寝かしつけどころか余計に目が覚める始末。
階下から『早く寝なさい!』私の母と祖母から、よく怒られた。怒られたのは息子と、わたしだった。

毎晩『お話してお話して!』ってせがまれたから、私の空想物語もかなりいい出来だったのではないか?
昨晩息子とそんな話もしていたら、息子がぽつり。

『俺が物理で色々と想像するのが好きなのは、おかんが寝る前に色んな物語を作ってくれたからかもな。』
またまた嬉しいことを言ってくれるではないか。

自分が楽しくてワクワクしながらしてたことが、子育てにおいてよかったことなのか?私は自分でいい子育てができたと思わないし、むしろ反省ばかりで、彼には申し訳ない思いを持っている。

私は一体何者だ、私は一体誰だ、自分の輪郭さえ、まともに捉えることができないわたしが、子供を産んでしまい、その子と毎日楽しく過ごしただけだった。笑って、泣いて、ケンカして。

『息子を育てた』、この言葉よりも、『息子と育った』、この言葉が一番しっくりくる。


私が小さな息子に創ったお話は、
小さな男の子と大きな女の子が地球に降りてきて、一緒に成長していく長い物語だったのかもしれない。

この記事が参加している募集

#自己紹介

231,593件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?