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フィトンチッド

私の胸の内にいつもあったものは、不安だった。
そんなことにも気づかず、自分の事を分からず長い間生きてきた。
立ち止まって考えてみると、分かっていなかった、ではなく、自分自身が私のことを知ろうとしなかっただけだと今は思う。

「分からない」と「知ろうとしない」は全然違うのだ。


私は今までストレスが原因となる病気や、原因不明の病気を沢山してきた。今も現在進行中のものがあって、お薬が手放せない。それでも以前よりだいぶ良くなり、薬の回数も減ってきている。


40歳を過ぎてから、人生初めての過呼吸も経験した。私にとってその初体験は恐れ以外のなにものでもなかったし、出来たら蓋をしておきたいことでもあり、こうやって堂々と言葉にしたこともない。
その経験が自分と向き合う事に歯止めをかけていたのかもしれないと感じる出来事があった。


町中で急にやってくる不安に対処するのは久しぶりの事だった。
人が沢山歩いている姿を見るだけで、心臓がどくどく心が疼き、正体不明の不安が突然襲ってきた。

その時、私が向かったところは、毎日会いに行く【巨木】だ。
その巨木にもたれかかっていると、不思議と落ち着いてくる。
なぜだろう?と思って先日色々調べてみると、新しい発見があった。



【フィトンチッド】
聞いたことがある人もおられるだろうか?
これは植物が造る生物活性物質、生理活性物質のことである。
樹から発散されるフィトンチッドが、森林の中で人をリラックスさせる成分なのだ。森林浴とはまさしくこのことである。

科学の分野では、精油に含まれるテルペノイドなどに殺菌力を持つ成分が多く含まれており、これらの物質がフィトンチッドの本体とも考えられているそうだ。

その成分が多く含まれている精油が人の抗うつ作用の働きをし、私が肌身離さず持ち歩いている『フランキンセンス』精油がその一つでもある。
『フランキンセンス』精油は樹木系の香りに分類されている。


私が香りの世界に引き込まれていった理由は、私の内に渦巻く不安を鎮めるためだった。
私にとってのこの相棒が、不安や心の乱れを落ち着かせ、心の滞りを滑らかにし、心に静けさをもたらせてくれた。

闇の中では光が輝くように、不安の中には安心が存在する。
私は、不安の塊だったからこそ、自分にとっての安心を見つけることができた。
不安が帰る場所、不安が戻る場所は、安心なのだ。


不安のある場所には安心があり、安心がある場所には不安があるのだと思う。


不安の中にいるから、安心を見つけられる。
安心の中にいるから、不安を愛おしく思える。
そう考えてみると、私が纏う不安さえ大切に思えてならない。

もしかしたら私は、不安の香りを放出しているのかもしれない。それをキャッチしてくれたのが、フィトンチッドなのかもしれない。

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