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風の万華鏡

ここ最近、暑さが増し、夏はすぐそこでお待ちだ。

少し前までは風がよく吹き、歩いていても、夜ベッドでコロコロしてるときでも、風に意識を集中させることが多かったが、ここ数日風は引っ込み、燦燦と照り付ける太陽に意識が向き、「暑い~」そんな独り言が増えてしまった。

実は私、過去2回ハーフマラソンを完走した経験があり、結構頻繁に走っていた時期があった。走っているときはダイレクトに風を感じることができ、自分の足で必死に走らなくても、彼を信じ切ることで、彼に運ばれていた。
その時期は苦しみの真っただ中にいるときで、走る風が当時纏っていた不安や恐れも吹き飛ばしてくれた。そして、自分の足で前へ前へ進むことも教えてくれた。


出場したハーフマラソンで、私が完走することができたのは、自分の力で完走を目指したのではなく、ただ、風に身を任せただけだ。


風を感じていると、私の空想、想像の世界はどんどん広がり深まっていく。
彼にはルールなどなく、左右上下どこからでもやってくる。「フッーー」その一吹きで私の今ここは「カシャカシャー」と切り替わり、自分のいる世界が万華鏡みたいに変化していく。
色も模様も変幻自在で、ワクワクしてくる。

いつも思い浮かべる色は、ピンク、紺、オレンジ。模様は〇。
〇の中には幼い私が笑って遊んでいる。それを心の目で見ていると、更にワクワク度が増す。


大人になって日々社会で生きていると、いいことも悪いことも沢山起こる。知らなかった感情にも出逢う。
でも、どんなことも、夜寝る前一日の全てをクリーニングする。
今日一日感じたこと、言われたこと、言ってしまったこと、全て全て洗い流し幼い頃の自分に戻る。そして、翌日目が覚めたときは、新しい一日が始まり、新しい自分が生れる。そうやって日々日々瞬間を生き、自分という存在は毎日生まれ変わる。昨日一昨日一年前数十年前、記憶のある過去の全ては今ここに保存されているだけで、その亡霊に苦しみ続けてるなんて持つ有限の時間が勿体ない話だ。

目に見えるものは、今ここにしかない。
そこには、出逢ってきた人、経験してきた過去、過ごしてきた時間、これから出逢う人、経験する未来、過ごす予定の時間、周りを見渡してみてもどれも見あたらない。空白の時間と空間しかなくて、あっちにもこっちにも動き回れる自由がある。だから、私は今ここを生きる。


風は人間が見ている世界を自由自在に通り過ぎ、自分がいる世界は万華鏡の中だと教えてくれた。
1日1日は忘れても、自分自身だけは忘れたくない。


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