みちのく潮風トレイル-20/50 釜石市 鵜住居駅~千畳敷~両石駅
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みちのく潮風トレイル-20/50 釜石市 鵜住居駅~千畳敷~両石駅

松下竜之介@岩手県宮古市

こんにちは。岩手県宮古市を中心に、みちのく潮風トレイルや三陸ジオパークのガイドをしている人です。

今回は、みちのく潮風トレイルの、岩手県釜石市エリアを紹介します。
釜石の箱崎半島を一周する、三陸鉄道の鵜住居駅~両石駅の区間を、南から北に行きます。

駅でいえば両石から鵜住居は、たったひと駅、駅間距離も2㎞足らずなのですが、その間を、東に飛び出した箱崎半島をぐるっと先っぽまで歩いて戻ってきます。
なんと約40㎞の行程です。フルマラソンか!?
そういうことで、ある意味、複雑に入り組んだリアス地形を象徴する場所です。

同じリアス半島でも、重茂半島や船越半島のように、まあ1日で歩くのは明らかに厳しいよねと分かっていたり、途中でセクションを中断しやすい駐車場や施設があるなら、あきらめもつきやすいのですが、箱崎半島は、道中にほぼそういった施設や、ほどよい駐車場がありません。

先っぽの千畳敷に行くだけなら、比較的整備されている白浜側の舗装路をたどって往復すれば、半分ぐらいの時間で済んでしまうのですが…。両石側の林道が長いですね。
覚悟して1回で回り切ってしまうか、かなりの区間がダブるのはしょうがないとあきらめて、途中を縦断するようにして2回に分けるか、だと思います。

高低差はあまりないので、歩くこと自体がきつい区間というより、純粋に「長くて脱出する道が少ない」のと、「景色の変化が少ない」「標識類の整備が弱い」ことが難易度を上げている区間だと思います。

先っぽの千畳敷はとても素晴らしいので、ストイックに頑張るしかないですね。

(2022年4月時点での情報で書いています。あくまで記載の情報は目安として、各自の自己責任にて充分な調査や計画のうえで行動に臨んでください。記載内容の正確性や、記載内容を参考にしたことにより生じたトラブルや事故等について、当方は一切責任を負いかねますのでご了承ください)

■両石駅~仮宿

両石駅から北向きのルートでご紹介です。

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両石駅付近はかなりの高さまで津波被害が出ています。現在は駅周辺が全体的にかさ上げされて、集落も駅前に高台移転になっています。

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その、かさ上げされたところを、国道45号線をまたいで海のほうに下りていきます。

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両石港の昔の風景…。

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漁港から舗装路をのんびり進みます。この辺りは、いかにもリアス湾の漁港という感じの風景が続くので、漁港に寄ったりもいい感じですね。

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そろそろ一時間かな、というところで、桑の浜の漁港から陸閘を通って林道に切り替わっていきます。

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漁港を抜ける舗装路伝いには標識類がありません。車道を普通にたどるか、私は津波の避難路になっているとおぼしき階段で高台の集落に上がるルートをとりました。(公式のGPSデータではこの避難路をたどっています)

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車道を少し登ったところから、林道に分岐します。ここから長ーい林道へ。もちろんクマ標識もありますよ。
この写真は少し古くて、今は車両通行止めの標識はありません。

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この林道は、車が走れる幅の砂利道になっていて、自然歩道というより作業道という感じですし、生活道路でもあるようで、たまーに軽トラにあったりします。葉が茂っている季節だと、海はあまり見えません。
黙々と林の中の作業道を歩く感じで、変化もあまりありません。アップダウンもあまりないのが、先の長さを考えればありがたいいっぽう、ちょっとやっぱり退屈です。ここより北でいえば、普代の黒崎と田野畑の北山崎の間の自然歩道にちょっと印象は近いです。

たまに、ちょっと景色がいいです。

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林道に入って1時間半ぐらいでしょうか。やっと視界が少し開けてきて、仮宿の集落に下ります。ここでいったん林道おしまい。ちなみに南下してきている場合は、ここから林道に分岐します。

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さて、この仮宿の集落内も、やっぱりトレイル標識がほとんどありませんので、ちょっと困りますね。私は地元のおじいさんに会えたので道を教えてもらいました。(地元の人は、先端の御箱崎のことを「おはこ」と言っていました)


正しいルートは、三貫島神社には下りずに、高台の集落道を抜けて、お墓を見下ろしながら歩く感じです。(逆に東から来ているときは迷わないと思います)
三貫島神社に下りた場合は、神社のすぐ横から津波の避難路が上に続きますので、そちらを使うと本線に戻れます。
三貫島神社は、海に向かって特徴的なつくりなので、お参りしておくといいと思います。

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この仮宿集落には、お墓の下のほうにトレイルから逸れて下りると、貴重な自販機があります。

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あと、この仮宿から、北に半島を縦断して抜けることが出来ます。北に抜けた場合は箱崎白浜に出ます。ここまででセクションを区切るなら、箱崎半島の根元側から半分ほど回ったことになり、5~6時間ほどになるかと思います。
北側は、箱崎白浜から鵜住居方面はずっと舗装路になるので、スムーズに歩けます。ですので、もしここまででいったん区切ったなら、次回は箱崎白浜周りで、この東のエリアをぐるっと回るとよいかと思います。

■仮宿~大沢遺跡

仮宿の集落から、公民館的な建物の横を抜けると、また、林道への入り口になります。

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また林道を黙々と進み…。
三貫島が見やすい浜に出る道が分岐しています。

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台風災害で崩落していましたが、応急復旧がされています。被害の跡はまだたくさん残っていますが、500メートルぐらいで浜に出ることも出来ます。

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本線に戻って進みますが、この辺りから、台風で崩落した箇所をいくつも通ります。その都度、現在はしっかりした路盤に復旧されていますが、自然の厳しさも見せつけられる感じです。

少し、景色がよい場所も通り…。

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ある意味ではこれも見どころな、大仮宿トンネル。
廃道でこそないのですが、ちょっと廃墟感さえ漂ってきます。照明はありません。
日中なら明かりはいらないですが、気になる人はお持ちになってください。ハイカーさんとも話したことがありますが、手掘りの狭いトンネルより、こういうトンネルのほうがなんだかゾクゾクする感じがすることがありますよね。

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北側の出口は、枝に覆われそうです。

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実際、この区間が災害で車両通行止めになっていた間は、こんな感じにかなり衝撃的な絵面でした。これはこれで味がありましたが…。

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かつては頻繁に車も走っていたのでしょう。こんなとんでもないものも…。

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一見すると廃道感さえ感じるかもしれませんが、現在も生活道路にもなっているようで、軽トラなどはたまに走っていますので、意外と急に車が来るのでビックリすることも。

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スタートから4時間ほど。真新しい土手を超えます。ここは、台風で完全に崩落していた場所でした。

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かつてはこんなでした。道を復旧させた工事業者の方には頭が下がります。

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森の中の斜め十字路。素直にガードレールがある太いほうの道を行きましょう。

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逆向きの分岐はこうなっています。

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スタートから4時間半ほどで、大沢貝塚の標柱。大沢遺跡という、縄文遺跡のようです。面影こそありませんが、釜石では最大規模だとか。
三陸のリアス沿岸には、海沿いに縄文遺跡が点々とあります。それなりに海が近く、数十メートルほどの標高の場所が多いです。昔から魚介類が貴重な食糧だったり、海が交易ルートだった証だろうと考えられます。また、微妙な標高も、昔から津波が来ない場所に住んでいたということではないかとも考えられる気がします。

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この大沢遺跡の所に、少し駐車スペースがあります。道はかなり荒れていますが、両石側からも鵜住居側からも、頑張ればそこまで車で入ってこられるようです。
なかなかチャレンジ気味ですが、ここに車を置いて箱崎白浜と仮宿までぐるっと一周するという箱崎半島の先端半分だけを歩いてしまうというセクションの区切り方もありえますね。

さて、トレイルの本ルートとしては、ここから箱崎白浜方面にぐるっと戻っていけばいいのですが、半島の先端、御箱崎と千畳敷まで、ちょっと昭和感がある歩道が続いています。
先端まで4キロ弱(3キロ強と言ってもいいですが)、往復して1.5~2時間みる必要があります。
行かなくてもトレイルルートとしては問題ありません。1.5時間以上の時間を稼げるのも大きいので、先を急ぐならパスする判断も正しいと思います。
ただ、千畳敷は本当に迫力のある風景なので、お天気よければ、なんとか、行ってみてほしいです。

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■大沢遺跡~千畳敷

ということで、御箱崎と千畳敷方面に、長い寄り道です。
細い半島の尾根をずっと行く自然歩道です。高低差もたいしてありませんので1時間はかからないはずです。
ただ、景色は、狭い尾根のわりに、海がほとんど見えないので、ちょっと残念です。冬など葉が落ちている季節なら左右とも海が見えてまずまず気持ちいいですよ。

御箱崎が近づくと、予想外のきれいなトイレ。あずまやもありましたが、特に展望もよくなく、そちらは、うーん…。

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さらに先で、千畳敷を見下ろせます。看板の横から下りることが出来ますが、先に、御箱崎まで行きます。

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鳥居をくぐって、着きます。原付で来ていた地元の方のお参りに会えました。信仰されているんだなあとしみじみ。
ただ、私が「両石から歩いてきました」といったら相当衝撃を受けていたようでした(笑)「クマ出るから」ももちろん言われましたよー。皆様もお気を付けください。

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神社の先には、灯台もあります。まあ、例によって、草で見晴らしはよくはありませんが…。葉がなければ、まあまあよいです。

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さて、千畳敷ですが、トレイル看板の横から階段で下ります。
階段を下りきったところでも充分に迫力です。

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体力と、高いところが苦手ではないとか、登山のロープ場・鎖場ぐらいどうということはない、という方は、階段の下にあるロープでさらに下まで下りられます。もちろん、自己責任になると思いますので、無理はしないほうがいいと思いますが。私ももちろん責任は負えませんので…。

写真は遠くから収めてますので小さく見えますが、木のスケールと比べていただくと、岩の大きさや高さが分かると思います。ここまでくる道のりを考えれば、階段の上からで満足しても何も問題ないと思いますよ。

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ちなみに下に降りるとこんな感じです。

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千畳敷は、この白っぽい巨岩が特徴で、花崗岩です。
三陸沿岸・北上山地にたくさんある、1億年と少し昔の頃に大量に出来た、マグマが深い場所で固まって出来た岩です。
この北でいえば、大槌の蓬莱島や、山田湾、宮古の市街地などで見られる花崗岩と、同じ時代・同じ出来かたです。
それがここでは、太平洋にそのまま突き出して、荒波を受け続けてどんどん削れていっているということですね。ここの外海の荒波を見ていると、リアス湾の内側に入ると、いかに波が穏やかかというのも、よく分かります。

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■千畳敷~根浜

さて、千畳敷を離れ、大沢遺跡まで戻ったら、今度は箱崎半島の北側の林道で西に進みます。

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南側を歩いてきた感覚からするとびっくり、ここは30分もあれば、あっという間に林道を抜けます。
この辺りも崩落から復旧しています。味も何もない道になっていますが、安全のためにはやむなしか…。クマ看板はすごく浮いてますけど、綺麗に整備されているのはこの辺りだけなので、クマ鈴は必須ですよ。

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民家が見えてきて、箱崎白浜に出ますが、地味な難所がここ。
十字路になっていますが、トレイル標識はありません。復興工事で道の様子もちょっと変わっていて、微妙に地図もあてになりません。土のうに巻かれている二本のテープだけが頼りです。東から来る道の側と、西から来る道の側に一本ずつあるので、東西にまっすぐ進め、という意味でそう巻いてあるようです…たぶん。いや、これは、察しろというのはなかなか無茶ぶりです。分からん…。

とにかく、御箱崎方面から来た場合は、曲がらずにまっすぐ十字路を西に突っ切る。根浜方面から来た場合も、曲がらずにまっすぐ東。自分の来たほうからまっすぐ十字路を突っ切ってください。

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突っ切らないほうの道から見ると、こうです。

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真新しい防潮堤と、崖の擁壁。険しい土地なのをよく物語っています。

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箱崎白浜の集落に入ります。微妙に道が分かれますが、標識類はありません。基本的に、防潮堤の裏側を歩いて、高台の集落方面に向かいます。防潮堤の上は歩けませんが、防潮堤の行き止まりのところに、平成の津波碑が新しく建てられています。その辺りからは、漁港の様子もよく見えます。

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トレイルルートは、白浜集会所広場への避難路看板を頼りにする感じで、昔からの集落道に入っていきます。(根浜のほうから来た場合は道をたどれるので、この辺りでは迷わないかと思います)
ここの集落道の途中から、南の仮宿まで抜けていくことも出来るので、もし箱崎半島をセクションハイク2回に分ける場合はそういうルートもあり得ます。(ここから鵜住居方面は1時間そこらですので)

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なおこの箱崎白浜の集落に、保育所をリノベーションしたゲストハウス風の相部屋民宿があります。ハイカー旅にとっては色々制約はあるかもしれませんが、箱崎半島は千畳敷を入れると一周8時間以上かかる難所の一つですので、その途中に宿泊できる可能性は大きいですね。検討される場合は、事前に問い合わせておくほうがよいでしょう。

あとはまた、舗装路をずっと進みます。南の仮宿のほうの林道と比べて、こちらはルートさえ確認できれば、集落と集落の間は快適です。海も見やすいです。

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次に、箱崎集落に入るのですが、ここは、古いマップと現在の本線が異なっています。
海沿いの神社を回る旧道が地図上ルートですが、神社側からの道は、現在は、新しい道に突き当たって行き止まりになっています。東から新しい道をたどってきた場合、「神社方面に下りていい場所」はありません。
このまま新しい道を行ってから、防潮堤のほうに少しUターンをするような感じで戻って漁港に下りていくのが行くのが現在のルートです。


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逆向き、根浜側から旧ルートどおりに神社側をたどった場合の写真です。このように行き止まりになっています。

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根浜に向かっている場合も、Uターン気味に漁港に下りるより、自然に歩いていると、防潮堤の乗り越し道路を歩いて漁港に下りることになるかもしれません。まあ、どちらでもいいのではないでしょうか。
漁港に降りずに、新しいほうの道をそのまま進んでも根浜には行き着きます。なので、あまりこだわらずに、道なりにたどるほうがいいかもしれませんね。

この写真は、防潮堤の乗り越し道路です。

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本ルートの場合は、海沿いのトンネルを抜けて、根浜に入っていきます。
ここでやっと、トレイル標識。この写真では、西から東を撮っています。ここは東からなら、合流するだけなので問題ないですが、西からだと標識見落とすかもしれませんね。
左側のルートがトンネルを通る本ルート。ま、右に行ってもくねくねして同じとこに出ますが。

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根浜の園地に出ます。駐車場、レストハウスなどがあります。イベントをやったりもしていますね。

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根浜海岸です。津波で被害を受けた砂浜も、復旧が終わったのだそうです。

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宝来館。津波のとき女将が裏山に登ろうとして流され奇跡的に生還したお話は有名です。
スルーハイクの人や、遠方のセクションハイカーは、やはり箱崎半島攻略の拠点にはここを選ぶのかな?と思います。

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■根浜~鵜住居駅

根浜を抜けると、鵜住居エリア。
完成したばかりの鵜住居水門を横目に…。

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鵜住居復興スタジアム。

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鵜住居駅はスタジアムの正面に川を渡ればすぐです。
ただ、トレイルルートは、駅に行く前に、恋の峠という、両石と鵜住居の境になっている国道45号線の地点まで坂を上ってから戻ってくるコースになっています。これが地味に30分ほどかかります。

長ーい箱崎半島を歩くなら、鵜住居駅と根浜の間は直行して、恋の峠は大槌側のコースの日に回してもよいかと思います。

恋の峠を歩くコースになっているのは、311の際に、鵜住居復興スタジアムの場所にあった中学校と小学校の生徒達が、恋の峠まで率先避難して助かったという教訓があるため、その避難ルートを追体験させる意図でしょう。
でも、そういうストーリーはマップ等には出ていないので、目の前の鵜住居駅を迂回させられるようなルートに、疑問だけを抱く人もいるかもしれませんね。もうちょっと、コースの意図を紹介出来たらいいのではないでしょうか。

その途中、恋の峠側からスタジアム側に下りてきている南下ルートの場合、ちょっと間違えそうな分岐があります。新しい太い道は根浜方面へそのまま行ってしまうので、トレイルは競技場方面に下りていって下さい。

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こちらが恋の峠の、国道45号線との合流点。トレイルはここでV字に曲がります。

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恋の峠から鵜住居駅方面は、国道45号線にV字で入って、三鉄沿いに鵜住居駅に向かいます。

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鵜住居トモスに無事到着。
リアス半島をこれ以上ないぐらい身をもって体験できるコースでもありましたね。

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ということで、「1日で回るかどうか」「分けるならどこで分けるか」「千畳敷に寄るかどうか」など、いくつか悩みどころがありますね。

千畳敷は素晴らしいんですけどね、色々なちょっとしたことの積み重ねで、ハードルが相当上がっていると感じる区間でした。

今回のヤマップのデータは↓

この北側の区間は↓

南側の区間は↓

みちのく潮風トレイルの基本的なことは↓

宮古市以南のコースは↓




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松下竜之介@岩手県宮古市
岩手県宮古市 / 一社)浄土日和(ガイド活動全般)/地域プロモーション/みちのく潮風トレイル2周目/三陸ジオパーク認定ガイド/宮古市移住コーディネーター