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離れていても通じ合う〜副題〜Nianticへのファンレター



夫と別居していた時期がある。
その時に一緒に見た花びらが忘れられない。


夫、一人で心の旅へ


別居の理由は、夫のノイローゼだ。
辺境ならではの、濃厚な人間関係とか同調圧力とかが合わなくて、そして何より、父と一緒にやっていた農業が苦しくて合わなくて、どんどん笑顔が少なくなっていった。
「俺、辛い。この土地と少し距離を置きたい。」
と言ったので、色々考えて迷ったけど、
「無期限の一人旅に出てきなよ!」
と別居が決定した。

私が住む家は、私の実家の横に建つ持ち家。
実家には認知症の父。
発達障害がある一人娘は小学校にやっと馴染んだところで、転校なんて無理。
娘と父と学校には仕事の都合による「単身赴任」と伝えた。

もともと結婚後も、海外への一人旅の習慣がある夫。
一人旅の国内ロング版だと思うことにした。



楽しいセカンドハウス


お互いを嫌いになったり、喧嘩したりして始まる別居ではないため、私も新しい別荘を手に入れるような気持ちで都市部に不動産を探した。

決まったのは、大きな大きな公園に面した築30年超の古い物件。昭和な感じがとても良い。押入れが沢山あって、窓も三面採光。

親子三人でわあわあ言いながら、自宅から持ち出すものを選んでいったり、娘の写真をコラージュした額を作ったりと楽しく準備した。



新アイテム導入!


夫の一人旅はスムーズに開始した。

とは言え、間違いなく家族みんな寂しくなることは目に見えている。だから、家族で共通の趣味を持つことにした。

ポケモンGO


そうそう。皆が知ってるあのゲームソフト。

位置情報に対応したバーチャルな世界の中で、ポケボールを投げてモンスターを集めていく。

ちょうど娘がカタカナを覚え始めたときだったので、カタカナだらけのポケモンは教材としても良い、と思ったのだ。

夫婦それぞれにスマホに落として、次に合う時までにどのくらいレベル上げできているのか、どのくらいポケモンが増えているのか、見せ合おうね!って約束した。



別居だけど寂しくない!?


ポケモンには、『フレンド』という機能がある。

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なんとフレンドになると、歩いた距離とか、つかまえたポケモンの数とか、お互いがどんなアクションをしたのか分かる

直接会わなくても、スマホの画面を見せ合わなくても、分かる。

こんな機能もある。

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フレンドになると、相手にアイテムが入ったギフトを贈ることができる。

(このギフトは、ポケストップやジムで入手するが、自分では開くことが出来ない。フレンドに贈ると、貰った人は開封できる。)

そして、このギフトにはカードが添えられていて、入手した場所が記載されている

それらの機能で、私達は毎日、お互いに離れているけど、

「今日は、こんな所に行ったんだな。」

「今日はパパ、めちゃ歩いてるなぁ。」

「なんか、レベル上がってる?」

「出張で滅多に行かない場所まできたから、ギフトをゲットして送っておこう」

「コスチュームを可愛くキメよう!」

と、お互いの動向を意識しながら生活していた。
そしてそれは、私達家族をとても暖めてくれた。



やっぱり一緒がいいね


引越した後、初めて夫の一人暮らしの家に遊びに行ったのは、秋の三連休だった。

お泊まりの用意をして、美味しいものを買って、マンガも持って、最寄りの駅まで着くと、娘のお気に入りの曲をかけながら、夫が車で迎えに来てくれた。

「今日は、コミュニティデイなんだよ」

運転しながら夫が言う。

「家の前の公園に人が沢山集まっているから、行ってみようよ。」

コミュニティデイは特定のポケモンが大量に発生するイベントのこと。そのため、特定のポケモンのアメを集めたり、高個体を厳選するチャンスとなっている。

お泊まりグッズを家に置いて、アクティブな服装に着替えたら、親子三人で公園へ歩いて行った。道すがら、沢山の人が手にスマホを持ってポケボールを投げている様子が見てとれた。

大きな公園だから、バーチャルな世界ではポケストップ(ギフトやボールが貰える場所)が沢山あるし、ポケモンが沢山発生しているんだろうなぁ、とか考えながら公園入口に来た。

するとそこには、

花吹雪の世界が現れたのだ。


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「キレーイ!公園中に花びらが踊ってる!」

と娘は大興奮だった。

ポケモンを引き寄せるアイテム「ルアーモジュール」というアイテムを使うと、ポケストップの周りに花びらが舞う。その日は、イベント中なので色々な人がそのアイテムを使ってポケモンを引き寄せていたのだ。

公園内の道沿いにズラリとポケストップが並んでいて、そこから無数の花びらがハラハラと降ってくる。

ポケストップの存在がまばらな、かなり辺境に住む私と娘は、こんなに一度に沢山のポケストップが集まっている場所を見たのが初めてだった。
純粋に、感動した。

夫の手をギュッと握って、私は言った。

「やっぱり、一緒が良いねぇ」



ゲームの可能性を信じてる


時がたって今、夫は隣にいて、臭い靴下を私や娘に投げつけてくる。(←やめろ)

ゲームは人をダメにするとか、時間の無駄とか、ステレオタイプに捉える人もいると思う。私はそうは思わない。

関係性が薄れてしまいそうな場面だったけど、自然に毎日の話題が生まれた。
離れて暮らす家族同士で、自然に繋がることができた。
可愛いキャラ盛り沢山。
カタカナ学習にもなる。

ポケモンGO、ありがとうだぜ🌟

このご時世だからこそ、離れ離れの私たちを繋ぐのはゲームなのかもしれない。ポケモンGOは、歩いてなんぼのゲーム設定だったけど、最近では変わってきている。


状況への最適化だ。

私は応援している。





⭐︎⭐︎⭐︎

以前に公開していたものを加筆修正しました。

こちらの続編になります。↓



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thanks !  Elias Andres-Jose




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