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小一の壁を見上げてた【後編】

2年前、発達障害のある娘を小学校へ入学させました。長期プロジェクトで入学準備をしてきましたが、娘は果たしてソフトランディング出来たのでしょうか?後編は「で、どうだったのか」を振り返るものです。

4月1日、母号泣

保育園のお預かりは3月31日まで(地域差あり)。4月1日からは預かりなし。ギリギリまで利用していた保育園から出されて、ついに学童または放課後デイサービスの利用が始まるのが4月1日でした。

「ずっと保育園に行きたい。学童もデイサービスも行かない。」

と娘はキッパリ言いました。思考停止。

年度始め、夫婦とも仕事休めない、
実家で父と留守番、無理、
義母呼ぶ、無理、
と瞬時に目まぐるしく頭を働かせました。視界が涙で滲みました。

そこに実の妹(主婦/小学生の息子あり)から助け船があり、春休み中〜入学式まで日中預かってくれることになりました。電話口でホッとし過ぎて、ありがたくて号泣したことを覚えています。

放課後デイと学童

保育園から小学校へつながる春休み中にはどちらも利用せず、という私にとって残念な結果になりました。しかし、入学した後は割とすんなり学童に行き始めました。

理由は、クラスのお友達がほぼ全員学童利用だったため、
「授業が終わったら何か知らんけど行くところ」
という刷り込みがあったからと思われます。

逆に、放課後デイサービスは行くのに抵抗があるようです。クラスで利用する子がいないことと、毎回違う担当者が車でお迎えに来ることが嫌みたいです。
「あの人誰なの?」
って聞かれて説明するのも嫌みたい。結局、週一の利用に落ち着いています。

娘にとって放課後落ち着いて過ごせる場所はどこか?

私はよく分かってなかったのかもしれません。
娘にとっての落ち着く場所とは、好きなお友達がいる場所でした。ということは今後、お友達と人間関係で悩み出す日が来たら、逃げ場所としてデイサービスの利用日数が増えることもあり得ると思っています。

入学式も大荒れ

前日に会場に入らせてもらい、入場ルートや座る位置まで予行練習させてもらっていました。

しかし、当日の会場には在校生や保護者や来賓が座っておられて、それが前日とは全く違っていたので、もうダメでした…。
新一年生は二人ずつ手を繋いで体育館に入場することになっていましたが、担任の先生と説得しても涙ながらの断固拒否でした。

体育館の保護者席の端っこで、娘と二人並んで座って式を見学しました。
在校生の頭の向こうの遠くに新一年生が座っていて、私の目にはすごくピカピカ光って見えました。
切なかった。

二年生の今では、行事は一通り経験してどんなものか見通しが立っているので、問題なく参加出来ているようです。

特別支援級での生活

結論から言うと、支援級にして良かったです。
少人数クラスで、目が行き届いているので、困り感を外に表せないタイプの娘には合っていると思います。
また、耳からの指示が通りにくい特性がありますが、先生がイラストで手順を示したカードを作ってくださって、それを見ながら行動しているようです。

娘は、おかげさまで毎日楽しく小学校に通っています。
それは、多分、小さなことでも見逃さず褒めてくださる先生が待っているからだと思います。

診断と療育は受けておくと、本人を守ることになります。
娘の困り感についてハッキリした診断名があることで学校は対処がしやすいようです。
診断が出るときに受けた、田中ビネー式のテスト結果も娘を分析する上で役に立ちました。得意不得意が数値化されているので、学校生活のこの場面は上手く行く上手く行かないと想定しやすいのです。
また、療育も有効でした。娘には私以外の人が冷静に学校のことを噛み砕いて伝える必要があったからです。

学校生活は叱責の場であってはならないと思います。
娘にとっては、学ぶことが嬉しい場になっているようです。

さいごに

私は、仕事に関しては先の方までスケジュール管理して最短で無駄なく効率的にすすめるタイプです。「小一の壁」にあたって、色々と想定して準備してきたつもりでした…。

しかしながら娘の子育てに関しては想定外のことばかりです。
急に誰かの手を借りることや、仕事場からの早帰り、急な休みがありました。
日頃から周囲に対して、特性ある娘のことをアナウンスしておくべきだと痛感しました。

「子供がいるのかいないのか」
「何歳の子供がいるのか」
すら知らない同僚からは、協力は得られにくいです。
ふだんからプライベートなことも、お互いに普通に構えず話せる間柄になってると、最強です。

家族についても同様です。
かかりつけの医師は誰なのか、デイサービスは何曜日利用なのか、朝の登校の集合時間がいつなのか、知らない人には協力を仰げないのです。

私自身は、結構シュッとしてて顔に焦りを出さない人でしたが、もっと焦る心情を吐露しても良いと分かりました。
ただ、ママ友に
「親が怖がっていると子どもに伝わるから、どーんとおおらかにね!」
とアドバイスをもらったので、そこは忘れずに。

さらにさいごに

勤め先(人事課)への告知として書いた作文があります。
新年度へ向けた調書なのですが、
「子どもファーストで行きます!」と熱く伝えています。
お時間がある方はどうぞお読みください。

 娘が4月に小学校に入学します。その娘は、◯月に発達障害の一種である自閉症スペクトラムと診断されています。そこで入学後は、特別支援級に入れるように手続き中です。
 娘は、新しい環境にさらされると極度の緊張から乳児のようになります。先生からの指示が耳に届かないこともあります。定型発達の同級生と比べて、出来ないことがたくさんあります。各種行事や授業参観などでフリーズしてしまいます。とくに環境の変化を極度に恐れる子供です。
 健常児の子育てと違って、保育の現場(今後は学校)と連絡を取り合うことなどで心的ストレスも多く、また娘の予期できない行動にダメージをうけるシーンが多々あります。
 そんな中異動してしまうと、新しい職場で人間関係を構築し、業務を覚えていくことに必死になることで、娘の大事なサインを見落とす可能性があります。あせりから娘をせかしてしまって、娘がSOSを出せないという、最も陥りたくない状況になってしまうことを恐れています。
 入学という娘の人生の一大事に、娘が戸惑い助けて欲しいと思う日があるかもしれません。
 私は、一人の母として娘の「助けて」を受け止めてあげたいのです。「助けて」と言いやすい環境を整えてあげたいです。そのためには、自分の心の余裕が不可欠であると考えます。

追記:その翌年に異動ありました。


コトグラファーmihoさん、素敵な画像をありがとうございました。


ハトちゃん(娘)と一緒にアイス食べます🍨 それがまた書く原動力に繋がると思います。