見出し画像

正座待機!

最近、毎日、正座している時間帯がある。

発端は、先週末我が家にカセットデッキが届いたことだ。夫が衝動買いしたのだ。

え?なんで、今さらカセット?

STAY HOME 状況下で、自宅という環境とじっくり向き合わざるを得ない。夫は、空前の自分振り返りブームになっているらしい。自分が持っている手持ちのコンテンツにスポットを当てまくった結果、

カセットが満載のアタッシュケースが発見された。

私と出会うずいぶん前に、思春期の頃、録音したカセット…。それを再生するためのデッキがゴールデンウィーク明けに届いたというわけ。

どう考えても、甘酸っぱすぎだろう!

夕飯を食べ終わり、思い思いに自由時間を過ごす20時過ぎ頃に、そのカセット再生タイムが始まる。
そうすると、どうしても一音一音を聴き逃したくなくて、スピーカーの音の広がりが重なり合うスイートスポット辺りに正座してしまうのだ。そこにソファは置いていない。

選曲は夫がする。

リクエストは私がする。

邦楽でアイドル系とか。

洋楽でCMタイアップ曲とか。

私の夫はだいぶ年上なので、私が幼少期には既に思春期に入っている人であり、知らない人の知らない曲もカセットに沢山入っているはずである。
でも、ストライクゾーンに投げ込んでくる。

夏になると季節限定で活躍するグループの曲

(今はなき)タバコのCMで流れた洋楽

クルマのCMのあの曲


正座してまうやろ。



音楽を聴く時、私は、感覚を研ぎ澄ませて聴く。
特になぜか視覚もフル活用する。
かんのんさま状態である。
音を観ると書いて観音(かんのん)…。

宙を凝視して音に聴き入る私。
あの時の心の動きを追って、

遠く遠くまで
そして深く深く
自分のインナーワールドへ。


当時のクラスメイトのことを思い出していた。


FM番組にリクエストや投稿をするのを楽しんでいたタナケン(仮名)。ずっとラジオネーム何なんだろう?と思っていた。あるラジオ番組で、Tears for Fearsの“シャウト”が流れた後に『このリクエストは、タナケンさんからでした〜』とラジオが言ったので、まさか?と疑念を抱く。そして次の日、クラスで彼がめちゃ興奮していたから、やっぱそうか!ラジオネームそのまんまやん!と野口さん(@ちびまる子)ばりにほくそ笑んだあの日。
生徒会で一緒に役員していたおっさん(あだ名仮名)。大阪から転校してきて関西イントネーションが新鮮だった。バレンタインデーに生徒会室で皆の前で告ってチョコを渡してしまった。皆が祝福ムードになって、その場で『ホワイトデーにはお返しするで』って言ってくれたのに、ホワイトデーが来る前にもう冷めてしまったなぁ。
突き抜ける賢さを持ったI君。どうにかして同じ土俵に立ちたいと、彼が読んでた本をずっと追いかけて図書館で借りたりした(アニメ、「耳をすませば」みたいな)。彼は『元素は変えられる』とか、ちょっと難しめを読んでいたから挫折。聴いてる音楽に標的変更。彼とお友達との会話からどうにか探り出す日々を過ごした。
そしてやっと『それ、私持ってるよ!ダビングしてあげようか?』と話しかけたんだよねー。


そして曲が終わり、振り返ると

そこには当時の空気感をまとった見たことない表情の夫がいる。
そして夫の隣には明らかに誰か知らない女性の気配がある。

誰よ?

以下、私の妄想。

テールランプの流れをすり抜けて走る車。向かう先は海。夕方の日没に間に合うかどうかの時間。助手席には夕日に頰を照らされた恋人。海に到着したら言うんだ。「髪に触ってもいいかい?」
カーステレオからは、ボリュームをしぼったアメリカ西海岸の洋楽が流れている。

誰なの?

人は誰しも、あの日あの時に聴いた音楽を耳にした時に、心を丸ごと否応なしに連れて行かれてしまう。
聴いた時の気温や
そこで嗅いだ香りや
横にいた人の手の温もりが
しまってある心の柔らかい場所へ。

今、カセットデッキ前に2人しかいないはずであるが、間違いなく2人以上で聴いている。
夫とは年が離れているため、切り取る風景が少しだけ大人だと思う。私はクラスメイトとのあれこれ。夫は恋人。

ちょっと面はゆいけど、デッキがある方向をみて、正座して聴く。

20時まわったら、正座待機。



追伸 : 来週、MDプレーヤーが届くそうだ。



***

オワコンのメディアツール、ソフトは捨てない方が良い。絶対。
(ゲーム機も含めて)
それらは財産だ。
自分を構成する一部分として取っておこうね。








ハトちゃん(娘)と一緒にアイス食べます🍨 それがまた書く原動力に繋がると思います。