温暖化対策不要論と遭遇した時、私たちは何て言う?
温暖化対策不要論について、特に昨年からずっと考えています。昨年の気候アクションの際には、気候活動家の中で改めて話題になりました。
New ENErationは、NGOに協力し、東京都太陽光パネル設置義務化を盛り上げてきました。
東京都太陽光パネル設置義務化の流れ
私たちはInstagramでの発信活動を主としていました。
結果、パブリックコメントに約3800通の声が集まりました。特に、集計結果は、20代未満の86%、20代の77%、30代の61%が太陽光パネル設置に賛成でという結果となりました。
結果として、太陽光パネル設置義務化などを含む環境確保条例改正案は、昨年12月15日の都議会本会議で賛成多数で可決、成立しました。
この、太陽光パネル設置義務化に関する条例改正に対して「反対」の署名活動や請願書の提出運動があったのをご存知でしょうか?
太陽光パネル義務化反対プロジェクト
キャノンから設立されたキャノングローバル戦略研究所(以下CIGS)の研究主幹である杉山大志さんは、中心人物のひとりのようです。
IPCCの評価報告書の執筆者でもある杉山大志さん
杉山氏は経済産業省の産業構造審議会・地球環境小委員会など、日本のNDC(国が決定する貢献、2030年の温室効果ガス削減目標)を左右する政府タスクフォースの委員であり
2004年からIPCCの評価報告書の執筆者としてIPCCの作業にも参画しいている方ですが、
発言や著書を見ると「温暖化対策不要論」を唱える方のようです。
産業構造審議会・地球環境小委員会で、参考資料として杉山大志さんの資料が掲載されています。
杉山氏の出版物や発言の一例は
書籍「15歳からの地球温暖化 学校では教えてくれないファクトフルネス」
また「温暖化の科学は決着などしていない:『気候変動の真実』」と題された記事で、すでの気候科学者による複数の書評で誤りが多く指摘されている
スティーブン・E・クーニン著「Unsettled」を紹介しています。
著書も多数あり、メディア出演もあり、肩書きもある方なので
こうした発言が(若者向け書籍もあるので)広く拡散されていることは
気候変動対策を妨げていると言えるでしょう。
太陽光パネル設置義務化の際には、実際に杉山氏のメディア出演をよく見かけました。
その他、大手メディアでも多く「太陽光パネル設置は危ない」という報道がありました。
(2022年に、大手メディアが「温暖化対策不要論」を拡散しているような形になっていたのでとってももやもやしていました…メディア関係者様へ……)
東京都環境局は、よくある太陽光パネル設置義務化に関する疑問に対してQ&Aを公開しています。
よくある「パネルって大量のごみになるのでは?リサイクルできないでしょう?」や「台風や雹によって破損するのでは」「火災が起きるのでは?」といった「かえって環境に悪いのでは?」という疑問や
「人権侵害に繋がっているのでは?」といった疑問にも回答されています。
(皆さんも一度は聞いたことがある疑問ではないでしょうか?そんな疑問を持った方は是非!)
キヤノンに撤回を要求するキャンペーン展開が
キャンペーン団体 Action Speaks Louderは、杉山氏の主張を記した報告書を作成し、キヤノンに支援を撤回するなどを要求しています。
このキャンペーンにサポーターとして参加している佐久間裕美子さんが
ポリタスTVにご出演されていました(日本の気候変動対策不要論や懐疑論の流れがよくわかる配信でした)。
英紙ガーディアンは昨年2月に
「Thinktank linked to tech giant Canon under pressure to remove ‘dangerous’ climate articles」
(訳:テクノロジー大手キヤノンとつながりのあるシンクタンクに“危険な”気候変動に関する記事撤回の圧力がかかる)
とする記事を掲載しています。
ガーディアン紙はキヤノンへ質問。
キヤノンは声明でCIGSは独立で運営される民間の非営利シンクタンクであり、同社の事業の一部ではないとし
「したがって、我々は研究所の活動や個々の研究についてコメントする立場にない」と述べています。
CIGSはどのように資金を調達しているか、サイトに掲載された資料を公開前に審査をしているのか、といった質問には回答がなかったと
ガーディアン紙は公表しました。
このように、国内外を問わず、CIGSの「気候変動対策不要論」の発信は非常に問題視されているということができます。
私たちは、まず
①CIGSの気候危機に関する発信をむやみに拡散しない
②気候変動について日々多くの人と会話する
ことで、こうした懐疑論を広めていくことに「待った」をかけることができると思います。
「温暖化対策不要論」または「気候危機懐疑論」に出会ったら?
上述の東京都環境局のQ&Aを読むと
実は、太陽光パネルのリサイクル問題は進んでいて、これからも改善されていく旨や、水害や台風被害による二次被害や破損のリスクが「よくある」というのは誤解だということが分かります。
もし「気候危機懐疑論」に遭遇した際は、是非、どういった情報をもとに認識しているか、そう思うようになったかを聞いてみましょう!
その時にうまく話すことができなくても大丈夫です。
後程、信用できる情報かどうか、ゆっくり調べてみましょう。
今は懐疑論や温暖化対策不要論に対して、丁寧に解説しているレポートがありますので、対処していきましょう。
ご案内
GX基本方針が決まり、原発方針に関して大転換があるなか「原発こそ脱炭素なんだ!」という発信をよく見るようになりました。
「気候正義」を実現したい多くの人は、原発には反対なのではないかと思うのですが、でも「うまく説明できない」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
3月15日21時より「『原発は必要だよ』と言われたら、どんな対話をするといい?」というテーマでインスタライブを行います。
是非、ご視聴(リアルタイムですとコメントや質問ができますので、この機会にご活用ください)いただけたらとても嬉しいです。
それではまたアクションで会いましょう!⚡
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