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【短編小説】繰り返す日々

ふと見上げると、信号がすべて赤だった。一直線の、大きくも小さくもない道。曇り空で、全体的に薄く暗い道。真っ赤な信号だけが目立っている。 

やがて、青へと変わった。そして黄、赤、青を繰り返す。三度繰り返した頃、横断歩道に着いた。

僕の人生も当たり前のように、立ち止まったり、進んだりを繰り返している。今もまたこうして職場に向かい、怒られたり、褒められたりを繰り返そうとしている。



職場は自宅から徒歩で15分ほど。いつも決まった道を歩く。 

通り道、自家焙煎の喫茶店がある。50代後半か60代前半と思われるおじさんが、毎朝コーヒーを焙煎している。透明のガラスから見える姿は、いつも凛々しい。笑顔ではないが、楽しそうに見える。

 喫茶店を運営するのは、とても楽しそうだ。自分で舵を切れる。僕はいつまで今の生活を繰り返すのだろう。

 今日も香ばしいコーヒーに包まれながらそんなことを考え、いつもの日々を繰り返す。


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