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たとえば今夜眠って目覚めたときに

 元気バロメーターがある。これが出来たら大丈夫だなとか、これが辛いといつもより調子が悪いなとか。身体の方で言えば歩く時の足の重たさで疲労をはかるし、熱が出る時は喉より頭痛より寒気の方が先に来ることが多い。それが心で言うと好きなことをしているときの集中力と朝目覚めたときの気持ちだ。

例えば今夜眠って 目覚めたときに
起きる理由が ひとつも 見つからない
朝が来たら わたしは どうする?

きゅうくらりん/いよわ

 某ゲームの登場人物をモチーフにしているらしいこの曲のことは大好きだけどこのパートだけは一時期眩暈がするほど聴くのが苦しかった。今でも胸がキュッとする。外は明るいのに真っ暗の苦しいだけが私の前にあって、目も逸らせないし無くならないし、動けないのに朝はもう既にやってきていて、ここから始まる1日に意味も理由も楽しみも見出せずに、憂鬱に支配されてしまう時間を私は知っている。とても怖い、もどりたくない。希死念慮に振り回されていよいよ何をしでかすか分からない自分が嫌いで嫌いで一生懸命布団に自分を縛り付けていた日々を思い出すのだ。

 逆に恋愛を内容の主軸にしながらこんな言葉を紡げてしまうのだからいよわさんに感服してしまう。先ほど挙げた元気バロメーターのひとつとして、この曲が普通に、好きな曲として聴けるうちはなんとなく大丈夫だなという指標にして大変お世話になっている。こうやって少しずつ自分なりの物差しを見つけて付き合っていくのだろう。
 寒くなってくると憂鬱は栄養を得てすくすくと育つ。うっかりすると芯まで冷えて、その冷えが凍えるような寂しさと虚無感と苦痛を連れてくる。今のうちに少しずつ楽しみを蓄積して備えて、温かいココアを片手にこの冬を越えたい。春が来たらそれはそれで環境の変化に翻弄されたりもするのだけど。

 

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