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6月の短歌

・改札の出口ギリギリを横切られすり切りされる砂糖の気持ち ・梅雨前に夏来にけらし白帯の横断歩道が眩しい9時半 ・あの日あの場所に戻れたらあの人に「失礼ですよ」と声に出したい ・世界の主人公は私だけじゃないディズニー映画はほどほどに観よ ・たくさんの小虫が死んでる部屋の中で明日も目覚めると信じて眠る

    • 5月の短歌

      ・躍るもちもちのなかに荒ぶる生命を宿した子どもに遊んでもらう ・ピクミン育てる人ポケモン探す人ドラクエする人が交差する町 ・高級住宅が消え隣家の松が大地の素肌を静かに見ている ・歩行者用ボタンの「おまちください」が変わらないまま夢から醒める ・息するように嘘つくようになったひと遺品整理に似た涙かな ・教わったことない、教えてほしかった、「失敗」は「終わり」とは違うこと ・ハグをした相手の顔が笑顔だと信じる方法教えてください ・無邪気は無神経の免罪符じゃない時限爆

      • 4月の短歌

        ・不幸ですと百戦錬磨の顔をして急な霰に泣いたりしている ・旧友のまなざしに五条悟いて笑顔をうまく思い出せない ・クチナシの花は朽ちると汚くてそんな言い方されたら痛い ・来し方に泣いてるその子は常にいる 姿勢をただして恥じずに歩け ・白い包みの祖母とふたりでお昼ごはんひとりぶんだけ箸の音する ・教えを破っても死なないと知りやっと生きたいと思えた下宿8日目 ・傷痕にガーゼを貼ればミイラ男みが出る人生(だけどHAPPY) ・じゃまされず噛みしめたいな「人生への絶望」と

        • 月を眺めるようなこころで

          鏡をまっすぐ覗き込んで、映った人と視線を合わせるとき、月を眺めるようなこころでいてもいいのではないか。 手入れがなかなかうまくいかない自宅の庭を眺めて、「ここもだめ、そこもだめ」と点検するような、そんな厳しさがなくたって、案外問題ないのではないか。 ⁂ 欠ける。消える。 陰りもする。 暗い裏面をもっている。 日々変化して安定しない。 ひと月の間で、完璧なのは1日だけ。 そんな月のことを、人は素直な気持ちで「美しい」と言える。 半分以上が欠損して見える姿にさえ、大昔の

        6月の短歌