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ミャンマーとニジェール、蛸の手
ミャンマーにて起こった2021年の国軍によるクーデター、その背後にはロシアが見え隠れしていた。ロシアによる軍政支援があった。
そして今年、ニジェールでも国軍によるクーデターが起こり、そこでは民衆によりフランス大使館の看板が破壊され、代わりにロシアの国旗が掲げられた。
二つともロシアの影があるが、ミャンマーについての報道では民衆はいかにも封殺されているように感じた。ロシアを称揚する(たとえばウクライナ侵攻支持)のはあくまで国軍であって、民衆という感じはしない。
一方で、ニジェールについての報道では、少なくない民衆がロシアを称揚する光景がある。
民衆の息の違いはとまれ、「ロシアは国際的に孤立している」という言葉は俗耳に入りやすいにすぎないと改めて感じられる出来事だった。
ロシア・アフリカ関係について気になり、手元にある廣瀬陽子氏の『ハイブリッド戦争 ロシアの新しい国家戦略』をパラパラめくった。
ロシアのアフリカへの関与を考えるにとりわけ重要な年号は、プーチンによるアフリカ4か国歴訪があった2006年であるようだ。アルジェリア、南アフリカ共和国、モロッコ、エジプト四国への訪問を転機として、ソ連解体以後ほぼ無に等しかったロシア・アフリカ関係が息を吹き返す。
ロシアの狙いは、天然資源からくる利益・過激イスラム原理主義に対する対抗・アメリカの影響力への対抗などにある。
アフリカの天然資源などを狙った「地政学的利益」と、国際的な孤立を脱し、世界での立ち位置を高めるため、特に、国連などでアフリカ諸国の「票」を獲得するための「地政学的計算」を得るために、ロシアはアフリカへの関与をふたたび深めてゆくこととなり、二〇一二年頃からは特にその動きを強化させていった。
クリミア危機のあった2014年も、国連で立ち回るうえでの票を得るためにアフリカが重要であると再認識する機会となった。
このころから、アフリカからロシアへの接近という動きも出始める。
一八年春には、サハラ砂漠以南の五ヵ国、すなわち、マリ、ニジェール、チャド、ブルキナファソ、モーリタニアが、ISISやアルカイダなどのイスラーム過激組織と厳しい戦いを強いられている軍と治安部隊への支援をロシアに要請していた。
ニジェールの民衆がロシアの国旗を掲げるに至る端緒は、ここにみられる支援あたりにあるのだろうか。
ミャンマー等、アジアへの関与についても、また調べてみることにする。帝国論、ロシア現代思想など、探ればいろいろ面白いはず。
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