巳午(minma)㉙
第六章 銀門7前鬼後鬼 キッチンを覗くと、いつになく早い時間に帰宅した美由紀が座っていた。得意先回りか何かを上手くやっつけたのだろう、いかにも余裕といった感じでタバコを吹かすその向こうで、義母が立ち働いている。
「おっ、早いじゃん。どうしたのかな? 今日は飲み会とか無いのかな?」
それでも気を遣っているつもりの健作が、美由紀のしたり顔を軽くくすぐる。
「なによぅ、毎日飲み歩いているわけじゃないわよ。今日は、立ち寄った先がウチの近くだったから、そのまま帰ってきちゃっただけです