見出し画像

「一歩踏み出している自分に自信を持ってください!」 ―信州スタートアップステーション 佐藤さん―

今回の33GAKUマガジンでは、
長野県内の産業を担う次世代産業を創出するため、新たな価値を生み出す創業・新規事業創出を支援されている「信州スタートアップステーション(SSS)」のコーディネータの佐藤さんにインタビューをしました。
コーディネータとして佐藤さんが大切にされていることや、SSSの取り組みをご紹介します。
長野県での起業・創業を考えられている方や創業後間もない方々の悩みを解決するきっかけになると嬉しいです!


◆信州スタートアップステーション事業内容

「信州スタートアップステーション(SSS)」は、長野県が設置する創業支援拠点で、今年度で2年目を迎えます。
長野県が掲げているスローガン「日本一創業しやすい県」を目指し、2020年度に松本市サザンガクに1つ目の拠点が設置され、2021年6月には長野市に2つ目の拠点が設置されました。

現在は、創業を目指す人や、創業後間もない企業のサポートを行っています。将来的には、SSSを通じて創業・事業成長を経た起業家や新規事業者が、SSSの活動を支援する側となり、さらに創業・新規事業がしやすくなるといった好循環が生み出されている状態を目指しています。


~SSSの4つの活動~

1)個別相談
創業希望者に対して、事業アイデアをともにブラッシュアップし、起業までのステップについてアドバイスします。創業間もない人に対しては、課題(資金調達、事業成長のための事業戦略やマーケティングなど)の解決を図り、事業の加速を支援します。
この他にも、第二創業や新規事業や新規サービスの開発の相談も受けており、長野市や松本市以外の県内各地では出張相談会が開催されています。

2)スタートアップセッション(月2回)
先輩の起業家や経営者を招き、創業セミナーをオンラインとオフラインで実施しています。県内の創業機運の醸成や、事業拡大のヒントに繋げています。

3)スタートアップサタデー(年4回)
1日の中で、ワークショップ形式でアイデアの種からビジネスプランを創りあげる過程を、コーディネータが伴走支援します。

4)信州アクセラレーションプログラム
2021年から、短期間で集中的に起業前や起業家の人たちの伴走支援を行うプログラムがスタートしました。

これら4つの活動を軸に、県内の金融機関や創業支援機関と連携しながら、県全体で創業者の増加や経営支援を強化しています。



◆松本市や長野県全体をどのようにしていきたいですか?

信州スタートアップステーションの目的の一つでもありますが、長野県の経済活性化に資するために、起業する人を増やしたいという想いがあります。
会社員として働くだけでなく起業がキャリアの選択肢のひとつとなるための支援をできればと考えています。

―起業支援をするなかで佐藤さんが心がけていることはありますか?

色んな考えや想いをもって相談される方に対して、最初から否定することはしないようにしています。時には正直な厳しい意見も必要だとは思うけれど、まずはしっかりとその人の話を聴くということを心がけています。「聴く力と、相手の想いや考えを引き出す力」を意識しています。

―「聴く力や引き出すことを心がける」とは、具体的にどういうことをされていますか?

色々なアプローチの仕方で質問をしたり、その人が考えている視点を少し変えて、別の角度から質問してみたりすることで、その人の話を引き出すように意識しています。一つの角度や一つの方法ではなくて色々な角度からアプローチするようにしています。

―佐藤さんにご相談をされた方が起業や新たな挑戦をされたことはありましたか?また、どんな方がご相談に来られますか?

私自身はこの事業に関わり始めて半年ちょっとですが、個人事業主の方を含めて実際に開業届を出したり、法人を設立されたりした方がいらっしゃいます。

ご相談の内容としては、地元で飲食店などのお店を開きたいといったスモールビジネスのものが割合としては多いです。スタートアップのような大きな成長が見込まれるビジネスだけでなく、地元でお店を開くことも、起業・開業として立派なビジネスだと思っています。ビジネス規模の大小に関わらず、親身になってしっかり支援していきたいです。その人がやりたいと思っていることを支援できるのはとても嬉しく思いますね。



◆佐藤さんご自身のキャリアや印象深い仕事について教えてください。

大学卒業後、建設系のコンサルタント会社に3年ほど勤めていましたが、嫌になり次の就職先を決めずに辞めてしまいました。

その後は、より経営に近い仕事をしたいと考え転職活動をする中で、半年間のブランクを経て経営コンサルティング会社に入社しました。そこでは、4年ほど中堅~大手企業のプロジェクトに関わりました。

それまで長い間東京で働いていたのですが、将来は地元の長野県に戻りたいと考えていました。
長野県にはホテルや旅館が多い点や、より一つの業種に特化し専門性を高めていきたいという想いから、その後さらに転職し、旅館やホテルの経営改善・事業再生を専門とするコンサルティング会社に就職しました。その会社には7年ほど勤め、中小零細の旅館の経営改善や、金融機関と連携した旅館の事業再生といった、旅館経営者の人生のターニングポイントとなるようなところに深く携わらせていただきました。この経験はとても大きく貴重なものでしたね。



◆これまでに失敗した経験はありますか?

個人の面では、新卒で入った会社を「ただ嫌だから」という理由で、次の就職先も決めずに辞めてしまったことですね。
そのときの感情だけで辞めてしまったので、何も軸を持たずにその後の就職活動をする中でブレてしまうことがあり、なんとなく半年を過ごしてしまいました。

この経験が無駄ではなかったとも感じますが、将来を見据えてそのために今何をするのかを決めたうえで、会社を辞めればよかったかなと思っています。次のキャリアで活かせるように、今勤めている会社の中でしか構築できない関係性を築いた後や、使えるリソースを使い切ってから、辞めるという選択もあったのかなと思いますね。
若気の至りでしたね。。。(笑)

仕事の面では、クライアントの支援をする中で相手が望むような結果を出せなかった経験があります。相手が求めていることやニーズを正確に把握したうえでサポートをしていくことの重要性を感じました。経営改善という中長期的なプロジェクトの中で、相手の期待とこちらの認識との間に生じているギャップを埋められず、最終的に満足いただける結果が出せなかったことや、相手の信頼を得られず、案件に携わることができなかったことがありました。

―失敗経験を経て、どういった変化がありましたか?

新卒で入った会社を一時の感情から退職してしまった経験からは、やはり明確でブレない中長期的なビジョンや視点を持った上で「いま」に向き合うということの重要性を学んだように思います。

これまでの仕事からは、外部の立場で聴く力を使いながら、相手が気づいていない課題に気付いてもらった上で、全ての課題を正確に把握し、解決策の提示やアドバイスをすることを大切にしています。相手が気づいていない課題に気づいてもらい、お互いの目線を合わせた状態でプロジェクトを進めるようにしています。

また、あくまでも、課題や施策を実行していくのはご本人です。そこにもどかしさを感じたりすることもありますが、少しでもご本人が前向きになれるよう「応援する」姿勢を常に持つことも重要だと思っています。


◆最後に、起業へ関心がある方に向けてメッセージをお願いします!

『起業・創業を考え、一歩踏み出している自分にまずは「自信」を持ってください!!』

どんな事業内容でも、起業・創業を考えている方々に対して尊敬する気持ちがあります。それは、やりたいと思ってもなかなか踏み出せない人が多い中、リスクを背負って自ら道を切り開こうとしている時点で、すごいことだと思うからです。

仮に、結果として事業がうまくいかなかったとしても、それで人生が終わるわけではないと思います。それは事業再生の仕事を通じてもよく見てきています。軽く考えて良いという意味ではないですが、起業・創業を目指す方への支援が多くあるので、そういった支援をうまく使いながら、自信を持って進んでいってください!

それともう一つ重要なのは、「信念を持って続けること」だと思います。様々なステージで多くの壁にぶち当たるかと思いますが、それを乗り越え続けていくこと。「続けること・続いていること」はその企業や個人にとって大きな価値だと思います。

私自身は起業の経験はないですが、これまで多くの企業や経営者とお会いし、ともに仕事をさせていただいています。その経験を活かせたらと思いますし、私と話をすることで何か一つでも気付きやきっかけを得ていただき、一歩を踏み出そうとしている方や更に大きな一歩を踏み出そうとしている方の背中を押すことが出来たならとても嬉しいです。




インタビューは以上です。
起業・創業は期待や楽しみだけでなく、不安や課題も多くあると思います。今回の取材では、長野県には起業・創業を支援するサービスや制度がいろいろとあることを知りました。決断や選択をするときや、計画を立てていく中で、自分以外の視点を交えながら親身になって話ができる人がいると、心強いと感じました。
佐藤さんありがとうございました!

記事や33GAKUに関するお問い合わせは、以下URLよりご連絡ください。
こちら⇒ https://33gaku.jp/inquiry/




この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?