リアルRPGなドラマは熱くて痛かった 『サードドア: 精神的資産のふやし方』 #119
目の前のラリー・ペイジ or 進級のかかった期末試験
TED創設者ソール・ワーマンとの時間 or ビル・ゲイツとつながる唯一の希望
あなたなら、どっちを選びますか?
人生は選択の連続とはいえ、「選べないっしょ!!!」という選択をしてきたのが『サードドア』の著者、アレックス・バナヤンです。
「サードドア」とは、成功や夢へのショートカット、抜け道、別の視点のことです。
ファーストドア:正面入り口。ほとんどの人は、そこに長い行列をつくって辛抱強く待ちます。
セカンドドア:VIP専用入り口。億万長者やセレブだけが利用可能。
サードドア:誰も教えてくれないドア。見えないけれど、必ずある。
「サードドア」にたどり着き、そしてこじ開けるためには壮絶な「忍耐」が必要です。だって存在も知らなければ、ドアノブだってないんですから!
本書は「サードドア」にたどり着く方法や開け方を書いた本……ではなく、冷たく閉ざされ、無視され、やり直し、回り道した「忍耐」の日々をつづった本です。
医者になることを期待され大学に入ったものの、灰色の日々を送るアレックス。移民の息子である彼は、自分のために両親がすべてを犠牲にしてくれたことを知っています。でも「もう無理」というところまで来て、世にいるセレブたち──ビル・ゲイツやスピルバーグやレディー・ガガは、どうやって“最初の一歩”を踏み出したのだろう?と考え始める。そこから、「サードドア」への旅が始まります。
「あなたにとってのティッピングポイント(転換点)は?」
この質問を成功している人物に聞いてみたいと思う人は、きっといっぱいいます。でも、成功者は、今まで数えきれないくらいそんなことを聞かれているはず。
なにより、どうやってビル・ゲイツまでたどりつきますか?
「会ったこともない大人に向かって”どうも~”というメールは止めなさい」と忠告されたり、トイレに4時間こもったり。
10代だなーと感じるバカっぽさも熱意も、すべてがリアルRPGのようです。また、「男友達と一緒に考えたインタビュイーには男しかいなかった!」と、男女の格差にも遅まきながら気づくんですよね。妹に見せられたイラストを見て、ひとつずつ「知る」を積み重ねていく。
(なにが問題なんだ? 同じ距離だろ?)
インタビューを受けてくれないウォーレン・バフェットへの近づき方や資金の作り方など、彼自身、かなり戦略を練ってはいるんですよね。インタビューの準備だって怠りない。
それでも、いざとなると足りないのです。
せっかくのチャンスが空回りするインタビューシーンを読んでいると、「聞く」ことの重要性を強く感じました。
最初は「コツ」が気になっていたアレックス。読む側のわたしたちも、きっと同じでしょう。でも大切なのは「コツ」なんかじゃなかった!
この本と合わせて観たいなーと思っている映画が「天才たちの頭の中 世界を面白くする107のヒント」です。「あなたはなぜクリエイティブなのですか?」という質問を、世界のクリエイターに聞いてみたというドキュメンタリーです。
クエンティン・タランティーノ、ジム・ジャームッシュ、ボノ、ジョージ・ブッシュ、ネルソン・マンデラ、オノ・ヨーコ、そして北野武ら、ミュージシャンや政治家、アーティストと、そうそうたる面々です。
観たいーと思いつつ、仕事と原稿に追われてたのですが、ようやく!終わった!ので! これからいろいろ観に行きたいと思います。
「天才たちの頭の中」は、平野陽子さんのコラムが街角のクリエイティブに掲載されています。こちらもぜひ!
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