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鬼の芽を宿す少女と、摘む小鬼との愛と絆の物語 『千年鬼』 #499
日々の生活の中で、心の中にはいろんなものが溜まってしまいます。プラスに働いてくれるものならいいけれど、怒り、悔しさ、妬み、怖れ、蔑み、猜疑心、憎しみ、羨望、疑い、反感、などなど。マイナスな感情となる「澱」をそのままにしておくと、いつかそれは「鬼の芽」になってしまう。
なんと、千年もの間、人の心に芽生えた「鬼の芽」を摘んでいる小鬼がいます。
なんのために小鬼はそんな仕事をしているのか? そして小鬼が「鬼」になった理由とは。
ほのぼのかわいい妖ファンタジーかと思いきや、人間の業と性にウルッときてしまった小説が、西條奈加さんの『千年鬼』です。
転生するたびに鬼の芽を宿す宿命を負った少女・民。彼女の芽を回収するべく奮闘する小鬼との、愛と絆の物語です。7篇の連作短篇集で、最終章では小鬼と相棒の黒鬼の過去が明らかになります。
地獄を描いた物語などでは、「鬼」は残酷で残忍な存在として描かれます。仏教を布教する際、教えを分かりやすくするためだったそうですが、「鬼」にしてみれば悔しいものだったかもしれない。
映画「13th -憲法修正第13条-」を観た時、あえて残酷で残忍な存在として描かれてきた「鬼」を思い出したのでした。戦略的に作られたイメージが、いまもアフリカ系の人々を苦しめているという映画です。
『千年鬼』はほのぼの感強めなので、残虐なシーンはないです。ご安心を。
民と小鬼の過去には、思わずウルッとしてしまう。中島みゆきさんの「夜会ー 橋の下のアルカディアー」にも、そんなシーンがあったんですよね。
気がつくと、「澱」は心の中に溜まってしまうもの。「鬼の芽」になる前に、摘み取りたい。わたしの場合、肩こりや頭痛という形で身体に反応が出ることが多いので、ストレッチをしたり瞑想したりするのですが。
かわいい小鬼が来てくれないかな。
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