ジャッキー沼の入り口へ 映画「ポリス・ストーリー/香港国際警察」 #291
1972年、「陳元龍」の名前で俳優デビューするも、作品に恵まれず、「成龍」と改名。暗い復讐劇が多かったカンフーアクション映画に、コメディ要素を盛り込んだ作品で大人気となった俳優。ジャッキー・チェンです。
70年代後半から80年代の香港映画の人気は、イコール、ジャッキー・チェンの人気だったそうです。ジャンル映画の歴史を作り替えたともいえる手法やエンタテイメント性は、いま見てもおもしろいなと感じます。
多くの作品を自ら監督していますが、監督・脚本・主演・武術指導にあたったのが「ポリス・ストーリー/香港国際警察」でした。ジャッキー・チェンは1954年生まれなので、映画公開当時は31歳。若々しく、アクションにもキレがあります。
<あらすじ>
香港の国際警察特捜隊員であるチェンは、麻薬シンジケートのボス、タオを逮捕。証人のひとりである秘書のサリーナを護衛するように指示されますが、ガールフレンドに誤解され、サリーナにも逃げられてしまう。釈放されたタオの復讐が始まって……。
むかーし、一度観たような記憶があるものの、内容はほとんど忘れていました。あらためて観てみて。
めちゃくちゃおもしろかった!
麻薬取り引きの現場を押さえようとする警察。逃げるギャング。そこでカーチェイスが始まるのですが、走るのは「道路」じゃないんです。
バラック小屋の「屋根」の上!
あまりのダイナミックさに大笑いしてしまいました。二階建てバスを使った格闘や、街中の大乱闘。なかでも、ラストシーンのショッピングモールのシーンは、チャンスが一度しかないというギリギリでの撮影だったそう。
ハリウッド映画へも進出していたジャッキー・チェンが、出演作のアクションをめぐって監督と対立。「本物の刑事アクションを見せたるわい」と制作したのが、この「ポリス・ストーリー」です。
でも当時のジャッキー・チェンは大人気の俳優。複数の映画を同時進行で撮影する状況だったのだとか。思い入れが強いのか、自らベスト映画のひとつに挙げているそうで、続編やスピンオフ作品なども公開されています。
大物逮捕で功績をあげるも、上司からは咎められて左遷という、組織人ならではの悲哀や、しょーもない原因で彼女とケンカしてへこむ姿なども描かれていて、かっこいいのにお茶目なチェン刑事は、愛されていたんだなーと感じます。
こうしたジャッキー・チェン作品のおかげで、ハリウッド映画にカンフーアクションが取り入れられるようになったんですね。思わず「酔拳」や「スパルタンX」も観ようかなーと思ってしまった。
ジャッキー沼に引きずり込まれるには十分な映画でした。
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