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たっぷりの写真で語られる、“はじまり”についての物語 『世界でいちばん素敵な神話の教室』 #581

「どの民族にも神話があるように、どの個人にも心の神話があるものだ」

エッセイストで精神科医だった北杜夫は『幽霊―或る幼年と青春の物語』でこう語り、過去を見つめ、記憶することの意味を追求しています。

いまなら「心の神話」は、日記とかnoteに記録できますが、「民族の神話」は口伝として伝えられてきました。過去を記録することで、ものごとの起源や存在理由を明らかにするのが目的だったのだそう。ギリシャ神話やローマ神話、北欧神話、ケルト神話は有名ですし、日本には『古事記』や『日本書紀』があります。

あんまりにもありすぎて、どれから読めばいいのか……というとき。絶妙なガイドブックとなってくれるのが、『世界でいちばん素敵な神話の教室』です。

「神話」という日本語は、明治期に使われるようになったそうです。比較的新しい言葉なんですね。「神話」は過去を記録するものでありつつ、人間の行動規範を示したり、超自然的な現象に意味を持たせたりするものでもありました。

本では、Q&A形式で各神話のエッセンスを解説。入門書の手前、くらいのライトさですが、写真もいっぱいあってパラパラめくるだけでも楽しい。こんな画像を見てしまうと、旅したくなってしまいますね。

世界でいちばん素敵な神話の教室2

大学の比較文化論で神話を読んで以来、「アーサー王の物語」なんかもよく読みました。ケルト神話や北欧神話に登場する生き物は、「ハリー・ポッター」シリーズのモチーフにもなっています。

世界でいちばん素敵な神話の教室3

昨日ご紹介した『天使のいる廃墟』は、人間くさい天使が登場するお話でした。わたしの中の「エンジェル」は、この絵のような感じだったのだけどなー。神話の本を開きながら、あらためてニヤニヤしています。

世界でいちばん素敵な神話の教室4

この本は、三才ブックスが出している「世界でいちばん素敵な教室」シリーズの第26弾です。神話の他にも、月や海、宇宙の本があります。シリーズタイトルから、次に読んでみたいなと思ったのは「鉱物」の本でした。ぜんぜん知らないからこそ、見てみたくなる。

世界で語り継がれている、「はじまり」についての物語。ステキな写真たっぷりで、別の世界へと誘ってくれる一冊です。

(画像はすべてAmazonより)

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