抱腹絶倒の夢を追う 『空想科学読本』 #275
「SF(Science Fiction)」とは、科学的な空想にもとづいたフィクションのこと。小説、マンガ、映画などなど、近未来を舞台にした話や、アンドロイドが登場する物語は大好きな分野です。
日本では戦前、「空想科学小説」という訳語も使われていたそうですが、1970年代頃以降は「SF(エスエフ)」が普及したのだそう。小松左京や筒井康隆の影響でしょうか。
ただし、「空想科学」の世界が科学的に正しいのかは疑問です。
2003年4月7日になっても「鉄腕アトム」は誕生しなかったし、レプリカントに生殖能力があるのかはよく分からないし。ストーリー的に不都合があっても、「SFだから」を逃げ道にしてしまいそうなものですが。
いやいや、ちょっと待ってくださいよ。夢を壊すようなコトしてすんませんけど、科学的に実証させてもらいます。
そんな研究をしてしまった本が、柳田理科雄さんの『空想科学読本』です。
シリーズは増えているようで、『空想科学読本』としては16巻、ジュニアシリーズや「スター・ウォーズ」編、「マーベル」編まであります。
特にジュニアシリーズは電子書籍で出ているので、お家にこもりきりという子どもさんにもおすすめ。科学のおもしろさに目覚めるかもしれません。
いやいや、ちょっと待ってくださいよ。やっぱりおすすめできないかも。
なんといっても第1巻の本のコピーは「子どもの夢を壊す本!」だったから。
仮面ライダーのベルトの風車を回して変身するには、どの程度の風力が必要なのか。ゴジラの適性体重は。ウルトラマンが「シュワッチ!」とジャンプしたら周囲はどうなるのか。
空想科学の世界の事象を、現実の物理法則にあてはめ、シミュレーションする。そんな「それを言っちゃーおしまいよ」的な研究をマジメに繰り広げているのです。物理の知識がなくても大丈夫。この本自体がSFコメディみたいなものです(失礼)。
電車の中で読むのは絶対止めておいた方がいいです。カフェとか、映画館とか、競技場とか、ライブハウスとか、百貨店とか、居酒屋とか、空港とか絶対ダメ。
お家の中で読むしかない本なんです。だって、大笑いしちゃうから。
あとがきに、柳田先生が東大の先生のところへ相談に行った話が出てきます。
「君、こんな夢を壊すような研究をしてどうするの?」
その答えこそ、抱腹絶倒の夢。ハタから見たら「アホか」と思えるようなことに没頭できるって、幸せなことだと感じました。
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