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江戸時代版プランナーのお仕事術 『損料屋喜八郎始末控え』 #200

時代小説というと敷居を高く感じる人もいるかもしれません。でも今の時代をそのまま置き換えたような小説も多いんですよね。ま、使っている言葉は漢字語だから難しいのも多いんですけど。

今週はビジネスパーソンにおすすめの時代小説を紹介していきます。

まずは、山本一力さんの『損料屋喜八郎始末控え』です。

なぜかAmazonには「時代小説に新風を吹き込んだデビュー作」と書かれているのですが、山本さんのデビュー作は『蒼龍』という小説。こちらは49歳にして小説家を志し、文学賞に応募しまくっていた当時のご自身を書かれたものだそう。

時代小説という分野に合っていたんでしょうね。デビュー後も次々と作品を発表して、2002年に『あかね空』で直木賞を受賞。今では人気作家の仲間入りを果たしておられます。

『損料屋喜八郎始末控え』の話に戻りますと、「損料屋」とは今でいう「レンタル業」のことです。料金を取って衣服・夜具・器具などを貸している人のことを指します。

主人公の喜八郎は、元は武士でした。上司の不始末の責任を押しつけられ、同心(警察官)を辞任。商売を始めることにします。も、この設定だけで現代的な感じがしませんか?

おまけにこの小説はチームワークのお話なんです。

喜八郎と一緒に悪い奴らを懲らしめるべく、下町の庶民が結集します。お互いの得意なことを組み合わせ、案を練る様子はまさにブレストです。それもそのはず、山本さんは元コピーライター。軽快に、軽妙に、話が展開していくので、時代小説に不慣れでも読みやすいですよ。


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