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ツッコミどころ満載のコンゲーム 映画「華麗なるリベンジ」 #295

映画を観ていて一番「よっしゃー!」となるところは、「もうダメだー」からの逆転シーンです。映画だし、フィクションだし、と言われても、やっぱりそういうシーンは気分が上がりませんか? 文化は不要不急にカテゴライズされてしまうらしいですが、その時間くらいは夢があってもいいじゃんと思うから。

今日ご紹介する「華麗なるリベンジ」も、タイトル通りの逆転劇。主演はファン・ジョンミンとカン・ドンウォン、監督はこれがデビュー作となるイ・イルヒョンです。自ら脚本も書いています。

<あらすじ>
デモでの暴行容疑で逮捕された男が、尋問中に死亡。担当検事のピョン・ジェウクは殺人容疑で逮捕され、刑務所に収監されてしまう。再審請求を試みるも、何者かに圧力をかけられて失敗。刑務所内で出会ったイケメン詐欺師のハン・チウォンの協力を得て、復讐計画を練るが……。

知的発想法のロングセラー本、『アイデアのつくり方』でジェームス・ヤングは、

<アイデアとは>
既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない

と語っていました。映画も同じなんだなと感じます。

えん罪によって投獄されるところや、法律知識を活かして、刑務所内で絶対的な地位を得る過程など、「ショーシャンクの空に」に多くのヒントを得ているのだと思われます。「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」からも。

先日ご紹介した「新しき世界」は、名作に名作をかけ合わせたら、一級品に!という映画でした。

一方の「華麗なるリベンジ」はというと、「映画だし、フィクションだし」のツッコミどころ満載のコンゲーム。でも、イケメン詐欺師役のカン・ドンウォンのチャラ男ぶりがいいんですよね。苦労の末に検事となり、“猛犬”“暴力検事”と呼ばれるファン・ジョンミンとのコンビが、とても楽しかったです。

この映画でファン・ジョンミン演じるピョン検事は、イ・ソンミン演じるウ検事次長と激しく対立します。

冷静に、ロジカルに、イ・ソンミンを追い詰めるファン・ジョンミン。逆にイ・ソンミンは感情的になったり、暴れたり。後にふたりが主演を務めた映画「工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男」では、立場が逆になっています。“演技派”ってこういう俳優のことなんだなと思う。

ラストシーンで、「ヨハネの福音書16章33節」に触れるセリフがあります。チャラ男役のカン・ドンウォンが調子に乗っているのを見て、ファン・ジョンミンがつぶやくのです。どんな一節なのだろうと思って調べてみたら、こんなお話でした。

「わたしがこれらのことをあなたがたに話したのは、あなたがたがわたしにあって平安を持つためです。あなたがたは、世にあっては患難があります。しかし、勇敢でありなさい。わたしはすでに世に勝ったのです」

患難とは、悩みや苦しみのこと。困難に負けず、易きに流れず、勇気をもってしっかりやろうぜ!ということでしょうかね。

もうダメだーからの逆転を狙えるのは、勇敢であり続けたから。フィクションならではの楽しさがある映画です。

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