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神様と仏様

 帰宅した夫は、
「ああ、これで終わった。ありがとう。」
と言いました。実家🏡を解体し更地に戻した後、地主さんへの挨拶と、市役所などで水道の停止手続きを済ませました。義理の母が亡くなり、ずっと空き家になっていましたが、ようやく地主さんに土地を返すことができました。 そして仏様です。座敷には、観音開きの仏壇がありましたが、我が家には大きすぎます。そこで、コンパクトな仏壇を購入しました。


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大きな仏壇。イメージ画像より。

実家の大きな仏壇

 金箔で輝く観音開きの仏壇は、ろうそくや線香の煙で煤が付いてしまいます。子どもの頃、お盆🍉とお正月🎍を迎えるために、くすんでしまった仏具を磨きました。仏具を外して部品ごとに並べ、力を入れてごしごしと汚れを落とします。ピカピカ✨に磨いた後と、まだ磨いていないものをと比べて、
「美しく光る✨ようになった。」
母に自慢しながら、元に戻します。ところが、
「どこだったかな?」
元の場所を思い出せず、困っていると母親が
「ここには、それを置いて。」
と優しく教えてくれました。ストーブでお餅を焼きながら手伝った「磨き物」は、子どもには根気のいる仕事でしたが楽しく美味しい😋時間でした。

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小さな仏壇。イメージ画像より。

 大きな仏壇から、コンパクトな仏壇へ。扉を閉めているとすっきりとした収納ボックスのようで、リビングの中心に置いています。

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通販サイトの画像より。


新しい仏壇への魂入れ


 お寺さん(菩提寺の住職)に、実家を解体する前に観音開きの仏壇の供養をおねがいしました。それから数か月。ようやくコンパクトな仏壇に魂入れのお参りの日を迎えました。

 住職さんは、我が家の仏壇を見て、正直そのコンパクトさに驚いておられるようでした。
「初めてなので、興味深いです。」
とおっしゃいました。引き出しや棚。内部を照らすライトなどを確認しながらうなずいておられました。
 子どもたちもリビングに揃うと、
「わぁ!大きくなられましたね。そんなに(年月が)経ちましたか。」
住職さんの言葉を聞いて、
「子どもは大きくなり、そして仏壇は小さくなったのです。」
と心の中で返事していました😁

 お経を終え、住職さんと夫と3人で近所の小料理屋へ行きました。私は久しぶりの外食を楽しみにしていました😊

 会席料理が始まりました。本当は写真を撮りたかったのですが、住職さんがおられるのでひかえました。夫はビール🍻と日本酒🍶を楽しみました。お酒をおいしくいただくための料理が運ばれてきます。「先付」「刺身」「煮物」「焼物」「揚物」を肴に、地酒や銘酒を味わっていました。私は運転手なのでジュース🥤やお茶🍵を楽しみました。

 秋の味覚「松茸の土瓶蒸し」が出てきました。久しぶりの土瓶蒸しを見て、人生で初めて食べた時のことを思い出しました。

 土瓶蒸しという料理を初めて知ったのは、結婚する前でした。10月に結婚したのですが、その前の9月に初めて食べました。
「これは、何をどのように食べるのだろう??」
と初めて見る食べ物にどうして良いか分からず、土瓶をじっと見ていました。それから周りの人の動きを、そっと観察しました👀
「飲んで味わうの?土瓶の中身は食べるの?」
今のように、スマホで検索すれば何でもわかる時代ではないので、見て覚える必要がありました。しかも、それが正解とは限りません。迷って夫に聞くと、本人も分からないとの事。
「不快な食べ方でなければ、それが正解。」
と開き直って、おとなしく?頂きました。今頃ですが、You Tubeで動画を見つけてチェックすると
「なんだ、ほぼほぼ合ってたな。」
長年の疑問が解決しました。松茸ごはんの後、デザートの胡麻アイス🍨までおいしくいただきました。

 住職さんを最寄りの駅まで送り、ようやく自宅に戻りました。夫は本当にほっとした様子でした。仏様、ありがとうございます。


神棚のイメージ画像より。


神棚の引っ越し


 さて、次は神様の話です。実はすでに神棚を持ち帰りリビングの上の方に置いています。神様については神社にいったりお祓いをしてもらったりということを何もしていません。 

お寺のように、定期的な案内があるわけでなく、自治会から進められているお札を祭っているだけです。玉串料を定期的に奉納しているわけではありません。

 神棚はもともとコンパクトなので、そのまま運んできました。そして神様もそのままお越しいただきました。

 それでよかったのかと、検索したところ
「神棚は前の家から最後に運び出し、新居には最初に運び込みます。」
という記述を見ましたが、時すでに遅し。新居は、すでに住んでいる家なのでこの場合は、仕方がありません😢

 リビングに、神様と仏様がおられます。神棚は目の高さより高い位置に設置しました。いろいろきまりがあるようで、方角は神棚の正面が南、または東を向くように置くのがよいとされています。

 仏壇と向かい合う場所は、どちらか一方を拝むときに、もう一方の方に対して背中を向けることになるので避けるようにするそうです。また、2階建ての住宅で1階に設置する場合には、真上がトイレや廊下になっているような場所も神棚を置くには適さないそうです。いろいろと難しいですね。全てをクリアできません😢


これからの仏壇と神棚

 住職さんが、仏壇終いや墓終いを嘆いておられました。
「仏壇を受け継ぐ人がいない。仏壇を持たない暮らしが進む。」
と今後の仏教について語っておられました。

 最近は仏壇を置く家が少なくなったといわれています。我が家も、今まで仏壇の無い暮らしをしてきました。仏壇保有率の調査(2012~2019)では、「仏壇が家にある」という回答は、おおむね40%という数値だそうです。ちなみに、子こどものころに「仏壇があった」という回答は66.2%(2012年第一生命経済研究所調査)です。

 市場規模も、仏壇仏具の小売りは
1994年の3669億円
2016年は1794億円(商業統計)と大幅に減少しているそうです。
 この数十年の間に仏壇離れは急速に進みました。コロナの影響もあり、身近なところでもお葬式は家族葬が主流になっています。簡略化がますます進み、あえて仏壇を持たない家庭が増え、法要も徐々に無くなっていくのではないかと思います。

 今回、新しい仏壇を迎えたことで、先祖の魂を引き継ぐと考えると、責任を感じます。子どもの頃に見てきた祖父母や親が頭を垂れて手を合わせていた姿に、自分を重ねていきます🙏
 今この時を感謝する時間を、仏壇や神棚の前で過ごせることは有難いことです。

 神棚や仏壇について分からないことを検索しました。いろいろな細かなきまりはあるけれど、土瓶蒸しのように
「なんだ、ほぼほぼ合ってたな。」
と思いました。
「感謝の気持ちを持っていれば、それが正解。」
おおらかな気持ちで神様も仏さまも見守ってくださっていることでしょう☺️


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