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「開拓者」「改革者」←ラガーマン&バンカー

本、いいタイトルです。

大学ラグビーが好きだった

大学ラグビーが佳境を迎えています。

いやもうおもしろい試合の連続です。

昔から、ラグビーでは特に「早明戦」「早慶戦」が好きです。

まずあの早稲田のジャージがかっこいい。

当時の早稲田の「ランニングラグビー」がかっこいい。

明治も慶応も強かった。

早稲田は個性的な選手が多かったような印象があります(他校もそうなのかもしれませんが)。

どうでもいいことかもしれませんが、私は上記3大学には縁がありません。早明は落ちました。私の母校も大学日本一になったことがあるのですが、申し訳ないのですがそこまで感動はしませんでした。理由をきちんと説明できないのですが、なんか「華」がなかった気がしました。

当時は社会人王者との日本一決定戦が開かれていましたが、大差をつけられての完敗。「ま、そんなもんだよ」と冷めた目で見てました。関係者の皆さま、ホントに申し訳ない。

ラグビーの歴史を変えた男

2015年のラグビーワールドカップで、日本代表はリーグ戦で3勝を挙げ、大健闘。翌2019年大会でも予選リーグを突破してベスト8へ進出しました。大快挙です。

2015年大会の初戦、南アフリカ戦での勝利は衝撃的すぎました。過去優勝経験のある南アフリカに勝つことがいかに凄いことか。

ハリーポッターの作者でさえ、「このストーリーは書けない」と言わしめた奇跡的勝利でした。

この勝利は、日本代表にとってワールドカップ2勝目。初勝利は、第2回ワールドカップ(1991年)でジンバブエ(アフリカ代表)からあげた勝利。そのときの日本代表監督が宿澤広朗氏でした。

勝つために、徹した

なんの世界でもそうですが、世界大会で「1勝」を挙げることはとんでもなく高いハードルです。

それを目指すために宿澤新監督は徹底しました。


選手たちは、“勝て”と言われても、どう攻めて、どう守って勝つのか、根拠が欲しいわけです。それを示してあげれば、試合のなかで展開がその通りになったときにかなりの力を発揮できる

現代スポーツではある程度浸透している考え方だと思いますが、当時「根拠」を示す指導者はまだ少なかったのではないでしょうか。


競技スポーツも、資本主義経済も、勝つことが正しい目的なんです。ただ、やり方を間違えると“勝利至上主義”とか“儲け主義”と言われる。結局、最後は金銭ではなく、名誉ですよね。自分の責任をちゃんと果たすことに大きな重要度を持つかどうかーーヘッドハンティングされて、もっとたくさん収入を得られるところに行く人も時々いるけど、そうじゃなくて、仕事をやるというのは、ロイヤリティー(忠誠心)と名誉の問題です。ある程度そこそこやればいいと思えば楽ですけど、最大限の結果を得ようとするなら真剣にやらないといけない。で、真剣にやると真剣に考える。真剣に考えたことをキチッとやれば、だいたいは負けないですよ

二足のわらじ

宿澤氏は「バンカー」の顔も持っています。

銀行員としての実績も相当のものだったことが、この本から明らかになります。私はラガーマンとしての顔しか知らなかったのですが、非日常(ラグビー)と日常(銀行員)という、まったく結びつかない両者に全精力を注ぐ姿が描かれています。

そういう経験があったからか、日本ラグビー全体のことにも力を注ぎ、代表チームの底上げのために「プロ化」を目指す道筋もつくりました。

しかし、銀行員としては進められるはずの速度に、スポーツ業界は追いつくことができません。速度が遅ければ世界から置いていかれる危機感に常にさらされている金融業界のど真ん中にいる宿澤氏と、世界で戦わずともそこそこの収益があげられていたラグビー界。同じ改革をしたくとも反応が全く違う両者にいらだちを感じていきます。

この本を書いた筆者も思いを同じくしていました。

私を含めた多くの記者が、開幕戦から決勝戦までをワールドカップの現場で過ごし、この大会の底知れぬ奥深さに危機感を募らせて原稿を書いても、それが国内ではリアルな問題として受け取られないもどかしさを感じていた。宿沢が理事会で感じたもどかしさと通底するものがあった。

だからこそ、55歳で早世されたことが本当に残念でなりません。

氏が亡くなってから15年。日本ラグビーはついに世界のベスト8に入るほどの力をつけました。どんな思いで見ているのでしょうか。


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