私にとっては日本一の俳優さんでした
あまり有名人に対して追悼することはしないのですが、今回はさせていただきたいと思います。
毎週出演していた時代劇俳優
俳優・福本清三さんが亡くなられた言う報道がありました。
ご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんが、時代劇を見ていた40代以上の方なら絶対見たことのある方です。しかし配役には名前の出ない方ではないでしょうか。
いわゆる「斬られ役」。
時代劇では最後のほうで主役の俳優さんが大立ち回りを演じます。その中にいる大勢の役者さんの一人です。
私の家族が「いつもあの人が最前列にいる」と発見。
厳密に言うと2列目ですが(悪役の人がその前にいるため)、その悪役のほぼ奥&真横にいるうえ、ほかの斬られ役の方とはかなり違う顔立ちのため、一度気づき始めて以降、結構目立っていました。
そしてだいたい、最後の悪役がやられる1人か2人前に斬られるのが定番だったように記憶しています。
我が家はこの人を発見するという目的で時代劇を見ていました。
でもこの方に気づいているのはわれわれだけ。ひそかにそう思っていたのです。
ところが、
大ヒット本発刊
『どこかで誰かが見ていてくれる』
「まさかこの方の本が出るとは」
この本で初めて、この方のお名前を知りました。これはビッグヒットした本です。劇のおもしろさを教えてくれています。
この本が起爆剤になったのでしょう。一気に有名人になりますが、相変わらず斬られ役です。
次作は
「おちおち死んでられまへん」
この本の表紙にもあるように、まさかのハリウッド映画出演を果たします。それがこれです。
この映画でもみごとに時代劇っぽい倒れ方をしています。そして寡黙です。
で、映画のポスターにも別の方が出ていました(トム・クルーズさんや渡辺謙さんなど)
このころにはファンサイトも開設されていたと思います。
でもあくまで「斬られ役=脇役」、そう思っていたのですが、なんと。
太秦ライムライト
主役です。
この方、動きはキレキレなのですがしゃべっている場面をほとんど見たことがありません。
ラストサムライでも数セリフだったような。。。
しかし、「太秦ライムライト」では結構セリフがありまして、朴訥としたしゃべりが良かったですし、映画を見て泣くことはあまりないのですが、この映画の最後は泣けました。時代劇を小さいころから見ていたからかもしれませんが。
美しいあおむけの倒れ方と桜吹雪がここまでマッチする和装の方、他にいるのでしょうか。
途中、主演女優さんと立ち回りの稽古をするシーンが出るのですが、ジーンときます。女優の方も立ち回りがめちゃくちゃうまいと感じました。
脇役がいるから芝居は成り立つ
お身体の具合があまり思わしくないというのはなんとなく聞いていたのですが、
「いつかこの方のお別れ会があったら絶対行こう」と思っていました。
ですが、この時期に亡くなられるとは。。。もう葬儀は済ませたようです。
あまり陽が当たらない役回りだった「斬られ役」を表に引き上げた方ですが、こういう方がいるから劇やドラマは成り立っています。必要不可欠な方なのです。
脇役の大事さをしり、人生においても周辺スタッフの意義を感じさせてくれた、そういう方でした。常に裏方を歩んでいる私にとって、この方は日本一の俳優さんです。
仕事か何かで京都へ行ったら、太秦映画村へ行って偲びたいと思います。
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至ってごく普通のサラリーマンのつもりですが少し変わった体験もしています。