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映画へGO!「プリシラ」

(※多少のネタバレあります)
「ロスト・イン・トランスレーション」好きの自分としては、ちょっと期待値が高すぎて、結果”なんか変な映画だったな・・・”という読後感で映画館を後にしました。

「14歳(!)でエルビスプレスリーと出会って、アッという間に恋に落ち、一緒にファミリーとして暮らし始めながら、ついに結婚をし、子供も産んで、やがて別れが訪れるその瞬間まで」・・を一気通貫で主人公プリシラの視点で描いた映画です。

まずもっての冒頭からの違和感は、プリシラが14歳の段階でお互いに惹かれ合うのですが、そのまましばらく未成年の状態でエルビスとの愛を育むことになり、なんかもやもやしてしまいます。
ギリギリプラトニックな関係ではあるものの、観る側としては、いつ何が起きるかわからない、落ち着かない心理状態のキープを強いられるのが疲れるのでした。。

話は飛びますが一方で、終わり方も突然で、私としては「え、ここで終わるのー?」と思わず笑いがこみ上げて来るレベル。
とはいえ、並みの男性の監督だったら、プリシラの様々なココロの葛藤を描きながら、最後に何らかのアイコニックなエピソードによって我慢の臨界点を超え、苦渋の選択の末別れを決意する・・的な丁寧な描き方をしそうなものなのですが、さすがソフィア・コッポラと言っていいのか、「え、この曲で終わるんだー?」という意外な選曲と共に、バサッと物語を断ち切る潔さがありました。

でもきっと、これがリアルなとこなのだろうと思わせるラストシーンでもありました。

加えて、これは恐らく演出的な狙いではないかと想像するのですが、エルビスのことがほとんど印象に残らない映画だと感じました。
男前でシュッとした男優をキャスティングし、登場回数ももちろん多く、印象的なエピソードも多数描かれているにも関わらず、観る者のココロに(少なくとも私には)その存在感があまり引っ掛かって来ないし、特にビジュアルイメージも終始希薄なままでした。

理由はよくわかりませんが、それだけプリシラに対する監督の感情移入が強く、見つめる眼差しも深かったので、それ以外の存在はエルビスですら、図と地でいうところの地の方に回っていったのではないかと思わされました。
エルビスも当然スーパースターとしての孤独を感じていたのでしょうが、彼を一人の男性として一途に愛したプリシラには、それを上回る深い孤独の中に入り込んでいくプロセスが描かれていました。

いろいろ書きましたが、微妙なところはあるにせよ、映画として「金返せ!」とか「時間返せ!」とか、ネガティブな気持ちになったわけではありません。

数々の作品を通じて、その時代設定がいつであっても、女性としての孤独をチャーミングに表現し続けてきたソフィアコッポラは健在であると思いましたし、恐らく次回作が来れば、期待値上げて映画館に足を運ぶだろうという強い確信は残るのでした。
(ただ、これだとヒットはしないだろうな・・とは思います。)

個人的評価:★★☆☆☆
ソフィアコッポラ好きは続けます。音楽良かったですね。

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