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今あるものの価値再発見:進化の先に見えた「絵本」の未来

1 はじめに

「絵本っていいよね。心が癒される。」「子ども向きで読みやすいし表現がやわらかくて分かりやすいよね。」「表紙や挿絵のイラストがきれい。」

絵本のイメージは人により様々かと思います。絵本は子どもを対象にした内容が多く書店でも図書館でも子ども向けのコーナーに置かれています。

そんな絵本を「何かの形で大人向けの講座で使う事は出来ないだろうか?」 「読書会や読み聞かせなどとは違う形のワークは出来ないだろうか? 」そう考えるようになったのは、以前中学の家庭科の授業で絵本を使った実習をした時に感じた経験からでした。

思春期真っ只中の男子校の中学生が絵本に没頭し、読み終わった後もふざける事なく何かを真剣に考えている様子はとても印象的でした。その実習で使い人気があった絵本が下の「ぼくを探しに」です。

それは「絵本には子どもだけのものでなく中高生を含め大人にも読んで欲しい内容のものがある」と絵本に対する思い込みがはずれた経験にもなりました。

ここでは当時の経験をふまえ、家庭科教師を退職後に絵本には、もっと違う価値があり全く違う使い方が出来るのではないかと考え「進化思考」という思考法をベースに進化の学校という場での最近の学び、絵本の新しい価値を探究した内容をまとめています。

絵本に関心がある方や今あるものの価値を再発見したい方のお役に立てればうれしく思います。

進化思考」の本については下記のサイトからご覧いただけます。

進化思考」は2021年4月に出版された本ですが私が知ったのは同じ年の8月でした。「何でこのタイミングなの?」とショックを受けた本でした。
それは在職中に家庭科でアイデアを出す実習などで中高生が「アイデアなんて出て来ない!」「こういうの苦手」「創造性がなさすぎる」と言っていたのをよく聞いていたからです。

もし家庭科を受け持っていた時に出会っていたならば、絶対に生徒達に紹介し、何かのワークを取り入れていたであろう本との退職後の出会い。とても残念だった事を覚えています。

進化の学校
については下記のサイトをご覧ください。こちらは5月期の説明会のご案内にもなっています。


2 絵本を使って出来る事

今、既にこの世の中にあり何度も使っているものに新しい価値を見つけ出すのは今までやって来た経験が邪魔をします。

  • 絵本の読み聞かせ

  • 絵本を使ったクラフトづくり

  • 絵本をベースにした物語作成

  • 絵本を使った読み書きのレッスン

実は家庭科の授業以外に児童英語教室で絵本を使ったレッスンをしていた事があり絵本は言葉を学んだり創作活動を取り入れたりしていた経験があり、それが頭から離れず、どれだけ大人向きの全く新しい絵本講座を考えようとしてもアイデアが浮かばず困り果てていました。

そこで一旦は妥協して「ぼくはいしころ」など自己肯定感について見直すきっかけを与えてくれるような絵本を揃え、コロナ禍で自分の将来について不安を感じる人達の役に立てればと考えた事もありました。


3 価値再発見への挑戦:進化の学校

「どうしよう」と迷っているうちに時間がどんどん過ぎる中、高齢の義母が交通事故に遭い講座開催どころではなくなりました。
でも、この事故がきっかけで「人生、いつ何が起こるか分からない」と強く感じ絵本と本気で向き合う決心をしたのです。

その後義母の容態も良くなり、自分の時間も取れるようになった頃、進化の学校という「進化思考」を学ぶ場の事を知ります。

いざ本気で受講を検討し始めると、オンラインでの操作、受講料の額、受講時間の長さなど、アラカン(もうすぐ還暦60歳)でフリーランス(無職)の身にはかなりハードルが高く感じられました。そこで数回説明会を受けようやく受講の決意をしたのは入会の締め切りの直前でした。

この進化の学校で本格的に絵本の新たな価値を探究してく事になります。

ここで学べる進化思考は「変異」と「適応」という大きく分けて二つのワーク(作業)がベースになります。二つの内容は下記の図を参考にしてください。

「進化思考」より抜粋 変異の9パターン


「進化思考」より抜粋 適応の4つ*時空観マップ

そして「進化思考」の本には、これら2つの内容を読者が自分で取り組めるように50のワークが載っています。

本のワークに関しては絵本とは別のテーマで一度一人でやってみた事があるのですが「本当にこれでいいの?」「やり方は合っている?」と不安や迷いが出て来て途中でやめてしまった経験がありました。

進化の学校では本の中の全てのワークを丁寧に説明してもらい著者の太刀川先生からの最新の講義も入りサポート体制もしっかりしていて自分なりに真剣に取り組む事が出来ました。

4 奇跡の出会い

進化思考では自分が進化させたい対象を決めてワークを進めていきます。最初は絵本の講座を対象にしていたのですが、これだと二つの内容について作業しなければならないので途中で絵本のみに切り替えました。(この柔軟性も進化思考ならではかもしれません。)

まず頭を悩ませたのは〈変異〉と呼ばれる9つのパターンを絵本を使って考え書き出してみるワークでした。常識や固定観念に縛られていればいるほど、型破りの振れ幅が大きい、いわゆるバカげた発想が出来ません。

この変異では実現可能性や質は無視して発想の幅を広げる事が大切なのですがイメージがわかないのです。

そんな時、偶然に図書館で手にして思わず叫びそういなったのが「りんごかもしれない」という絵本でした。まさに奇跡の一冊。どのページを開いても〈変異〉のオンパレード。思わず「これは進化思考の後に出た本では?」 と思い、出版された年を確認した程でした。

この絵本との出会いが自分の中にあった既存の絵本の価値を壊す事になりました。「すごい! 発想絵本なんていうジャンルがあるんだ!」これもこの絵本を通して初めて知った事でした。

この本との出会いから「絵本は進化思考の変異のイメージを膨らませるのに最適な参考本になるのではないか」という思いがわき起こって来ました。
これ以外にもアイデアを発想したり創造性を刺激してくれるような絵本が埋もれているに違いないと考えるようになったのです。

「絵本は子どもや子どもとつながる大人や一部の絵本好きな人達だけを対象にするにはもったいない!」そんな思いも膨らみます。

その思いは次の適応のワークを進めていった時、確信に変わりました。
適応は対象について過去を遡り歴史をたどる系統、対象を中心した人・もの・環境などの横のつながりを調べる生態、対象の構造を細かく見て行く解剖のワーク等が含まれます。

どれも地道で時間のかかる作業ですが、一度やってみると今まで見えなかった事がいろいろ見えて来ます。
絵本の読者には中高生以上の大人は少なく、特に子どものいないビジネスマンにはほぼ読まれていないという事も分かりました。

さらに適応の3つのワークをしていた時気づいたのは、対象にしたものの昔をたどる系統も、つながりを調べる生態も、中身を詳しく見ていく解剖も、実は絵本や絵本と同じ場所に分類されている小学生向けの図鑑などに、とてもシンプルでわかりやすく載っているものが多いという事です。

これはとても大きな発見でITやAI、通信産業や未来の仕事など大人達にとって分かりにくい分野について絵本も含めて子ども向けの本がとても役に立つという発見も出来ました。

5 絵本の将来と未来予測

進化の学校で最後に取り組んだワークが予測でした。ここでは、先ず絵本を取り巻く状況を出来るだけ正確に把握するために統計などのデータを集めます。絵本業界の現状である売上の推移や出版部数など、生態のワークで調べた事などから必要と思った事についてまとめました。

この作業を通して絵本業界がこれからどうなって行くかの将来の予想が出来ます。(自分の考えですが。)それを踏まえた上で今度は絵本にどんな未来を見出したいかを描きます。その時に考えたの次のような事でした。

  • 絵本をアイデアを発想する時の参考本として活用する。

  • 絵本や図鑑を物事の簡単な系統やつながりを知るきっかけとして使う。

さらに絵本が少ないページ数で読み手(特に子ども達)の心を惹きつけ、心を打つような印象的なメッセージを残せるものである事からビジネスの世界では次のような事も考えられます。

  • 絵本を印象的なプレゼンテーション資料を作る時の参考にする。

  • 絵本をベースにプレゼン等に使える簡潔なストーリーを作る練習をする。

  • 絵本に使われるわやらかい表現や説明などを参考にし独自の世界観を作る。

また絵本はお姫様と王子様のハッピーエンドが多いのですが、それを逆に使い「この後、2人にはどんな事が起こると思う?」と想像を促しキャリアプランを考えるきっかけとしても面白いかと思います。

これは絵本が設定が自由でどんな事が起きても受け入れられるという独自の特徴があるからかもしれません。

6 これからの課題

絵本を使った講座を実際に開くにあたってはオンラインでもリアル開催でも次のような課題があります。

  • 絵本の著作権の問題

  • 大人に使って欲しい絵本の情報の整理と発信

  • 絵本が本当に実用可能かの検証

これからの課題はいろいろありますが少しでも課題をクリアして講座を開く事が出来ればと思います。

7 終わりに 


進化思考を実地で学んだ進化の学校で再発見出来た絵本の価値を今の時点で活かす事は出来ていません。
ただ「今あるもの」は見方や考え方を変えていくと多様な価値と可能性が広がる事を実体験した事はとても大きな収穫でした。

もし「今手元にあるものに何か新しい価値を見出し事業にしていきたい」「今あるものに違う価値を付加価値としてつけて今やっている事を広げていきたい」などお考えの方がいらしたら「進化思考」や進化の学校をおすすめします。

当然のことながら進化思考は価値の再発見だけでなく、新規事業の構想や新規の商品やサービスの企画などにもパワフルな効果を発揮し、実際に取り入れている企業なども多数あると聞いています。今までにない新しい何かを創り出したい方にもおすすめします。

今の時点で絵本講座は実現していませんが、進化思考をベースに、アイデアカフェといういろいろなアイデアを考えシェアする小さな無料のワークショップを開いています。
知り合いの女性対象ですが進化思考をご存じない方でも「進化思考」のさわりの部分を簡単に説明しただけで「新しい考え方で今までは出て来なかったアイデアが出て来た!」といううれしい感想もいただいています。

今自分で出来る事は小さな活動ですが、この思考法を1人でも多くの方に知っていただき、人々の暮らしや人生がより豊かになり未来が輝くものになったらと心から願っています。
長文、お読みいただきありがとうございました。ここで書いた進化思考の内容は個人の経験に基づくものです。どうぞご了承ください。
〈終わり〉



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