マガジンのカバー画像

探究とこれからの学び

27
元家庭科教師が在職中に取り組んだ探究学習や探究をメインとしたマイクロスクール(オルタナティブスクール)でインターンを経験した時の経験、これからの子供の学びなどの記事を中心にまとめ…
運営しているクリエイター

#探究学習

灘でもらった宝物:身近な暮らしにあふれる探究学習のテーマ

1 家庭科での探究的な取り組み「うわあ、すごい!」灘高や灘中で家庭科を担当していた時、夏休みの課題として自由なテーマで探究的な活動に取り組んでもらうと2学期の最初の授業で提出されるレポートの中には、こちらの想定をはるかに超えた素晴らしい内容に出会う事がありました。 そんな時は次の家庭科の時間に、そのレポートの内容やまとめ方、考察等、どこがすごいと感じたか、それをこれからどう展開出来るかなど、その時々に合わせたフィードバックをするようにしていましたが、もっと広く「中高生はこん

「探究学習を進化させる9つのアプローチ」を家庭科での実践を例として思考法で分析

1 はじめに「もっと面白い授業をしてください。」家庭科教師として在職中、一番頭を抱えたのは生徒達からの面白い授業のリクエストでした。 在職していた学校は灘中学という超進学校で、そこの男子中学生が面白いと感じる授業というのはハードルがとても高く、ましてや家庭科という生徒達にとって特に関心が低い科目では何をすれば興味を持ってくれるのかさえ分からず試行錯誤を重ねる日々でした。 その状況の中で生徒達が主体的に関わる事が出来、興味を持って取り組める内容はと考え探究学習を取り入れる事

自分の興味・関心から考える「探究のテーマ」:テーマ決めに悩む生徒のためのアイデア例

1 テーマ決めの難しさ「どんなテーマにしたらいいか分かりません。」在職中、探究学習に取り組んでいた時、生徒達から言われて一番悩んだ質問です。学校などで探究学習を入れようとするとき、最も難しいのがテーマ決めではないでしょうか? 短時間で決まる子もいれば、とても時間がかかかる子もいます。かかった時間の長短とは関係なく探究学習が子どもにとっての成長につながるためには自分で決めたテーマが自分事に出来て探究を深めていける事です。 そこで「テーマが決まらない」「どんなテーマにしていい

探究におすすめの思考法:視点やまとめ方のアイデア

1 はじめに① 探究学習の導入 「この子達にとって一体どんな授業が将来役に立つのだろう?」超進学校の男子校で家庭科を受け持っていた時にずっと考えていた課題です。受験科目でない家庭科は生徒達の関心が低く、加えて生活経験も乏しい生徒達にとっては面白さを感じる要素が少ない科目でした。 「これかもしれない!」一つの大きな転機となったのは〈アクティブラーニング〉という言葉を初めて聞いた時です。"生徒参加型授業”という内容に惹かれ授業に取り入れる事を決めました。 最初に導入したのは

「これからのAI時代 好きなことに没頭する子どもの育て方」講座から知った子どもを取り巻く社会の変化 ~進む親の二極化?~

1 講座を受けた理由は?AI時代、AR/VRなども含めたICT教育、GIGAスクール構想など子ども達の学びの場を取り巻く環境や社会の変化は目を見張るものがあります。その状況の中で子どもと少しでも関わりのある立場にいると「聞いた事はあるけど、よく分からない」「何となくイメージ出来るけど実情は見えて来ない」というもどかしさを感じる事がありました。 そして今、マイクロスクールにインターンとして子ども達と関わるようになると彼らの”未来”の事が気になります。個人でも「10代の子の安

超進学校の家庭科で挑んだ生徒の「ポテンシャル」を引き出す探究学習:取り組みと実践から見えた可能性

1 はじめに3月まで勤めていた超進学校での 家庭科教師の仕事は他校とは大きく違い 家庭科そのものの意味や 学びと生徒達の成長のつながり等 多くの事を深く考える大切な経験となりました。 特に最後の年に取り組んだ探究学習は コロナ禍での特別な実践となり 深く心に残るものとなりました。 その探究学習の導入に至るまでの経緯、 生徒のポテンシャルを引き出す 探究学習にするための準備、 学習の実践と実際の生徒達の様子や成果、 そこから見えて来た事をまとめました。 この探究学習は

マイクロスクールならではの問いの広がりの面白さ〈自由への教養〉:探究の学びの場でのインターンでの気づきや感じた事④

1 「自由への教養」って何? 神戸にある小学校高学年から中学生を対象にしたマイクロスクール〈ラーンネット・エッジ〉の時間割には「自由への教養」という時間があります。メインの矢萩先生がカリキュラムを作り、今は週替わりで矢萩先生とスクールスタッフがオンラインとリアルのハイブリッドで授業を行うスタイルです。 「こんな授業を小学生や中学生が受けてるんだ!」この時間を初めて見学した時に感じた強烈な印象は今でも忘れる事が出来ません。 それは、今年の7月、インターンとしてお世話になる

10代の探究者たちとのインターン生活:”正解”や”効率”を求めない子どもとの接し方の難しさ

1 インターン生活の始まり「さあ、今日から新しい生活!」期待より不安の方が大きかったインターン生活は今年2021年の10月から始まりました。初めてインターン募集の告知をnoteの記事で目にしてから5か月。デジタルでの応募もクラス見学もスクールスタッフとの面接も初めて尽くしの中、採用が決まった時は心底ほっとしました。 今年の3月に中高一貫校での家庭科教師の仕事を退いてから一人暮らしの親の心配などもあり、時間の融通が利いて責任の少ないポジションで子ども達のいる場所で何か役に立