僕のラグビー人生(大学生編〜結論〜)

前回の記事で回顧録が長くなってしまったので、結論と分けて記事を書くことにしました。今回の僕が書く結論編は敢えて厳しい内容で熱を込めて書きます。未来ある学生だからこそ、この先の人生で何者にでもなれる可能性を秘めています。今回の記事もあくまで僕の意見。一つの考えとして受け取ってもらいたいです。

『僕が思うラグビー界の現状』:まず結論を書く前に僕が感じているラグビー界の現状を記述したいと思います。

#ラグビーを止めるな2020 大学生の記事。やはりPR(プロップ)である。PR動画でPR内定なんて記事を書く方もさぞ書きやすかったことでしょう。笑 前回の記事にもPRを含むフロントローは需要があると記述しました。現状、ラグビートップリーグのメンバー23人の構成のうち、ルールとしてフロントロー経験者は最低6人が必要。そしてスクラムを組む分消耗が激しい。80分出場するフロンローは少なくなったので基本的には出場機会にも恵まれます。それに比べてBKはスターティングメンバーの7人+リザーブ3人。そのうちリザーブはHB(9,10)のプレーが出来る選手、スペシャルなインパクトプレーヤー、ユーティリティ(マルチポジション)といった組み合わせになるケースが多い。また外国人の選手起用に関して、各チーム出来ることならフロントローに外国人枠を割きたくないと思われます。外国人起用の現状ルールでは外国人枠が5人+アジア枠1人。そこに帰化した外国人選手。トップリーグのチームではバックスのメンバーに多く外国人がプレーするようになりました。一昔前に比べて大学生のBK選手がチームに加入できる確率は本当に低くなったと感じています。一つ勘違いしないで欲しいのは、フロントローに需要があるだけで、フロントローとしてプレーできる条件を持つ強靭な身体に生まれてくる可能性を考えたら、人という枠組みで見るとフロントローのポジションはそもそも狭き門であります。僕が言っているのは、今ラグビーをしている大学生のポジションにおける比較です。時代やルールが変化し、日本人選手達がプレーする機会は少なくっていることは事実です。この件については、トップリーグを中心に今後のラグビー界として考えていかなければならない問題だと思います。ですが一方で、明らかに外国人の加入により、競技力が上がり、日本人選手のレベルが格段に上がったことも事実です。僕個人としてはこの議論に賛成でも反対でもないです。リーグとしてどういった形で成り立たせるのか、この国のラグビーをどう考えていくのか、それは選手がコントロールすることは出来ず、然るべき人が決めるしかない問題だと捉えています。少し話はそれましたが、やはり現実問題として大学生ラガーマン達のポジションによるチャンスの差は実在します。

前置きは長くなりましたが、じゃあ現状ラグビーで声がかかってない大学生達は『どうすれば良いのか?』ってことですよね?

結論として、ラグビーがやりたいのなら下部リーグのチームから社会人のキャリアを始めることをオススメします。確かにトップリーグでプレーができるに越したことはありませんが、現状のラグビー界の成り立ちを踏まえ、自分が今置かれている状況を考え、とにかくラグビーを続ける選択肢を持つことが大事だと思います。

『キャリアをスタートさせる方法と考え方』

①就職活動をしよう:下部チームに所属する方法として考えられるのは、ラグビーのトライアウトだけではなく、一般の学生と同じように就職活動をして内定をいただき、その企業にあるラグビーチームに入部することです。この方法が本当に良いと思います。元々ラグビーというスポーツはプロスポーツではなく、企業スポーツとして存在してきた歴史背景があります。チームを福利厚生の一部として所有する企業もありました。社会情勢が悪化した時にも、企業がチームの形を工面しながら残してきたのは、ラグビーを通して学んだことを引退後に社業で生かして欲しい。といった想いや引退後に出世をして仕事で活躍する選手が多かったのだと思います。そういった理解で今も存続するチームがあります。トップリーグだけの狭い世界で考えるとはほとんど変わってしまいましたが、下部リーグのチームに自分の力で入社し、ラグビー部に入ることに対してNOというチームはないと思います。むしろラグビー枠なるものを使わずに自力で入ってくれることにより有難く感じてもらえたり、他の選手達と差別化することが出来ると思います。極論自力で入れば、次のキャリアを選択する時に、ラグビーで入れてやったと言われる筋合いもないですし。笑 今悶々としている学生達はラグビーチームを所有する企業にとにかくエントリーしてチャレンジするべきです。

②自分を買いかぶるな:僕がキャリアの相談を受ける上でよく耳にするのはトップリーグにいけなかったら、ラグビーを諦めて普通に就職します。という考え。言葉は悪いですがこれは勘違いだと思います。日本の大学ラグビーの素晴らしい一面として、ラグビーが強い大学が世間で言ういわゆる良い大学が多い。良い大学で体育会で団体競技をするわけですから、当然就職活動をする上で武器になります。ですがその変に恵まれた環境にあるからこそ勘違いが起きているなと感じます。そもそも何をしたいのか?ハッキリ言ってラグビーも仕事も天秤にかけてやれるほど甘い世界ではないです。もし天秤にかけて両方を選択できる人がいるとしたら、もうすでに選ばれている人材です。厳しい言い方ですがトップリーグから声がかかってない時点でこの国の最高峰のリーグからは選ばれていません。その立場にあるのなら、自分を買いかぶらず、無駄なプライドを捨てて勝負するべきです。スポーツの世界には生まれながらにして能力を持った選手がいます。そういった選手達の中に入り、自分がやっていくためには決断をして強い気持ちで勝負することが必要です。それが出来なければチャンスも掴めないですし、トップ選手との差は一向に埋まりません。

『下部リーグからキャリアをスタートさせるベネフィット』:内容に入る前に少しだけ説明をさせてください。僕は何かを説明する時に、メリットデメリットや良い悪い、だけで話せるものではないと考えています。例えば何かを達成した時に、より喜びを感じられたりするのは痛みや苦しみがあるからこそ。とか考え出したら自分の身に起きる全てのことに対して、デメリットも悪いもないんじゃないかと。なのでここではベネフィットという言葉を用い、ベネフィットをあげるために必要な犠牲や痛みの内容は敢えて記述しません。自分で体験してくだい。

①試合経験が積める下部リーグからキャリアを始めることで公式戦の試合経験が積みやすいと思います。もちろん下部リーグに行けば行くほど、仕事のウェイトは増えてくるので、その環境下でパフォーマンスを出すことは簡単ではありません。僕の場合は有難いことに社会人一年目からずっと試合に出させてもらっていました。よくトップリーグで100キャップ(試合数)を達成した選手が祝福されているシーンを目にしますね。日本最高峰のリーグで本当に選ばれし人達だと思います。僕自身はトップリーグキャップは少ないですが、トップイースト、トップチャレンジ、トップリーグと、一応公式戦だけで90試合は出場させていただき、自分の中でもうすぐ100キャップなので勝手に達成したいと考えています。笑 真面目な話に戻りますが、試合経験をたくさん積むことで練習だけでは習得できない、ゲーム感覚やゲームフィットネスを養うことが出来るし、何より楽しいです。ラグビーを楽しむためにはやっぱり試合に出ることが一番だなと本当に思います。僕の友達であるキヤノンイーグルスの橋野 皓介選手彼も社会人ラグビーのキャリアをトップイーストからスタートさせています。トップリーグに昇格しトップリーグで活躍し、7人制の日本代表にも選出されました。彼が若い時に言っていたのですが、下部リーグからプレーしたことで試合経験を積み、着実に自分の力をつけられたことで成長できたと言っていました。彼こそ下部リーグからキャリアをスタートした成功パターンだと思います。余談になりますが、彼とは久しぶりにラグビーについて語りたいです。ラグビーLOVE会のメンバーなので。笑 また学生達が憧れるトップリーグでも、若くして引退する選手の多くが出場機会に恵まれず引退するケースが多いことも事実です。確かに勝負の世界なので結果が全てですが、別のチームやカテゴリーにいたら活躍できたのでは?と勝手ながら思うこともあり、キャリアをトップリーグからスタートすることが全てとは言い切れないと思います。

②価値観を広げられる:僕自身、社会人の最初のキャリアをトップイーストの中位であったチームからスタートしました。所属した3年間の社業とラグビー生活で多くのことを学びました。それは今の自分にも本当に繋がっています。話出したらキリはないですが一つ、今僕が所属する日野レッドドルフィンズは社員選手、日本人プロ選手、外国人プロ選手が所属するハイブリットチームです。また社員選手の中にも中途採用で別のチームから入る人も多いです。本当に多様性あふれるチームだと思います。ですが、その分それぞれの理想に走ってしまう時があり、議論が上手く進まない時もあります。決定権を下すのはトップの役割なのでそこに対して意見はありません。僕は3チーム(イースト、チャレンジ、トップリーグ)でプレーをした経験があり、それぞれの選手がそれぞれの立場や価値観で意見することを受け入れることができます。人の意見を受け入れることが出来ないと、結果的に自分が成長するチャンスを逃すことになりますからね。 もう一つ、このnoteを始める前から僕の方に、下部リーグの社会人チームに所属する選手からもキャリアの相談があったりしました。話を聴くと人生いろいろ。だなと思います。それぞれの立場や考えを聞いてアドバイスをするのですが、一つ言えるのは、学生時代に下部リーグでプレーをすることを選んだ時から様々なことを経験し、悩んで相談に来るわけですから、その時点で凄く人生を真剣に考えたり、価値観が広がっているわけですよね。僕自身も下部リーグを経験し、悩みや痛みを力に変えることが出来た結果として今があります。またそういった経験をしてきたので、今トップリーグでプレーできること、トップリーガーであることを当たり前だと思わず日々取り組んでいます。改めて様々な経験をして、自分の価値観を広げられるに越したことはないなと感じています。

今回は熱が入ってしまい長くなってしまいましたが、記事を読んだ一人でも多くの大学生が社会人でのラグビーキャリアに進めることを祈りながら、筆を置きたいと思います。No Pain, No Gain.(痛みなくして前進なし)

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