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「完璧すぎる結婚」二見書房をネタバレ気にせず語りたい

note最後にアップしたの2月だわーということで、だいぶ放置しておりました。
その間、私は何をしていたかというとNetflixブリジャートン家きっかけで原作小説に手を出し、そのまま翻訳ヒストリカルロマンスブームに突入して、小説を読み漁る→お絵かき→小説&関連資料を読む→お絵かきというサイクルに突入しておりました。
ある程度、ヒストリカルロマンスの嗜好の傾向が見えてきて手あたり次第漁ってみる時期が終わった頃、次に何読もうかなと書店を徘徊したときに目についたのが「完璧すぎる結婚」でした。

私のいきつけの書店では、翻訳小説はロマンスも含め近隣の棚にまとめられているため、この二見書房の翻訳作品「完璧すぎる結婚」も同じ棚の新刊コーナーに並んでいたのです。帯にはこう書かれていました。

『ゴーン・ガール』以来、最高の心理スリラーだ

大体この手の心理スリラーぽいのって、ゴーン・ガールがダシにされがちよね…。なんて思いつつも気になってしまい、Amazon等でレビュー検索をすると判を押したように多くを語れないけど裏切られた!ばかりで肝心の詳細はあまりわからない。でもやっぱり気になる…。ロマンス小説漁りもひと段落して自分の嗜好がある程度わかり、めぼしい本はあらかた読んでしまったところでした。そろそろ次は違うジャンルの翻訳本も読んでみようかしらということで、はじめての翻訳ミステリに手を出してしまったのです。

まあ、予想通りだまされたよね。わかってたけどだまされたね。だまされたくてそのつもりでだまされたんだから仕方ない。この読後の爽快感を感想を語りたいけどSNSでうっかり語ると未読の人にとって台無しだからなーとモヤモヤした結果noteで語ろうとなったわけです。前置きでだいぶ長くなりましたね。

というわけでイラストの後は
ガッツリネタバレ気にせず感想を思いつくまま書いてます。
ネタバレのことで苦情があっても知ったこっちゃないです。

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正直、帯のゴーン・ガール云々時点で叙述トリック的などんでん返しあるんでしょうね。とは思っていたのでその覚悟はできていたのです。でもそれが思いの外早かったし、そして予想と違う角度からきたなあという感じ。
当初の予想としては帯の情報から、婚約者ネリー、元妻ヴァネッサ、リチャードの単純な三角関係の話ではないのねというのは推測できていた。(帯でどこまで情報を出すかの線引き難しいよね)なので、リチャードが裏表のある男で既婚を秘密にして最初はネリーに出会ってて、それを不倫関係だったことを暴いてやろうとするヴァネッサと何も知らない気の弱いネリー。でもネリーはネリーで秘密のある女っぽいなあ…。なんて思っていたのが第1部を読み進めている時の私です。確かに読んでいてモーリーンと面会する予定のレストランでの時間の進み方とか小さな違和感が随所にあった。それが例のエマとヴァネッサの対面シーンで「え?え?あれ?ん?私何か読み飛ばした??」って第2部の初めを読みはじめても脳が処理できずに18章と19章の間を行ったり来たりしていた。第1部は出てくる人たちが皆陰気でなんだかもったりしてるなあ…。と思っていたのだけど第二部からから視点が変わって今度はヴァネッサ(ネリー)の過去と今のヴァネッサが交互に描写されていくとどんどんのめり込んで寝る間も惜しんで読み続けてしまった。

リチャードによってヴァネッサらしさを失っていくネリー。よく考えたら名前も奪われているんだよね。恋愛や利害関係、親子間でも関係性の箱庭の中で意識しないうちに支配が構築されることはよくある。リチャードはとても上手にネリーを誘導して自分の望む女性でいるようにコントロールした。
リチャード自身完璧でいようとしていたけれど、完璧でないと愛されないと思っていたんだろうなあと思う。だからネリーにも完璧を求めた。
モラハラとミュンヒハウゼン症候群、DV家庭の連鎖、ガスライティングとてんこ盛りなんだけれども、重すぎないで読んでいられたのは少しずつ明かされる謎と新しい疑問がスピーディーに連弾のように軽やかに進んでいったからだと思う。
特にヴァネッサが伯母さんの言葉きっかけに自分の欠片を取り戻して、逆襲を始める時のハラハラとドキドキがすごくて「リチャードをぎゃふんと言わせておやりなさい!」という気持ち。後半のヴァネッサはヒロインでヒーローでとても素敵だった。この作品は自分を奪われた人が、自分の力で取り戻して前に進む話だったと思う。リチャードはそれをネリーに取り戻してもらおうとしていた。だからダメだったんじゃないかなあ…。フェミニズム作品としても優秀だと思う。

私の読解力の問題かもしれないけど、エマはもしもヴァネッサがアパートでリチャードと直接対決をしていなかったらどうするつもりだったんだろうということ。結婚したのかな?行方を消しただろうか?エマの父ダニエルはブロンド好きなんですかね。エマの母ニコルも小麦色だし…。
あとケイトはなぜダークブラウンヘアだったのか、作中の描写を読む限りではヴァネッサのようにわざとブラウンに染めているわけではないみたいだし。昔のリチャードは理想の妻の形への執着は薄かったのだろうか?ケイトで失敗したから次こそ完璧を目指したんですかねえ??後サムとネリーのアパートの鍵がなくなったのはケイト?リチャード?その辺がいまいち理解できず。
ついでですが登場人物紹介でネリーの職業が幼稚園教諭なのに本文ではずっと保育士なのも気になりどころだったりします。

映画化決定してるの楽しみすぎて、最初のフックをどうするのか考えだしたらキリがないです。ネリーとヴァネッサ役どうするんだろう?同じ人が演じた場合キャスト発表でもうネタバレしちゃうし…。マーゴット・ロビー&エマ・マッキーみたいに似てる人で配役とか??でも事実が判明した後に時系列で変わっていく場合1人の人で演じる方が良いよね。それか婚約者役っていうふうに役名だけ曖昧にしてエマ役を発表とか?発表予想だけで楽しいです。個人的にはキャリー・マリガンとかがヴァネッサっぽい。リチャードはアーミー・ハマーなんですけど彼のレイプ裁判とかそういうのひっくるめて余計にそのイメージなので実現はしないだろうなあ…。気になるのは人種が偏りそうな部分。メイン3人は白人だよね?作中に有色人種って白人と黒人ハーフのサムしか出てきてなくて、ヴァネッサの上司とかリチャードの同僚とかで補填するんだろうか?今の現代映画としては人種のバランスは避けられない部分だよねえ。

心の赴くままに感想を吐き出してみました。まとまりなくて読みにくくてごめんなさい。「完璧すぎる結婚」読んでないけどネタバレとか気にしないから読みました。という奇特な方がいらっしゃいましたらぜひ小説読んでみてね。分厚いけれど一気読みできる熱量に溢れているので大丈夫



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