「ロスジェネの逆襲」本を読んだ感想

「ロスジェネの逆襲」 池井戸 潤(著者)

 半沢直樹シリーズ3作目。これも同じく前作まで感想を書いていないので手短に。前作でホテル再建の任務を終え、子会社の東京セントラル証券に出向した半沢。

 IT企業買収のビックディール案件が舞い込んできたが、親会社の銀行にその案件を奪われてしまう。そこで半沢が持ち前のポテンシャルで銀行に戻れなくなるかもしれないということを顧みず、銀行に「倍返し」を狙うというのがあらすじだ。

 今作では半沢の仕事に対するプライドというものが今まで以上に強く表れていて、読んでいてしびれてしまう。

 僕は半沢が語った言葉に強い感銘をうけた。

「仕事は客のためにするもんだ。ひいては世の中のためにする。その大原則を忘れたとき、人は自分のためだけに仕事をするようになる。自分のためにした仕事は内向きで、卑屈で、身勝手な都合で醜く歪んでいく。そういう連中が増えれば、当然組織も腐っていく。組織が腐れば、世の中も腐る。」

 我々は仕事をするとき真に顧客と向きあっているだろうか?会議のため、出世のためと内向きな仕事をしていないだろうか。

 組織が大きくなるにつれて、そういった面が出てくるのも仕方ないことではあるが、一人一人ができるだけ顧客を意識し、組織としても無駄な内向き仕事を減らしていくことができれば、人としての価値も、企業としての価値も上がっていくんじゃないかと思う。

 今回は巨額の買収劇というのも一つの見どころになっている。日本では欧米に比べれば少ないかもしれないが、それでも2021年は新生銀行、関西スーパー、東京機械製作所(特にこれは真山仁「ハゲタカ」シリーズを連想してしまった!)と大きな買取案件が世間を賑わせた。そういった買収案件について学ぶにもいい作品となっている。

 結局のところ買収をうまくいかせるには互いに信頼関係を築かせることが一番だとし、そして一番の買収防衛策は顧客・株主にしっかり向き合い、魅力的そして価値のある事業を営むことで企業価値(時価総額)を高めていくことなんだと思う。

 なんか感想長くなっちゃった(笑)

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