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目標設定の落とし穴とその先へ:エンジニアとして成長するための新戦略
会社の1on1でもあらゆるビジネス書でも『目標』を設定することの重要性が説かれている。
私自身もその慣習に従い生きてきたが『本当に目標設定が良いことなのか』と疑問を抱いた。
目標設定よりも大事な思考法や慣習があるのではないか、そんな思いから別の方法を模索してきた。
今回は資格取得のエピソードと共に振り返る。(著者)
私の働くエンジニア界隈での「目標」について考えてみると、真っ先に思いついたのは上司との1on1だ。
1on1にて、そもそも目標なんてないのに設定しやすいからという理由で
「資格取得」や「オリジナルサービスの作成」を目標に設定している人も多いと思う。
かく言う私もその中のひとりだった。
予定通り目標を達成できる人もいれば、当たり前のように先延ばしにして未達の人もいると思う。
私自身も30年間生きてきて
目標を決めて
それに達成するために何ができるかを考え
少しやってみてをうまくいかないから目標を決め直す
という行為を繰り返してきた。
中には目標を達成できたものもあったが、数え切れないくらい目標達成を失敗してきた。
ある時、僕自身のこれまで出してきた成果・結果は目標設定によるものなのか?と疑問が湧いた。
結論はNoだ。
では「目標設定ではなく何をすれば成果を出せるか」を伝える前にまず、目標設定の問題点を挙げてみる。
少しの間考えてみたがこの3つが思い浮かんだ。
短期的なモチベーションは継続しない
目標を達成するまで辛いことが多い
キャリアアップにおける目標設定は、自分ではそこまで望んでいないのに無理やり設定していることが多い。
私がこれまでの人生で目標を設定して達成できた時のことを思い出してみた。
振り返ると『モチベーションが落ちる前に成果を出してしまう』というやり方でしか目標を達成できていないことに気づいた。
資格取得を目標として悲劇が待っていた
エンジニアにとって身近な「資格」にまつわるエピソードがあるので聞いてくれ。
私はエンジニアになってRuby Silverという資格を取った。
Webエンジニアの方ならご存知の通りRubyはプログラミング言語の種類の一つで、特にWebサービスを作る際に候補に上がってくる言語だ。
そんなRubyの知識を問う資格の一つがRuby Silverだ。
(知名度のある資格ではないのでURLを記載しておくhttps://www.ruby.or.jp/ja/certification/examination/version3.html)
まずは、1ヶ月間の短期的なスケジュールでの取得を目標として勉強を進めた。
勉強のモチベーションは
今後のキャリアのことを考えると取得しておいた方が良い
1on1で目標に設定してしまった
会社が受験費用を出してくれる
会社から合格お祝い金をもらえる
目標達成シートを達成できるので評価が上がる
といったことがメインだった。
(もちろん技術的なことを理解するという思いもあったが、前述した内容に比べると薄かったと思う)
目標を設定してからは、仕事終わりや休日に勉強を続けた。
仕事終わりに模擬問題を解き、それをメモし、次の出社時にそのメモを眺めたりなど、どうにか時間を作って勉強した。
結果、2ヶ月の勉強で資格に合格した。
遅れは出たものの取得は出来たので良い話に思えるが、問題は取得した後だ。
実はRuby Silverの上位資格として、Ruby Goldという資格がある。
本来はRuby Silverの勉強後にGoldを取得した方が賢明だ。
メソッド名など記憶が新しいうちに受験できるからだ。
効率的に生きたい僕は次の目標にGold取得を定めた。
その前に「Silver取得のために頑張ったのだから少し休んで、やる気が出てきたら勉強を始めるか」と心に決めてソファでゆっくり休んでいた。
しかし、Silverを取得した途端、僕はRubyの勉強をピタッと辞めてしまった。
別にRubyが嫌いになったわけではない、むしろ知識が増えて仕事では役に立つので好きになった。でも、目標を達成してしまったおかげでやる気がなくなってしまったのだ。
それから僕がRuby Goldの勉強を始めたのはSilver取得から1年半後だった。
なんと、資格取得のモチベーションが戻るのに1年半もかかってしまったのだ。
書いていて怖くなったがこれは残酷な事実だ。
そして、これは目標を決めることの悪い面が全面に出ているエピソードだと思う。
まず、資格取得を目標にしてしまったためにRubyの勉強が継続できなかった。
短期的に見れば資格を取得出来ているが、長期的に見ると勉強量は減少する一方で成長は止まっていた。
目標は達成出来たが、僕自身は何も変わっていない証拠とも言える。
そして、Ruby Silverを取得からRuby Goldを取得するまでの一年半の間、僕は自分のキャリアを考える機会の度に「あ〜、Gold早く取らないとな…」と自分を責めていた。
これって人生単位で見たら、幸せだろうか。
また、今回取得出来たから良いが仮に試験に不合格だった場合、合格に向けて勉強を継続出来ていたか、かなり怪しい。
なぜなら動機が弱いからだ。
以上のエピソードは僕の目標設定について考える大きな出来事だった。
目標じゃなくて、そうなりたいと思えるか
目標設定がイマイチな事はわかった。
では、良い成果を出すためにどうすれば良いのだろうか。
ベストかどうかわからないが、私の思うベターな方法は
信念、人間性を改善する
そのために何が出来るか考えることに時間を費やす
行動する
これらだと思っている。
ちょうど良い例を思いついたので見てくれ。
(「信念」なんて言葉を使うと急に宗教っぽくなって敬遠してしまう方は「人間性」で読み替えてほしい)
WebエンジニアのAさんとBさんがいる。二人とも資格について発言しているようだ。
A「私は資格の勉強をしているからいずれ良いエンジニアになるだろう」
B「私は良いエンジニアになりたいから資格の勉強をする」
この二つの文章は似ているが、発言する人の『信念』という観点で見ると見え方が変わってくる。
Aさんは行動だけ変えようとしている、一方Bさんは…
Aさんは信念や人間性を変えようとはしておらず、行動だけを変えようとしている。
つまり、中身は変わらないので資格取得後は、次の資格取得や継続的な勉強はやらない可能性が高い。
昔の私は完全にAさんタイプだ。
Bさんは良いエンジニアになりたいと思っている。これは信念、人間性を改善しようとしている。
自分のなりたい人間に近づくための行動が増えれば増えるほど信念、人間性も改善されていくため資格取得のために勉強する度になりたい人間に近づいているという感覚だ。
Bさんの場合、資格取得は途中過程であり手段である、と言い換える事もできる。
そのため仮に試験が不合格であっても、別の手段で良いエンジニアに近づくために行動を取りやすいだろう。
もしくはそもそも資格取得を目標にせず、業務で必要な知識を深掘りしたり、普段使っているツールをさらに使いやすくする、という行動をとるかもしれない。
それらの行動も信念から来る行動であり、良いエンジニアに一歩近づくからだ。
どちらが成長するだろうか
話をAさんとBさんに戻そう。
ここまでの話を聞いてAさんとBさんの将来を想像してほしい。
1ヶ月後、半年後、1年後、3年後、5年後...。
AさんもBさんもどちらも「良いエンジニア」について言及していたが、どちらが良いエンジニアに近づいたと考えますか。
疑う事なく、私はBさんだと思う。
あなたはどちらの姿を目指しますか。エンジニアとして良いキャリアを描く時に参考になれば幸いです。
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