元教授、エレベーター文化の違いを考察してみた: 定年退職188日目
皆さん、どうしても言い間違える言葉ってありますよね。私にもいくつかありますが、その中の一つが「エレベーター」と「エスカレーター」です。子供の頃は間違えても笑って済まされましたが、大人になるとそうはいきません。そこで、ある時「S」の形をしている方がエスカレーターと覚えることにしました(少々無理がありますが・・・)。さて、今回はエレベーターについてお話ししましょう(タイトル写真は、電車で見かけたエレベーター会社制作の「エレベーターあるある」)。
私は水戸の出身ですが、水戸には日本三名園の一つである偕楽園があります。その中には、水戸藩の名君・徳川斉昭公が建てた由緒ある建物「好文亭」があります。三階からは千波湖や梅林の景色が楽しむことができます。実はこの建物には、日本初のエレベーターがあります。食事などを運ぶための小さなもので、人力で上げ下げする仕組みです。(下写真もどうぞ)
海外でエレベーターに乗ると、その文化の違いに驚かされます。同乗者にニコッと微笑んだり(それ以上の会話はしませんが)、自分で階のボタンを押さずに人に頼んだりします。また、「閉」のボタンを押す人はほとんどいません。イギリスでは、エレベーターを「リフト」と呼び、「First Floor」は日本の2階を指します。Ground Floorが日本でいう1階で、エレベーター内には「G」と「1」のボタンがありました。
一方、日本のエレベーターには、独特のエチケットがあります。私は長年大学に勤めていたのであまり気にしたことはありませんが、一般企業では、最初に乗る人、立つ位置、操作盤前に立つ人、降りる順番など、細かく決まっているとか。順番を間違えると常識を疑われ、出世に響くこともあると聞きました。中には、社長クラスが乗り込んできたら、社員は全員降りるという会社もあるそうです。驚きですね。タクシーの座席ならまだしも、エレベーターまでとは・・・。
また、「エレベータートーク」という言葉もあります。例えば、滅多に会わない上司とエレベーターで偶然一緒になった時など、エレベーターを待つ間やその中での短い時間でいかに効果的にプレゼンできるが重要です。その出来次第でプロジェクトの行方が決まることさえあるとか。最近では、入社試験でエレベータートークを課す企業もあるそうで、学生に2分間のトーク練習をさせたこともありました。
関西では、関東と異なるエレベーター文化があり、面白いです。人が降りると、必ず誰かが「閉」のボタンを押すのです(しかも連打!)。自分が乗った時も同様に連打します。まあ「イラチ(せっかち)」なのでしょう。また、押し間違えたボタンをキャンセルする方法(何回か押すと点灯が消えますが、会社によって回数が異なります)も、ほとんどの関西人は知っています。
以前と比べ、エレベーターを待っていてもイライラしないようになってきました。スマホを触ることが増えたからでしょう。以前は、エレベーターの前に鏡を設置したり、ポスターを貼ったりして、待ち時間を少しでも快適に過ごせるよう工夫されていましたが、時代が変わりましたね。次回は、エスカレーターについてお話ししましょう。どうぞお楽しみに!
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注1:偕楽園 ホームページより https://ibaraki-kairakuen.jp/kobuntei/
注2:日本経済新聞 ホームページよりhttps://www.nikkei.com/article/DGXZQOFE2931N0Z20C23A3000000/
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