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【体験談】初めて警察を呼んだポンコツの話(前編)

あんまり話したくはないが話す。

あれは、大学一年生の12月だった。

剣道の大会が東京武道館で開催され、僕ら一年は8時くらいに集合しなければならないため、東京武道館に近い場所に住んでる同期の家に泊まる計画を立てた。

僕は剣道部の同期のもじゃもじゃ頭(以下、【モジャ】と称する)の家に泊らせてもらいに行くことになった。

そこに泊まる人は、僕ともう一人いた。
そいつは、タバコが大好きなので【タバコ】とでも称することにする。

僕とモジャとタバコの計三人だ。
モジャとタバコは夕方の4時くらいから合流したのに対し、僕は日中予定があったため、夜の21時頃に着く予定だった。

21時になり、僕がモジャの最寄り駅につくと、タバコからラインが来た。
実際のラインがあったので載せる。

僕はこの指示のまま、ヤングボールとやらの地下へと向かった。

地下に入り、まず目に入ったのは、柄の悪い男の大人六人が騒ぎながらビリヤードをやっている光景だった。もちろん、その六人の中に見知った顔はない。

僕は、本当にここにいんのか。と思ったが、その真横のテーブルでタバコとモジャがビリヤードをやっているのを発見した。

僕は合流して、荷物を近くのベンチに置いて、モジャとタバコと、ビリヤードを楽しんだ。
(全く関係ないけど、「モジャとタバコとビリヤードを楽しんだ」って文面めっちゃ混沌としてるけど気にしないでください笑)

10時が過ぎ、僕らはモジャの家へと向かった。徒歩で割と時間はかかったと思う。

途中でスーパーに寄り、食べ物や飲み物を買い、三人で和気藹々と話しながら夜道を歩いていった。

モジャは実家暮らしなため、家に着くと、お母さんが出迎えてくれた。
僕は、泊まらせてもらう貢物の品としてミスタードーナツを8個買っておき、それをモジャのお母さんに奉納した。割と喜んでもらえた。

家族への挨拶を終え、モジャの部屋に行き、ペラペラ喋りはじめた。
楽しく楽しく喋っていた。
これから楽しい時間の始まりだ!と思ってテンションは上がっていた。
あることに気づくまでは。

少し経って気づいてしまったのだ。

「あれ、スマホがない…」
いつも入れてるポケットに僕のスマホがないのだ。

しかし、「あれ、スマホがない」なんて今までの人生で五億回とあったではないか。どうせ上着のポケットかリュックに入っているだろう。
スマホのかくれんぼなんて子供の遊びレベルだ、一瞬で見つけてやる。

僕は一瞬にしてそう考えた。

しかし、スマホはその部屋のどこにもなかった。僕の楽しかったお喋りの時間は僕のスマホのかくれんぼによって無に帰した。

これが起点で、あんな大事になるなんて、
いや、大事にすることになるなんて思わなかった。

歯ブラシがなくなれば、まぁいいかで済むが、スマホはそうはいかない。
僕ら三人はシーンとなった部屋で推理した。

スマホはどこへ消えたのか。

この時点で、スマホがどこへいったのか。想像できている人は素晴らしいと思う。
是非探偵になってほしい。
しばし、答え合わせまでは時間がかかるが付き合っていただきたい。

僕ら三人の総意は「ヤングボールに忘れた」
だった。僕も完全に納得だった。ビリヤード台の上に置いてきたのだと。

僕は一人でヤングボールに向かうことにした。
しかし、モジャもタバコもいい奴なので一緒に行くと言ってくれた。
まぁ、なんだかんだで、僕とモジャの二人だけで行くことになり、道中でスマホを落とした可能性もあるため、地面だけ見ながらまずは立ち寄ったスーパーを目指した。

結果、道中にもスーパーにもなかった。

でも大丈夫。まだ本命ヤングボールがある。
絶対ビリヤード台の上に置いたのだから。

でも、もし、万が一。
ヤングボールになかったら。
ど、ど、ど、どうしよう。

そんな感情に乗っ取られたまま、夜の11時、焦りながら僕らは足を進めた。

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