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「友達の友達は友達」?

 (この算数・数学の記事は、内容こそ大学で習う内容ですが、小学6年生くらいには読めるように書きたいと思います。もっと年少のかたでも読めるように書きたいのですが、難しい漢字を使ってしまうかな、と思いまして…。中高生の皆さんも、大学・大学院生の皆さんも、社会人の皆さんも、ぜひどうぞ。)

 大学の数学で「同値関係(どうちかんけい)」というのを習います。「ものの集まり」を「集合」と言います。意味のないような定義(約束)でごめんなさい。これ以上の「集合」の定義は言えないです。それで、集合にたいして、「~」で表される関係が入っていて、以下の3つを満たしているとき、それを同値関係と言います。急に難しい、抽象的なことを言いますが、そのあとに出す例でわかりやすくなりますので、どうぞがまんしてください。集合の任意の元(要素)として、a、b、cとします。
① a~a
② a~bならばb~a
③ a~bかつb~cならばa~c

を満たしたら、「~」は同値関係です。
ごめんなさいね、わけわからなかったでしょう!例を出します。aとかbとかcとかを平面上の図形、「~」を「合同」ということにすると、この「合同」というのは同値関係ですよ。「合同」というのは小学校でも習いますが、2つの図形が、形が同じで大きさが同じことですね。「平面上の図形」でも抽象的でしたら、「三角形」ということに限定してもいいですよ。P、Q、Rを三角形としましょう。合同を「≡」で表しましょう。以下の3つは常に成り立っていますね?

① P≡P (三角形PとPは合同)
② P≡QならばQ≡P (三角形PとQが合同ならば、QとPは合同)
③ P≡QかつQ≡RならばP≡R (三角形PとQが合同で、三角形QとRが合同ならば、PとRは合同)

当たり前ですかね?③はちょっとイメージしづらいですか?

じつは、この「同値関係」って、深掘りすると際限なく深いのですが、ここまでだけなら、小学生にもわかってもらえるのではないかと思います。「こういうことを考えて、なんになるの?」という説明ができないですけど(だから大学で習うことなのですね)。


「③」はちょっとイメージしづらいようでありまして、大学時代、保型形式で世界的に知られていたらしいある先生(その先生は「トポロジスト以上にトポロジーに詳しい」とも言われていました)からつぎのように教わりました。「友達の友達は友達」って。なるほどね。

しかし、「友達の友達は友達」というのは現実にはそうではないことが多いことですね。この「同値関係」というのは「その3つは必ず成り立たねばならないこと」なのですが、友達の友達が敵であることはよくあるではないですか。非常に憎たらしい人と、自分の友達が、非常に仲の良いことはあります。だから、少なくとも「③」は成り立たないので、「友達」というのは「同値関係」ではないぞ。

 しかしながら、それを言うと、友達というのは「②」も成り立たないことに気づかされます。「Pの友達がQならば、Qの友達はPである」。成り立ちませんよね。自分から見たら友達だと思っている人が、自分のことを友達だと思っているとは限りません。長年、「友達だ」と思って来た人が、じつは友達ではなかったということもあります。だから「友達」というのは「②」も成り立ちません。

 そして、「①」も成り立たないと思われます。「Pの友達はPである」。「自分は友達である」という意味になりますが、そうとは限らないですよね。自分のことが好きな人もいるし、自分のことが嫌いでたまらない人もいます。だから「①」も成り立たない。「友達」というのは①も②も③も成り立たないのだ。(もっとも③の説明をするとき「友達の友達は友達」と言った先生の説明のしかたは「『同値関係』の説明のしかたとしては」適切であったとは思います。)

 もう少し「①」について考えてみましょう。自分とまったく同じ人が現れたときに、私はその人と仲良くなれるだろうか?それとも、けんかになるだろうか?これ、皆さんも考えてみてくださいね。皆さんは、「自分とまったく同じ人が現れた」ら、その人と仲良くなれるでしょうか?それとも、けんかになるでしょうか?

 これは、よく知っている人で考えることもできます。皆さんのご家族のだれかを思い浮かべてください。その人の前に、その人とまったく同じ人が現れたとします。その人はその人と仲良くなれるか、それともけんかになるか?あるいは、友人のだれかをイメージして、同じように考えてみてください。果たしてその友人は、自分とまったく同じ人と仲良くなれるだろうか、それともけんかになるか?

 などということを学生時代に「同値関係」を習ったときに思ったものです。その織田先生(あ!名前を出しちゃった)が「友達の友達は友達」なんて言うものですからね!

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