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おすすめの曲㉔:ドニゼッティの室内楽

(※これは、私がときどき書く、クラシック音楽オタクのネタです。すみません、私は、おもしろい話「だけ」書くことはできません。一定の割合で、つまらない話も書かないと、おもしろい話も書けないのです。本日は、「ドニゼッティの室内楽」という、またマニアックな話を書こうとしています。おもしろい話が書けるかどうかはわかりません。「ドニゼッティの室内楽」という話題でおもしろい記事が書けるかどうかのチャレンジです。それでもよろしければお読みくださいませ…)

 ドニゼッティといえば、クラシック音楽の好きな人は、わりと知っている作曲家の名前だと思います。おもにオペラで有名ですね。「ランメルモールのルチア」とか「愛の妙薬」などが有名です。ただし、私は(以前も書いたことで恐縮ですが)オペラは詳しくありません。これも発達障害の特性で、私は、空気が読めないので、映画もよくわからず、テレビドラマもよくわかりません。いま何が起きているのか、わからないのです。その流れで、ミュージカルやオペラもわからないのです。物語はわからないですね。こういうと「なぜ聖書は読めるのか」という質問をお受けすることがあります。それは、一話が短いからですね。私は、「桃太郎」や「つるの恩返し」であれば理解できます。そして、たとえば「よいサマリア人のたとえ」(新約聖書ルカによる福音書10章25節以下)は、それらよりまたはるかに短いのです。福音書よりは使徒言行録のほうが話が長く、旧約聖書はもっと話の単位が長いので、ちょっと苦手意識があります。話を戻しますが、そんなわけでオペラは苦手です。そんなドニゼッティにも、室内楽の曲があるのです。いくつかはやったことがあります。本日は、そんな曲の紹介です。

 私の楽器はフルートです。ドニゼッティにはフルート・ソナタがあります。単一楽章の短い作品で、ハ短調で始まりますがハ長調の曲です。これはレッスンで習ったことがあります。しかし、これがたとえばドニゼッティのオペラに比べて「名曲」であるのかはわかりません。あるピアニストの感想を書いておきます。その人は「練習曲みたい」と言いました。たしかに、この曲のピアノ・パートは、まるでツェルニーの練習曲のようにも見えます。しかし、管楽器をやっているとわかることですが、とくにロマン派の時代は、管楽器はソロ楽器と見なされていませんでしたので、そもそも管楽器のための室内楽や協奏曲は、ピアノや弦楽器と比べて、ずっと少ないのです。ドニゼッティは、管楽器のための室内楽をいろいろ書いてくれた、「管楽器の恩人」なのです。それは、ピアノの人は、ベートーヴェンだけでもピアノ・ソナタが32曲もあって、「名曲ぜいたく」なので、ピアニストが見たら、ドニゼッティのフルート・ソナタは、たいした曲に思えないのかもしれません。しかし、フルート吹きとしては、この曲は、数少ないロマン派のフルート・ソナタとして、珍重せねばなりません。興味のあるかたは、お聴きくださいね。

 まだあります。ヴァイオリンとハープのための「ラルゲットとアレグロ」という作品があります。これも短い曲ですが、これをフルートとハープでやったり、フルートとピアノでやったりもします。私はやったことはありませんが、その道では有名な曲です。これも、「名曲か」と言われると、わからない、としか言えない曲ではあります。

 それから、ドニゼッティにはオーボエ・ソナタがあり、クラリネット独奏の有名な曲もあり、とにかく管楽器の世界ではひそかに有名なので、これはもっと一般の音楽ファンにも知られてよいだろうと思います。いわゆる「業界曲」なのですが、ほかの業界の人にも知られてよいと思います。

 そして、なんといっても、フルートとファゴットとピアノのためのトリオです。これは「ラルゲット」と「アレグロ」の2つの楽章からなる作品です(上のヴァイオリンとハープの曲に似ていますね)。私はこれもやったことがあります。あるとき、ファゴットの先輩に、ある発表会への出演をお願いしました。ピアノの友人とともに出てくれて、2人でイベールの「カリグナーヌ(カリニャーン)」をやりました。これも聴くに値する名曲なのですが(フランス音楽の好きなかたにはおすすめです)、その先輩から、フルートの私も加えて3人でなにかをやることを提案されました。さて、フルートとファゴットとピアノの曲というと何があるだろう。有名な曲では、ベートーヴェンのトリオがあります。なんとベートーヴェン大先生は、「フルートとファゴットとピアノ」という編成の室内楽を書いていらっしゃるのです!これは名曲ですから、ご存知なかったかたはぜひお聴きくださいね。ちょうど、「レオノーレ序曲第3番」のように、フルートとファゴットのソロが活躍する曲です。そこの調はちょうど(トリオと同じ)ト長調ですし。しかし、この曲は、「レオノーレ序曲第3番」なみに難しい(はず)です。私は、レッスンの先生にたずねてみました。そしてこのドニゼッティの曲を教わったのです。のちに知りましたが、この曲は業界では有名で、いろいろなフルートやファゴットの人が、知っていたりやったことがあったりします。ほかにこの編成の曲としては、クーラウのトリオ(前に紹介いたしました。以下です。読まなくてもだいじょうぶです)の2番フルートのパートをファゴットでやったり、あるいは、ウェーバーの「フルートとチェロとピアノ」のトリオのチェロのパートをファゴットでやったりします。もっと基本的なレパートリーとしては、たとえばバッハのフルートと通奏低音のためのソナタの通奏低音をファゴットで吹くということもあります。


 クーラウのトリオも名曲で、ウェーバーのトリオも名曲です。バッハのソナタももちろん。しかし、ドニゼッティのこの曲はよくわかりません。じっさい、そのファゴットの先輩には、さんざん曲をバカにされました。ださい曲だと言うのです。われわれは、時間の関係で、前半の「ラルゲット」しかやれなかったので、ますます「間抜け」なイメージがあったのかもしれません。そんな曲ですが、ひそかに有名なのです。この編成で、しかもベートーヴェンほど難しくない曲として。よろしければお聴きくださいね。

 そのほか、いろいろドニゼッティの室内楽曲はあります。おもに管楽器のための作品が生き残っていますが(弦楽器の作品は、いわゆる大作曲家の「大名曲」に勝てないのでしょう)、これらの曲を「おすすめの曲」と言っていいのかは、正直に言ってわかりません。ただし、業界ではひそかに有名で、やったことのある人も多いのです。これらを「普通の」クラシック音楽ファンが聴いてどう思うか、その反応を知りたい気持ちです。まずは、ベートーヴェン、ウェーバー、クーラウのトリオのほうが、「聴く優先度」は高いかも知れませんが…。

 すみません。あまりドニゼッティの室内楽をほめたことにならない記事かもしれません。ライターとして最も需要がある仕事は、いろいろな商品のレビューだと聞いたことがあります。実際、重い障害を持った人が、商品のレビューのブログで、「食っていける」ようになった話も読んだことがあります。私も、クラシック音楽であれば、どんな作品でも「ほめる」ように書ける自信は少しあります。本日は、正直すぎて、あまりドニゼッティの室内楽をほめていないと思いますが…。(この、「あらゆるクラシック音楽をほめることができる能力」で、クラシック音楽ライターをこなしている人もときどきいます。見ているとわかります。)これをあらゆる商品でできる人は、ライターとして食えるのでしょうね…。

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