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なぜSNSが発達するほど、ひとは孤独になるのか

 私が小さいころは、インターネットやメールや携帯電話はありませんでした。固定電話のないご家庭も、クラスに一軒くらい、あったものです。いまは、インターネットがあり、メールがあり、携帯電話やスマホがあり、ラインなどSNSがあります。ひととつながるツールは、昔より、ずっとたくさんあります。それなのに、どうして、SNSが発達するほどに、ひとは孤独になっていくのでしょう。奥田知志先生(←また出た。よほど好きだね、私)が指摘する通り、いまの日本は、かなり孤立社会になってしまっています。
その理由が、ゆうべ、ちょっとわかった気がします(ごめんなさいね。ゆうべというのは、2020年5月8日です。これ、半年以上前の文章です)。

 みんな、傷つくのがいやなのです。傷つかないように、インターネットやSNSをやっておられるのです。でも、まったく傷つかない人間関係ってありえないじゃないですか。(奥田先生の言葉:絆は傷を含む。)ぜったいに傷つけているし、傷つけられているものです。ですから、それを避けようとすると、ひととのつながりが失われて、孤独になるのです。

 われわれは小さいころから、「自分のことは自分でしましょう」と言われ、「ひとに迷惑をかけてはいけません」と教わってきました。そうやって、自分のことはぜんぶ自分でして、ひとに迷惑をかけないで生きるのが一人前の大人だと思って育ち、結局、ひととのつながりが失われて、みんな、孤独になっていくのです。ひとに迷惑をかけないで生きることは不可能です。私の住むマンションでも、よく、子どもの足音がうるさいとかいう苦情が張り紙になっていますが、そうやって結局、マンションの隣の人がどういう人か、上や下の人がどういう人か、も、わからなくなってきています。
 

 よく学校の先生が言ったり書いたりすることですが、「困っている人がいたら、助けてあげましょう」という言葉があります。しかし、これだけだと、真実が半分しか書いてありません。それを書くなら、「困っているときは、助けてもらいましょう」とも、書くべきです。お互い様ですから。それを、いまの教育は(昔からですけど)、自分を助ける側にしか置かない。助けられるのは、どこか自分ではない弱い人だと思っている。違うのに。自分だって弱くなるときがあるのに。自分だって助けてもらわなければならないときがあるのに。


 こうして、人とのつながりが失われていきます。


 これが、私の考える、「なぜSNSなどが発達するほど、ひとは孤独になるのか」ということの、ひとつの答えです。

 以上です。お読みくださりありがとうございました。

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