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小中学生の皆さんへ。「わかりません」と言いましょう

 小中学生を見ていて思ったりするのです。「わかりません」って言ってはいけないと思っておいでですか?「わかりません」と言ったら、あきれられたり叱られたり軽べつされたりすると思っておいでですか?

 私は障害者です。発達障害と精神障害を持っています。あるとき医者から言われました。「できません」と言ってはいけないと。それを言うと開き直っていると思われて、向こうはカチンと来るから「できるように努力します」と言いなさいと。それは障害者には厳しい言葉です。「どうしてそんなこともできないの?」と言われて答えられない発達障害の人は多いものです。

 ほんとうは「わかりません」も「できません」も「しんどい」も「助けて」も言っていいのです。1回言われただけですべて理解する人ばかりではありません。何回も聞きます。それでも忘れます。それでいいのです。わからないことは人に聞けばいいのですから。あるとき私は、ある人が「リソース」という言葉を使うのを聞きました。リソースの意味がわからなかった私は「リソースって何ですか」と聞きました。すると、そのリソースという言葉を使った人は、リソースという言葉の意味を説明できなかったのです。そういうものです。

 学校は、失敗をしないようにするところではありません。むしろ逆で、失敗をするところです。大けがをしない程度に失敗を経験するところなのです。先生って、なんでもわかっているように見えますが、じつはそうではないです。「忘れ物をするな」と言っている先生も、忘れ物をしていることを知っているでしょう?先生だってじつはわからないことだらけなのです。私には教員の経験もあるから知っています。先生は「なんでもわかっているふり」をしているだけです。

 これをお読みの大人の皆さんも、子どもたちに率先して見本を示すために「わかりません」「できません」を積極的に言いましょう。子どもって大人の「こうしなさいと言うこと」はしませんが大人の「やっていること」はしますからね。

 小中学生の皆さん、教科書を忘れたら隣の人に見せてもらいましょうね。わからないことは「わかりません」と言いましょう。確かにあきれられたり叱られたりすることはあります。「しんどい」と言うと「甘えるな」と叱られることもあります。それでも、世の中には親切な人がいるもので、受け入れてもらえることが意外に多くあるのです(私はそれを日々、実感しながら生きています。確かに親切な人はいます)。人に頼ることは悪いことではありません。誰だって人に助けてもらって生きているのです。自分の力で生きることはとても立派なことですが、わからないことは人に聞いて生きることも同じくらい立派なことです。

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