【読書感想文】「いのちの停車場」を読んで
今日は、映画の宣伝が気になってkindle版を購入した「いのちの停車場」を振り返ります。
最初は少しずつ読んでいたのですが、途中から中断するのが難しくなるほど引き込まれ、一気に読んでしまいました。
映画では吉永小百合さんが演じる「咲和子先生」。都内の救急医をしていたものの、ある事件の責任を問われ、地元の金沢に戻り訪問診療医に。同じ医療の仕事でありながら、それまでは「どう救うか」が求められていたのに、訪問診療の現場では「命をどう送るか」という問題にも直面する。
特に印象に残ったのが、最後の2章です。
5章の小児がんの少女のストーリーでは、6歳の子どもに寄り添う医療従事者の温かさに涙してしまいました。
今も子どもの病気と向き合っている保護者は少なくありません。今の私はつい親の立場で読んでしまいます。どうしても子どもと別れたくない、少しでも一緒にいたいという気持ちの方が大きくなります。しかし、子どももちゃんと意思を持っていて、自分の状況を理解しているのであればそれを受け入れなければいけないと考えさせられました。
最後の6章で、医師である実の親の苦しみを理解しつつも、親を失いたくないと思う気持ちと葛藤したり、積極的安楽死について悩んだりしています。
わたし自身も、身近な医者が自分の親に少しでも生きていてほしいと無理な治療を続けた(治療をやめることができなかった)という話を聞いたことがあります。そのことを思い出しました。
医者が「親(家族)の前で医者であり続ける」ことは難しいと感じます。そんな覚悟を決めた咲和子先生の決意が、社会を動かす原動力になればよいと思いました。
同じ人間でも、自分が病気になった場合と、子どもや親が病気になった場合とでは受け止め方が異なります。それでも、病気に苦しむ本人が望むことにできるだけ寄り添い、その望みを多くの関係者が共有したうえで叶える努力をするのがベストなのだろうと私は思いました。
在宅医療だけでなく「最期をどう迎えるか」についても考えさせられる本でした。気になった方は是非読んでみてください。
わたしも映画はまだ観ていません。是非観てみようと思っています。