CDショップ・レコード屋の可能性

今回は、リレーションシップ・マーケティングとサービス・マーケティングに関する本を読みました。

今回、読んだ本はどれも10~20年以上前に出版されている本で、特に「One to Oneマーケティング」については、当時だとこういう感じなんだろうなという感覚で読んでいました。

今回は、「顧客はサービスを買っている」と「顧客の信頼を勝ちとる18の法則」を読んでて気が付いたことを書いていこうと思います。

この2冊の本が書いていることは、かれこれずっと言われ続けている企業の商品やサービスが技術成熟によってコモディティ化したことによって、顧客には、商品やサービスの違いが全く分からない状態になってきたなかで、モノからサービスに付加価値をつけることで、顧客満足向上につながるため、サービスでの差別化を試みるようになった。
「顧客はサービスを買っている」では、そのサービスにおけるアプローチや評価方法などを体系化したサービスサイエンスの説明が書かれています。
「顧客の信頼を勝ちとる18の法則」では、提供している商品やサービスの機能的価値と顧客満足向上によって、ようやく顧客との信頼関係が構築できるようになる。信頼構築をする上での大事なポイントを解説しています。

2冊の本で書いてある内容から思い出したのは埼玉のとあるCDショップでした。

まだ、足を運べていないのですが、大宮に「more records」というCDショップ屋があります。幅広い音楽ジャンル・アーティストの音源を取り扱うCDショップですが、このお店ではとある実験的な取り組みを行なっています。Twitterのタイムラインで流れてきて知ったのですが、「more records」ではCDショップでは珍しくコミュニティを運営しています。(ぼくもお店には行ったことがないけど、面白い取り組みをしているので一年くらい前から毎月500円を支払って会員になっている)

↓コミュニティサイト

CDショップといえば、タワーレコードやディスクユニオンのように多種多様なジャンル・アーティストのCDを取り揃えて販売しているお店。ただ、近年のCDの売上推移は年々減少しており、CDショップもこの先無くなってしまうんではないかと勝手に不安に感じています。というか、周りの人で最近CDを購入したという声も聞かなくなってきたくらい。

そんな厳しい状況で、チェーンではない個人CDショップ店が「CDを販売するというお店の機能(モノ)」から更に「新しい音楽・まだ見ぬ音楽との出会いを消費者へ提案する活動(サービス)」を始めています。そのなかの活動の一環として、コミュニティ活動を運営しています。

2018年から、「ラボ=研究所」と「コラボ=みなさんと」を併せた、交流しながらお気に入りの音楽に出会う直接的なやり取りができる場所をネット上に作ることを目標にコミュニティ『モアレコラボ』を立ち上げました。皆さんのおススメ作品やアーティスト、気になるライブなど音楽の話はもちろん映画や本の話題など自由に語ることが出来るネット上の場所です。
※引用(https://camp-fire.jp/projects/view/185952)

CDショップが置いてある音楽だけでなく、more recordsを利用している人たちからも音楽の情報が共有されている空間になっています。

最近では、コミュニティの人にアーティストの音楽を聴いてもらい、良いと判断してもらったものをCD化するプロジェクトも実施しています。

このようなプロジェクトを見ていて、企業の商品やサービス以外の上記のような流通店舗もただ商品だけを販売するだけなら、スマホから購入できてしまう。CDならなおさらサブスクリプションですぐに聴けてしまう。そのような状況の中で、CDショップというお店で提供できる価値は何か考える必要があると改めて感じました。働いている店員さんの音楽に対する価値観を発信する音楽における解説者的な立ち位置でCDを提案する方法も一つかもしれません。
CDやマンガなどのエンタメのフィジカルは、作品のコンテンツ力に頼らずとも紹介する人が付加価値をつけて紹介することで、商品の魅力が伝えられるんじゃないかと思いました。

CDショップ屋もCDを売るだけではなく、コンシェルジュ的な役割で取り扱う音源の付加価値をつけて紹介するであるとか、more recordsのようにCDショップを起点としたコミュニティを運営するなど可能性はたくさんありそうです。

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