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あなたは告知を希望しますか?

*この気持ちは多分、今後味わうことがないと思うので記録として文字に残します。

「がん」だった場合、あなたは告知を希望しますか?

問診票の文字が目に止まる。
「あぁ・・がんかもしれないんだよな。だから検査するんだよな・・。」

心の中でそう呟きながら「希望します」に丸をつけた。


初めての人間ドック

先日、人生初めて「人間ドック」を受けた。

今まで「健康診断」は毎年受けていたものの、医療のフルパックみたいな検査は受けたことはなかった。

PTとして病院で働いた時は、放射線(レントゲン)技師さんや臨床検査技師さんの検査の練習で、乳がん検診や腹部エコーの検査を受けたことはあったものの、ちゃんとした検査は今回が初めてだった。

医療フルパックが受けられることに謎にテンションが上がり、つけられるだけオプションをつけて人間ドックに臨んだ。

事前にいくつかの病院から、行きたい病院を決めることができた。ネットで評判などを検索し、今回の病院を選んだ。

地元から遠く離れ、知り合いもいない土地で初めて行く病院。
どんなところかなぁ・・。と少し不安を抱えながらも、初めての検査に少しワクワク。

腹部エコー検査

ベッドに仰向けになり、服をめくる。
温かいジェルがお腹に乗り、じんわりと広がっていく。

「これからエコー検査を始めますね。」
と可愛らしい小柄な女性の検査技師さんが声をかけてくれた。

「エコー検査は初めてですか?」と聞かれ、
「遊びでやったことはあります」と(笑)
「実はPTでして、エコーは実験とかでやってました。」

そんな和やかな会話をしながらも、技師さんは真剣な眼差しでモニターを眺め、検査を進めていく。

寝ながら画面が見られたので、私も一緒に画面を見つめていた。

エコーがある一点に差し掛かったところ、強い痛みが。
「うぅっ」と声が漏れてしまうくらいの痛みが走る。

「ちょっと見えにくい場所があるので、左に体を傾けてください」

そう指示があり、モニターに背をむける格好へ。
何度も何度も同じ場所にエコーが当たる。
その度にズキズキと痛みが走る。

「終わりましたよー。お疲れ様でした」

と技師さんの声が聞こえる。
お腹のジェルを拭き取り、次の検査へ。

この時、まさか影を指摘されるとは思っても見なかった。

初日が終わり病室へ

1泊2日の人間ドックだったので、1日目の検査が終わり、入院する病棟に案内された。

今回入院する病棟は最上階。しかも特別室だったので広々した病室。
窓も大きく、外の景色が一望できた。

移りゆく空の色と、建物の光が徐々に点灯していくのがとても美しく、ぼーっと眺めていられた。

こんなにぼーっと空を眺めるなんて、いつぶりだろうか。

前日まで寝不足が続いていたので、驚くほどあっという間に眠りについた。

影の正体が明らかに!?

ドック2日目。
いつもと同じ時間に目覚ましが鳴り、目を覚ます。

目の前に広がるいつもと違った景色。
「あ、病院にいるんだった」

2日目は、1日目に終わらなかった検査を行い、午前中で終了。
人間ドックの待合室でお昼ご飯をいただき、検査結果を待つ。

コレステロールとか、血糖値とか引っ掛かってたらやだなー。
生活習慣病とか大丈夫かなぁ・・。
なんてちょっと不安になりながらも、そんな重大なことはないだろう。

なんて気楽に考えていた。

「診察室へどうぞ」

看護師さんから声をかけられ、診察室に入ると白衣を着た女医さんがそこに座っていた。

衝撃の一言

血液検査の結果は思ったより悪かった😂
白血球数、CRP値(炎症の値)などが軒並み異常値。

「今まで膵臓の腫瘍を指摘されたことありますか?」

と、一瞬耳を疑う言葉がお医者さんから聞こえてきた。

「一度もありません」

そう答えた。

画面を見ながら女医さんが
「ここに12mm大の影があります。造影剤を使ったCTを取りましょう。できるだけ早めに精密検査をしたいので、来週来れますか?」と。

「え・・・?膵臓がん・・・?」

頭が真っ白になった。

人間ドックのオプションで「腫瘍マーカー」の検査をつけていて、その検査は異常なし。

「ただ、初期の膵臓がんだと反応しない場合があるので・・」と。

膵臓は沈黙の臓器。
進行が早く、初期で発見されても5年生存率は50%。(諸説あります)
転移があったら、25%。3/4は5年以内に命を落とす。

「私、40歳は迎えられないかもしれない・・・。」

親族が膵臓がんになり、発見されて半年で亡くなってしまった過去がある。
見る見るうちに弱っていく姿を見ていたから、自分もそうなるかもしれない・・。そう思うと一気に恐怖が襲ってきた。

病院を出て、母に電話をかけた。
「膵臓に腫瘍見つかった。多分大丈夫だろうけど、来週精密検査になりました。」と。

「きっと大丈夫だよ」

そう帰ってきたけど、母も怖かったと思う。

再検査までの日々

運よく、人間ドックの翌週に造影CTを取れることになった。
比較的大きな病院なのに、そんな急に予約が取れたことに感謝した。

神様はまだ味方してくれてるかも。

一方で、検査までのたった数日が
とてつもなく長く感じた。

「造影CT 膵臓」とググる。
出てくるのは「膵臓がん」というワードばかり。

その中でSunny Journey〜サニージャーニー〜さんのYouTubeにたどり着く。

話を聞きながら、思い当たることがいくつかあって
それもまた恐怖心を掻き立てられる。

あの時のあの症状、もしかして・・・。と。

12月ごろに動けないくらいみぞおちが痛くなって
病院にかかってた。

「薬を飲んでも良くならなかったらエコー検査やりましょう。」

と言われていて、3週間くらい薬を飲んでたら良くなって。
そのまま行かなくなった。

じわじわとその時のことが思い出される。

幸い、周りには医療従事者が多く、いろんな相談もできたけど、やっぱり怖くて眠れない日々が続いた。

「医療保険入ってなかったよな・・」
「治療費はいくらかかるのかな・・」
「残りの奨学金の返済どうしよう・・」
「オペになったら地元に帰ろうか・・」
「仕事どうしよう・・」

いろんな不安が一気に押し寄せる。

造影剤の恐怖

いよいよ精密検査の当日。

眠れぬまま朝を迎え、開院と同時に病院に到着。
検査予定時刻より2時間も前。

とりあえず受付して待合室で待っていると、予定より1時間近く早くから検査を始めてもらうことができた。

造影剤を使った検査のリスクが説明される。

「怖い・・」

心臓の鼓動が速くなるのを感じる。

検査ギリギリまで看護師さんが近くにいてくれるという安心感はあったものの、やっぱり恐怖は襲ってくる。

「造影剤入りますね。」

と聞こえた瞬間から、体が熱くなっていく。
喉元がカーッと熱くなり、徐々に徐々に下腹部まで広がっていく。
体の内側にお湯が流れるような
なんだかとても気持ちの悪い感じ。

こんな一瞬で血液って流れてるんだな。
と心臓の鼓動の凄さも感じた。

CT検査は体感5分くらいで終わった気がする。

その後は舌が痺れたり、喉が腫れぼったくなるような感覚に襲われた。

昼食を挟んで検査結果を聞く予定だったけど
食事が飲み込めるような感じではない。

待合室で待っている間も口や喉の違和感が消えず。
看護師さんから色々問診され・・

「アレルギー反応かもしれないから点滴しましょう」

と処置室に連れられた。

ベッドに寝かされ、心電図が取り付けられる。
「ピコン、ピコン」モニターの音が響く。
自分自身がモニターに繋がれたの、初めてかもしれない。

酸素濃度を測るパルスオキシメーターや、点滴の管が繋がれていく。

しばらくすると喉の違和感も軽くなってきて
飲み込みも楽になってきた。

1時間ほど点滴をしたところで、診察室に呼ばれた。

点滴をぶら下げたスタンドを押しながら診察室へ入室。
人間ドックの時に診断してくれた先生が座ってた。

検査結果は・・・

造影CTを取った結果

「がん」ではなかった。

「よかった・・・」
一気に体の力が抜け落ちた。

ただ、まだ断定はできないようで、要観察。

2ヶ月後にまたエコーをとって、腫瘍が大きくなっていないかを判断することに。

今思うこと

今日のこの日まで、本当に生きた心地がしなかった。

毎日毎日ふとした瞬間に

「がんだったらどうしよう・・」

「死んでしまうのではないか・・」

と、ネガティブな感情が頭に浮かんでは消え、浮かんでは消えていった。

今まで「いつ死んでも後悔はない」と言い続けてきた。
それは今でも変わらないけど、実際に「死ぬかもしれない」と思った時

「本当に後悔はないのだろうか?」

と自分に問いを立てた。

その答えは・・
正直まだわからない。

人間って欲深い。

強いて言えば、
一度でいいから両親をハワイに連れいってあげたい。
今まで私にかけてきてくれたお金と同じくらいの遺産を残したい。

かな。

今まで以上に「死」をみじかに感じられたことで、
本当にやるべきこと
大切なこと

がクリアになってきた気がする。

もう一生味わいたくない気持ちだけど
今回の件があって
改めて自分の人生を見つめ直すことができた。

不安を聞いてくれた友達
相談に乗ってくれた仲間

ありがとうございましたm(_ _)m

私は人に恵まれている!
いつも寄り添ってくれて、助けてくれてありがとう!

私も一生懸命みんなに返していきます。

長文お読みいただきありがとうございました!




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