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06 教材研究をすると見えてくるもの

前回の内容を受けて、「そうは言っても、面倒くさいんだよね。教材研究。」って感じることもあると思います。今回は、教材研究を楽しくやる方法などを紹介しながら、具体的に教材研究を深掘りしていきます。

前回の内容はこちら

1人よりみんなで!

4~6人くらいが最適

教材研究に限らず、1校1人が多い教科・科目ですから、1人の時間には慣れてますよね。そんな環境で教材研究やっていると、上手く進むときはいいのですが、何となく集中できなかったり停滞してしまったりという時間もあるはず!いや、ないはずがない!(←全島田調査済み)。
だから、授業もオンラインでワイワイと・・・というのが可能になった今、近隣の学校の先生でも遠く離れた先生でも、時間を決めてzoomやmeetなどのオンライン会議システム使って、教材研究をやらない手はないと思います。1週間ほど前に、異なる自治体の先生方と教材研究&情報交換の時間(&オンライン新年会)を2時間ほど持ちましたが、話は尽きないものです。複数人で行うメリットは、次の項目にも関係しますが、自分自身の知識や技能とは異なる視点で、教材を捉えることができることです。
例えば、創作の教材曲ってあまり教科書には掲載されてないので、「要素の働きを変化させ変奏や編曲」でどんな曲を例示してどう扱えばいい?みたいな悩みはあると思います。それについて、手当たり次第に変奏曲を聴いてみるのもいいけど、同じ視点で一緒に考えてくれる人に相談する方が、求めているものを得られやすいでしょう。

今授業するなら、こっちかな・・・

他の楽曲の鑑賞と組み合わせるならコレでしょ(このジュリアン・ユーの曲?は実際に、大学院時代の音楽学の先生と飲んでるときに「これで授業したらいいよ~」と言われたもの)。

ま、こんな感じで、持っていなかった知識が広がるのは嬉しいですよね。

ブレストのつもりで行う

前回も書いたのですが、明らかに分野が決まっているだろうという楽曲でも、念のため2領域4分野全て(歌唱、器楽、創作、鑑賞)で扱えないかを考えます。念のためだから、ヘンテコで無理矢理な学習になりそうだけど、そんなことはお構いなしです。そして、複数で教材研究している時は、ブレインストーミングのつもりで、思ったことは全て口にする。もちろん、明らかに変でも、現実離れしていても絶対に否定はしない。何かの拍子に、そのヘンテコなアイディアが引っかかりとなって、別のアイディアが生まれる可能性があります。「正解のない問いの時代」を生きていく生徒が学ぶサポートをするのですから、教材研究も玉石混交のアイディアからベターなものを探せばいいと思います。

考えるよりやってみる!

  • ないと困るもの:教科書、学習指導要領

  • あるといいもの:楽器、音源、ICT端末

上のものをなるべく用意して、教材研究を進めていきますが、学習指導要領の内容に当てはめて考えていくと、ちょっとイケそうなものも無理ゲーなものも出てきますので、そこで実際に音を出してみる。これ大切。楽器で引いてみる、音で確認してみると「(瞬間)あ、ダメだ」とか「おぬし、何かが足らぬゾ!」とか「ダメな子かと思ってたら、意外と優秀ね♡」みたいなことまであります。やっぱ、音や音楽を扱うんだから、(ここまで書いてきて何だけど、机上の教材研究ではなくて)音や音楽としてその質感を確かめない限り、生徒の時間を無駄にしかねないです。ここが、他の教科との違いでしょう。
そして、音や音楽で確認する以外に、一人一台端末が実現した今、端末をどう活用できそうか?というのも確かめる必要があります。端末活用については改めて書く機会があるでしょうけれど、端的に言えば「必要に応じて十分に」です。

何が見えてくる?

  1. 何人かの音楽の先生と、

  2. ブレストのように意見を出し合い、

  3. 音や音楽、ICTでも確認しながら

教材研究を進めると何が見えてくるか?ですが、

生徒が音楽とどう出合うか?どんな風に探究するか?

だと、個人的には考えています。音で確認した時の「(瞬間)あ、ダメだ」とか「おぬし、何かが足らぬゾ!」なんかは、生徒も分かりますから、生徒自身が「この音楽をどうしたらいい音楽になるだろう?」という探究的な課題として設定しやすいです。そして、「ダメな子かと思ってたら、意外と優秀ね♡」の場合は、その内容を「課題解決に向けた探究の方法(=指導上の手立て)」として設定することができます。
以前、ある先生とギターの基本的な奏法(右手の位置と形、左手の構え方、体全体の姿勢など)を教員が教えるのではなく、生徒が探究的に「こうしたらいいのでは?」という気付きを重ねていく題材をつくった際、最終的に採用したのは、知識構成型ジグソー法でした。

教材研究の前段階では、難しいと思っていたジグソー法でしたが、設定を試行錯誤するうちに、右手の位置と形についてのみ探究するグループなど、(エキスパート活動的に)それぞれのグループがそれぞれの探究を進め、それをジグソー活動として合せていくやり方に落ち着かせることができ、実際の授業では、自己有用感を感じている生徒の姿が多くみられました。


こんな感じで、教材研究を進めていくと、「指導と評価の計画」の導入の部分や課題解決の手立てのヒントが見えてきて、題材全体の構成がグググッと目の前に立ち上がってきます。ここから、実際に授業で使用するワークシートを作成する段階くらいが一番楽しい時間だと感じてました。というわけで、教材研究については、これでおわり!

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