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一歴史小説家の2020年個人的総括

上の写真は、私の年賀状on冷蔵庫のドア。牛は新聞小説の110話で、次女が描いた挿絵です。ホテルで西洋人にステーキを出すというくだりでした。ともあれ年賀状の投函もすんだことだし、ちょっと長くなるけれど、今年の総括。どうか、おつきあいください。

今年の本の出版は描き下ろしとして、津田梅子と父親を主人公にした「梅と水仙」(下)が1月にPHPから単行本で発売になり、3月には「レイモンさん」が集英社文庫から出ました。単行本の文庫化では11月に「かちがらす 幕末の肥前佐賀」が小学館文庫から。

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短編では「小説新潮」4月号に「ヤマトフ」が載りました。もと掛川藩士で、幕末にロシアに渡った増田甲斎が主人公。ずっと前に別の社の編集者に勧められた題材で、読み切り短編にまとめました。

オルビスのカタログ誌「ORBIS MAGAZINE」の3月号から「時代を生きた女たち」の連載が再開。先月号のオードリー・ヘップバーンがORBISのサイトで公開されたので、ぜひ、ご覧ください。
https://www.orbis.co.jp/archives/detail/1088?adid=archives_lifestyle_list

「歴史街道」では8月号、9月号、11月号と、立て続けに3本、それぞれ3ページくらいの記事を書きました。「歴史街道」はストレートな歴史ものなので、書くと何かしら発見があって、私の頭の中のネタ帳が増えていく感じです。

5月からは大分合同新聞で「万事オーライ 油屋熊八物語」がスタート。少し遅れて陸奥新報と愛媛新聞でも始まりました。すでに1月中旬から書き始めていたので、6月には最終回まで書き終えました。今、大分での掲載では、そろそろ終盤にかかっています。

さすがに講演会は激減でした。それでもコロナが下火になった頃に、浦和で朝鮮通信使関係の話をしたのと、大分で油屋熊八のことを話しました。どちらも客席の間を離したり、感染症対策に力を入れての開催でした。

地方取材も行きにくかったな〜。でも行かないわけにはいかないので、こちらもコロナの沈静期をねらって、山形や平戸などへ。どこも人物インタビューは難しく、とにかく現地確認だけで、すっ飛んで行って、すっ飛んで返ってきた感じでした。

今年後半は描き下ろしが2作品。どちらも今までになく筆の進みが遅くて、つらかったです。ちょうど取材に行くべき時に、他府県への移動が制限されたのと、編集者と会えなかったせいかもしれません。コロナ前までは、打ち合わせとかパーティとかで顔を合わせることになると、その直前にドドッと筆が進んだのです。たとえ書いている作品とは別の社の編集者でも、なぜか、そうなるのです。ほかの作家さんでも案外「あるある」みたいです。

「カトリック生活」の1月号からキリスト教関係の人物伝「日本史のクリスチャンたち」がスタート。初回は11月に書きました。でも書いてる最中に「歴史街道」の難しい依頼が来て、たまたまORBISも書きにくい題材で、大変なことになりました。お仕事があるのは、ありがたいとは思えども、そもそも人物伝を2本ずつ毎月連載は、さすがに無謀だったか。

描き下ろしの筆が遅くて、例年ほど順調に本が出なかったのが、何より不安だったけど、でも、こうして書き出してみると、やっぱりけっこう働いたなという気がします。それに作家デビューする前は「小説の本を2〜3冊、出して、あとは短い文章を雑誌に連載するのが夢」だったのだから、私は夢を叶えたんだなあと思います。

そうしてる最中、長女が在宅勤務になった空き時間に、小学館の「和楽web」でネットライターとしてデビュー。パリに住んでいるので、夜中に起きて仕事をしている母ちゃんのところに原稿チェックを頼むのは、時差がちょうどよくて、ばんばんメールが届きます。かつて私がネットで依頼原稿を書いていた時よりも、原稿料が高い・・・。「和楽web」の記事も増えているので、そっちも見てやってください。
https://intojapanwaraku.com/author/uematsu-chie/

あと地元の図書館が使えなかったり、都立図書館が予約制になったりで、いろいろあった一年でした。でも死にたくなるほどつらい人たちだって、いっぱいいるんだから、そのくらいで文句を言ってたらバチが当たる。どうか皆さんに、いい年が来ますように。

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