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集英社文庫「家康を愛した女たち」発売

 来年の大河ドラマを意識して、今月と来月と続けて、徳川家康関係の拙作が刊行されます。まずは11月18日に集英社文庫から「家康を愛した女たち」が発売。文庫書き下ろしです。
 しばらく前に、文庫の編集長と担当編集者と私の3人で「何か徳川家康関係の作品を」と話していたときに、私が無謀にも「有吉佐和子の『悪女について』みたいなのを書きたい」と言い出したところ、「それいいね」と即決。
 もともと有吉佐和子さんは私の憧れの作家で、東京女子大を受験する際の志望動機に「有吉佐和子の母校だから」と書いたほどです。彼女の作品の中でも特に『悪女について』は、学生時代に読んで強い印象を受けました。
 『悪女について』は、謎の死を遂げた女性に関して、いろいろな人が独白体で思い出を語っていく展開で、ある人は「とてもいい女性だった」と言い、また別の人は「ひどい女だった」と話すのですが、その正反対な人物表現が絶妙でした。
 で、徳川家康の周囲の女性たちに、家康について独白体で語らせたらどうかと考えたわけなのです。もちろん家康を悪しざまに言い立てる女性はいないし、有吉佐和子さんの足元にも及ばないのは承知の上で。
 『家康を愛した女たち』といっても異性としてばかりではなく、今川の人質になった竹千代を、駿府で育てた祖母とか、家康の孫娘として天皇家に嫁ぎ、850年ぶりの女性天皇の母親になった徳川和子とか、7人の女性たちが登場します。いわば7つの短編小説集みたいな形で、家康の生涯を追っていかれないかなと意図した次第です。
 解説は直木賞作家の西條奈加さん。ふたりで呑んだときに、彼女も有吉佐和子さんのファンで、『悪女について』が好きだと言っていたので、お願いしました。帯の言葉も、解説文の中から一部をピックアップしています。
 カバー絵は、いつもお願いするワタナベマサアキさん。今回も家康と素敵な女性たちを、いい感じで描いてくれました。
 来月も別の本の刊行が続きます。どうか、ご注目ください。


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