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Risotto 開発の裏側 【Collection Note Vol.3-3】

301の拠点である、カフェバーとクリエイティブオフィスが融合したスペース「No.(ナンバー)」は、これまでカフェバーで提供してきたメニューを刷新します。
「/RE DESIGNING THE BASICS(リ デザイニング ザ ベーシックス = ベーシックなものを見つめ直し、独自の視点を提案していく)」をコンセプトに、シェフやデザイナーなど業界を超えたコラボレーションで新たなプロジェクトチームを立ち上げ、共に開発したメニューを発表していくメニューシリーズ『No. COLLECTION』がスタート。
本マガジンでは、「SUMMER COLLECTION 2021」のメニューブックに掲載されている内容を順次公開していきます。


“単調さを感じさせないように多様な食材をのせ、一皿を食べる中にもファースト、ミドル、アフターといった変化を感じてもらえるように”


―サラダに続いて、リゾットというのもかなり一般的な料理ですね。

一般的に、リゾットと言えば「ゆるめ」というか、水分を多く含んでねちゃっとしたもの、そして味付けはチーズやバターを使うことで食べごたえのある重さのあるものをイメージすると思います。今回見直した点は、プチッとした食感の押麦をとうもろこしのピューレでぐっと煮詰めて、水分をあまり感じさせないようにし、さらに乳製品を使わず「ヴィーガン」にすることで、より軽やかなリゾットを追求しています。


―具体的な工夫点は?

リゾットは味が均一になるため、一口目が美味しいけれど最後のほうが少し食べ飽きてくる。その単調さを感じさせないように多様な食材をのせ、一皿を食べる中にもファースト、ミドル、アフターといった変化を感じてもらえるようにしています。こうした味や食感の不均一さやコントラストは、「ヘテロ感」とも呼ばれています。

また、どのように食べてもらっても楽しめるように考えられているので、提供側が意図しない変化がそこに起きる。細かいことかもしれませんが、そうしたひとつひとつのことにも、すべて意味があります。 


―そのような緻密さも、井口シェフらしさなのでしょうか。

そう思います。「らしさ」で言えば、味の構成の発想も面白い。サラダは多層的な味の「足し算」で考えられていますが、リゾットは逆に「引き算」。リゾットの味は塩味120%くらいのイメージで濃くつくっておいて、上にのせるコールスローやフレッシュなマッシュルームは塩味がないので-20%くらいに感じ、一緒に食べるとちょうどよく100%に感じてもらえるように考えられています。食材自体は足しているので、いわゆる「和食的引き算」とは違う「フレンチ的引き算」とでも言うべきでしょうか。

そんな作り手の意図を感じながら食べてもらうと、さらに味わい深い一皿になるかと思います。


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記事の全文が載ったメニューブック
「No. SUMMER COLLECTION 2021 CONCEPT BOOK」は
No. の Stores から購入いただけます。

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