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青い氷の人


大海に浮かぶ、巨大な青い氷
薄藍の玻璃は深淵を覗かせる

冴え冴えとした空の下
氷は眩く陽の光を弾く

冷たくそして温かい
塩辛くそれでいて甘い


数多をその身に押し留め
それらは混在し、
其々が氷の壁によって交わることなく独立せしむる

氷の上にもまた
息遣いが数多く聞こえ

在る物を在るが儘に受け容れる

その静かな胆力


大音響を轟かせ自らを破壊し
またジワジワと形成する

たとい流れに溶けて水に戻るも
形を変えてなお
冷たく温かい


風に乗って
涼やかな音色が届く

幾重にも重なる音色は
妖しく揺らぎ
透き通って散る

真鍮のベルは
その重みと裏腹に
柔らかに歌う

プリズムの光彩を
放ちながら


サポートありがとうございます!! 綴れる幸せ。